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てのひらに熱情を 3-2



 帰ってきたらちゃんと手伝うから、と親父に言い残して、テツと一緒に外へ出た。
 さっきガレージに入れたばかりの単車に、こんどはふたり乗りで出かけることにした。
 テツが昼食が済んでいないと言うので、国道沿いのファミレスへ。
 オレはさっき遅めの昼食を食べ過ぎるほど食べたから、コーヒーだけ頼んだ。
 
 「それにしても、突然どうした?」
 「ん~と。気まぐれ走行ってやつ。なんとなく走り出したら海に着いたんだよね。気分よくなってそのまま国道走ってたら、看板に『鬼浜町』って書いてあったからさ。んで、ハヤトんちに電話ししたらボスが出てくれて。ハヤトはじきに帰るからとりあえず来いって言われて」
 「あはは。気まぐれ走行、ね。オレもよくあるよ、それ」
 「だろー? ハヤトならわかってくれると思ったよ、おれ。でさ、ハヤトん家までの道順をボスに教わって、店に着いたらさ。ボスが友達割引してくれるっておっしゃるから、単車、診てもらうことにしたんだよね」
 シートが劣化したから交換したいと思ってた、ってテツは言った。あとは扱いが丁寧とは言えないから点検もしてもらいたい、とも。
 
 それからふたりして、単車乗り同志の気安い会話を楽しんだ。
 テツはよくしゃべるほう。だから時間はあっと言う間に過ぎていく。
 オレもテツに訊かれて、こないだツーリング先で暗黒一家に会ったことなんて話したり。
 「へ~。ハヤト、そんなことがあったんだ」
 「うん。なんだかんだ、会っちゃうんだよね。奴らとは」
 「うはは、それって因縁っぽいねー。まあ、おれんとこも似たようなもんだけどさ」
 なんだかまる1日ぶりに、しゃべってるのが楽しくなってきた。
 ノらない気分のままムリに遠出しなくてよかったな、オレ。

 テツの食事が終わって、オレもコーヒーを何杯かおかわりして。
 そろそろ出ようか、という段で時計を見たら、ちょうど学校が終わる頃合い――そう、リュウジが学校から帰ってくる時間だった。
 「さ~て。戻ろうか。ボスが待ってるよね」
 「あ……ごめん、テツ」
 「ん~? なに?」
 「ちょっとそこらへん一周しないか? もうちょっと遅くなってから帰りたいなって思うんだけど。オレ」
 「うん。べつにいいよ」
 にこりと笑ってテツが答える。それにどうも、と答えて。
 なんで、とテツは訊かなかった。だからオレも理由は言わなくてOKってことで。
 
 テツが運転してみたいというので、そこからはオレがリアでのふたり乗り。
 よく考えてみたら、オレ、リアシートって乗り慣れていないらしい。
 最低限自分のマシンのリアに乗るのは初めてだと思う。
 テツが動かすオレの愛車のマフラーからは、あんまり聞いたことのない音質が出ていたようにも思う。
 これって、単にリアシートのほうがマフラーに近いからなのか?
 っていうか、もうちょっと減速してカーブを曲がる気にはならないのか?
 正直言って、テツと本気で勝負したら勝てないかも、って思った。
 テツって向こう見ずな男だとは思ってたけど、想像以上の絶叫マシン級だ……。

 単車のリアに乗るのってけっこう覚悟がいるんだ、って認識が植え付けられたころ。
 オレも誰かを乗せるときは気をつけよう、なんて思い始めたころ。
 テツの運転するオレの愛車は、無事にオレの家まで帰り着いていた。
 店では親父がテツの単車を点検しているところだった。 
 「お帰り、息子とその同胞よ」
 「ボス、ただいまー」
 「うん。なんとか無事戻ったよ」
 「あ、おれのマシン、どんなですかね?」
 自分の愛車と向き合う親父に、テツは訊いていた。
 「うむ。君の個性がそのまま表れているような具合だな」
 「へ~。そんなことわかるんですか。さすがプロですな~」
 「それはまあ、プロだからな。わっはっは」
 親父とテツは一緒に笑いあっていた。オレもつられて笑ってみたり。

 「いや、むしろ笑える状況ではないと言いたかったのだ、息子の親友よ。君の単車は基本的にメンテナンスが足りないようだ。一晩入院させてみるか?」
 最後のほうのは、ちょっとばかり脅しの口調で親父は言ってた。あ~あ。




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てのひらに熱情を 4-1

 
 
 思ったよりも愛車の状態がよくないと親父に言われたテツは、それなりにへこんでいた模様。
 最初はため息ついていた。
 「そうだよな~。おれ、あんまりメンテとか、詳しくないからな。ちゃんとハヤトに教えてもらおうとは思ってたんだけどね」
 「そうだね。知識はあって損するもんじゃないから」
 「だね、ハヤト。ボス、ちょっと近くで見せてもらっていいですか?」
 「おお、歓迎だ。君も点検くらいはできるようになったほうがいい」
 「ありがとーございます!!」

 本当はオレが手伝うはずだったテツの愛車のメンテナンスは、テツ本人が親父の手元を見ながらあれこれ教わって、いけるところは自分で手を出して――っていう感じになったので、オレは近くに椅子を持ってきてそれを眺めているだけ。
 テツに指導してやりながら、思い出したように親父が言った。
 「そうだ。さっきお宅の隊長殿が来たぞ」
 「ああ――うん」
 やっぱり、か。
 そりゃそうだよね。オレが学校サボるのって久し振りだし。それを予期して、オレはわざと時間をずらして帰ってきたんだから。

 「接客中だと答えておいたが、よかったか?」
 「サンキュー。助かったよ、オレ」
 「ほれ、そこ。隊長殿が置いてったぞ。見舞いだと」
 親父に顎で示されて見ると、お客さん用の木製テーブルに紙袋が置いてあった。
 袋を開けて、出てきたのは桃の缶詰だった。白桃のと黄桃のと、それぞれ3缶ずつ。
 なんで桃なんだろうと一瞬考えたけど、ああ、そうだった。思い出した。
 リュウジに、オレが子供の頃、熱を出したときに食べた桃がすごくおいしかったって話したことがあったんだ。それ、覚えてたのか。今はシーズンじゃないから缶詰ってことか。
 「その上に説教されたぞ、俺は。病気の息子に接客させるとは何事だ、とな」
 「え。あはは、ごめんごめん」
 「まったくなあ。リュウジときたら馬鹿がつくほど素直だからな。参ったもんだ」
 そう言いながらも、親父は親父でリュウジをかわいがっているのを知っている。
 そう――リュウジはそういう漢。だからみんながリュウジを慕うんだ。
 オレだってわかってる。ほんとはわかってる。

 単車を一晩入院させると親父がテツに言ったのは、どうやら本気だったらしい。
 親父の命令で、テツは我が家に足止め確定。
 急かされて仕事をするのは親父のポリシーに反するから、ゆっくり作業させてくれってことらしい。
 だったら往復の距離も考えて、帰るよりもうちに泊まっていったらいいだろう、と親父が言ったのをテツが受けたんだ。
 幸い明日は土曜日だから、学校休みだし。たまにはこういうのも楽しいかも。

 その日の夕飯は、お袋の得意料理が食卓狭しと並んでた。
 何を食べてもおいしいと言ってにこにこしているテツに、お袋は大喜びだった。
 いわく、うちの師弟――親父とオレは食に関して無頓着で張り合いがないんだそうだ。
 親父もオレもちょっとは反論したけどね。でも、テツのおいしい笑顔にはかなわない。
 食後のデザートは、リュウジがお見舞いにもってきてくれた桃の缶詰だった。
 生の桃とは違う、どこか懐かしい味がした。
 親父が晩酌しながらテツに武勇伝を語ったりしてる。テツも楽しそうに聞いてた。




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てのひらに熱情を 4-2



 すっかり酔っぱらった親父が寝床へ引き上げたのを潮に、オレはテツを散歩に誘った。
 「こっちのほう、やっぱ暖かいなー」
 肩を並べて夜道歩き出すと、テツが伸びをしながらそう言った。街路灯にテツの金髪が輝いてる。
 「美山瀬はまだ寒いんだ、夜」
 「うん。こっちよりは冷えるね。山だから」
 テツの地元は山のほう。ダム湖のある観光地だ。オレはそこで、はじめて自分と同じような立場の仲間――美山瀬烈風隊の特攻隊長・テツと出会った。それが秋のこと。
 そういえばふたりだけで一緒にいるのって、初めてのことだった。
 「ハヤト、髪伸びたね」
 「そう。オレもさっき思った。そろそろ切ろうかな、って」
 「いいんじゃないのー? そのままでも。おれもしばらく切ってないし。トップは自分で切っちゃうけどね」
 「え。そうなんだ。それ、自分でやってるんだ。器用だな、テツ」
 「だって、面倒だし。床屋とか。ブリーチも自分でやってるしね」
 逆毛を立てたトップに手をやって、テツはえへへ、と笑ってた。

 オレはコンビニにでも行こうと思って家を出たんだけど、一番近いコンビニは話しているうちに通り過ぎてきてしまった。
 それから数軒同じようにスルーして、気づいてみたらいつもの河川敷まで来ていた。
 「うわ、川だ」
 「こんなとこまで来ちゃったな……惰性っておそろしいね」
 「あれ、なんだ。ここへ来るつもりじゃなかったんだ、ハヤト」
 「うん。ちょっとコンビニでも、って思っただけなんだけどね」
 「うはは。そうとは知らずについて来てたなー」
 まあいいか、と笑いあって、土手を降りてみることにした。
 「ここって集会所だろ? ハヤトたちの」
 「うん、そう。わかるんだ?」
 「まあねー。こう、雰囲気で」
 
 土手の斜面は、それなりに草が生えはじめていた。青臭い匂いがして、座ってみたらしっとりと露に湿っている。
 「そういえば、ハヤト」
 「なに?」
 「言いたくなかったらべつに聞かないけどさ。もしかして、リュウジと何かあった?」
 「あ――わかる?」
 「わかる、ってゆーか。仮病なんだろ?」
 そうだった。オレが仮病だって、テツは知ってるんだった。
 
 ポケットからガムを出して、オレに勧めてくれながらテツは言った。
 「リュウジってハヤトにべったりじゃん? いつも」
 「あはは。珍しいこと言うな」
 「そうかなー? でも、おれにはそう見えるけどな。リュウジって、なにかとハヤト、ハヤト……じゃない?」
 「そればっかりでもないと思うけど……」
 でも、言われてみれば完全に否定できる感じじゃないかもしれなかった。
 「まあ、きっと呼びやすいんだよ。オレの名前が」
 「うはは。そっかー。そういう理由なんだ」
 あえてそれ以上テツは突っ込んでくる気はなさそうだった。
 テツにそういうふうに見られていたんだ、ってオレはしばし考えた。
 そう見えるってことは、リュウジはそれなりにオレを信頼してくれてるのかな。
 
 「テツ」
 「んー? なに?」
 「オレさ、ちょっと話していい?」
 「どうぞどうぞ。好きなだけ」
 渡りに舟、ってこういう気分のことを言うんだろうな。
 昨日からの複雑な気分を誰かに話してわかってもらおう、なんて、今の今まで思っていなかったんだけど。
 ノブオは置いといて、どんな話でも受けとめてくれるはずの頼れるダイゴにも話したい気分じゃなかったのは、きっとオレ自身がわかっているから。自分がみっともないだけだ、って。
 「格好のいい話じゃないんだけどさ」
 「いいんじゃない? おれにかっこつけてもしょうがないだろ」
 ああ――そうか。テツには格好つける必要ないんだ。
 今日テツがここにいるのはきっと神様が仕組んでくださったんだな。



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てのひらに熱情を 5-1

 
 
 じっと座っていると、川からの風はそれなりに冷たかった。
 それでもオレは――千載一遇の好機とばかりにテツにすがることにした。
 どうやらオレって、落ち込んだ気分を自分で消化できるタイプではないらしいと初めて気がついた。そもそもあんまり落ち込んだりしないほうだから知らなかったんだ。

 オレの落ち込んでいる原因、リュウジの放ったひとことをテツに話したところ。
 「なるほどなー。『ハヤトの喧嘩にゃ期待してねえ』ってか」
 「うん。まあ、しかたないんだけどね。事実ではあるし」
 「そうか。ハヤトって喧嘩しないんだったっけ」
 「しない、っていうか。リュウジにも言われたけど、必要とされることがなかったから」
 「なるほど。ハヤトにやらせるぐらいだったら自分が出てったほうが早いってんだな、リュウジも」
 「そうだね。それに、うちには腕っ節の強いダイゴもいるし、ノブオだって逆上するとすごいから。オレだけがゆるいんだよな」
 「まあまあ。そんなに自分をいじめることないって。その分、ハヤトは違う能力で貢献してるんだろ?」
 ぽんぽん、とオレの背中をテツが叩いた。
 「なんて、こんな言葉でハヤトが納得するんだったら、そもそもおかしなことになってないのは承知してるけどさ」
 テツはちゃんと察してくれている。このへん、すごく楽だ。
 
 「あ~あ。オレ、ほんと格好悪いよね」
 「うん。ほんとー」
 「だよな。テツが素直で救われるよ、オレ」
 「ってゆーか、誰だってそんなかっこいいもんじゃないだろ? 人間だし。おれなんて、かっこいいなんて言われたことないしねー。ハヤトは言われなれてるかも知れないけど」
 「……え、オレ? オレは基本的に『とぼけた奴』ってのが最大の褒め言葉だけど」
 「うはははは。それ、リュウジだろー? だから言ってるんだってば。リュウジがハヤトにべったりだから、ハヤトにはそれしか聞こえないんだ」
 「あはは。そんな独特な解釈、初めて聞いたよ」
 オレは曖昧に笑ってる。そんなもんなんだろうか。

 「まあねー。リュウジは悪気ないんだろうね」
 「そうだね。それはわかる。オレにだって。っていうか、それにこだわってる自分が嫌いなんだ、オレ」
 あ、そうか。
 深く考えないで言った自分の言葉に気づかされた。
 そうか――オレ、そこが納得いかなかったんだ。

 「なんかすっきりしたっぽいな、ハヤト」
 オレの様子を見て、テツがにまりと笑って見せた。オレは納得して頷いてみた。
 「オレ、自己嫌悪をリュウジになすりつけてたのかも」
 「わはは。自己嫌悪って、ハヤト。そんな深刻なキャラじゃないだろ? 似合わないからやめといたほうがいいよー。それこそリュウジが期待してないと思うしさ。おれ」
 テツは笑い飛ばす勢いだった。
 それは決してオレを馬鹿にするとか、そういうことじゃなくて。
 なんだかあったかい感じが伝わってきた。
 普段から顔を合わせているわけじゃないのに、不思議とテツに理解してもらえてる。
 「テツ、ありがとう」
 どう言ったらいいんだかわからなくてたったそれだけ返してみたんだけど、テツは大きく首を縦に振ってくれた。




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てのひらに熱情を 5-2



 さすがにちょっと冷えたから、と言って、テツは土手を上がっていった。
 戻ってきたときにはあったかい缶コーヒーを持ってた。1本をオレに投げてよこしながら言った。
 「それで? ハヤトはどうしたいと思ってる?」
 「どう――って」
 口ごもるオレを、テツは待ってくれている。掌の中であったかい缶を転がしながら。
 
 オレも同じようにしながら考えているところ。
 確かにオレだって、手出ししたくなる瞬間っていうのはある。暗黒一家の無法っぷりには、リュウジじゃなくても怒り心頭の心持ちになるわけだし。
 いつでも事態が単車勝負に切り替わったときにだけオレの存在意義があるのが現状。
 ただ――オレだけがそれでいいんだろうか、って実はずっと思っていたらしい。今それを知ったところのオレは、やっぱりとぼけた奴に他ならないのかも。
 やっと絞り出した苦し紛れの答えがこれだった。缶のふたを開けながら言葉にする。
 「前向きに、リュウジの脇を固めたいと思うな、オレ」
 「うん。いいんじゃない、それで」
 言いつつテツが、自分もふたを開けた缶をオレに差し出した。乾杯――ってことか。

 テツの買ってきてくれた缶コーヒーは、唇から胃までの経路を滲みるようにあっためてゆく。うん、心臓の近くを通ってった、今。
 「だからー。そんな深刻そうな顔するなってば、ハヤト。おれ、そうゆうの得意じゃないからさ。ってゆーか、おれ、聞き役そのものに慣れてないって話」
 「あはは。そうか。テツってよくしゃべるもんな。悪かった」
 「まあ、たまにはいいよ。たまーには、ね」
 きれいにブリーチされているテツの長髪が、川からの風に揺れていた。

 パズルのピースがすとん、と、まるで音を立ててはまる瞬間みたいなやつを味わったオレは、ふと思ったことを訊いてみる。
 「ところでテツって、喧嘩強かったりする?」
 「ええっ。おれ――ああ、まあね。多少の心得は……まあ」
 つんつんに逆毛を立てた頭のてっぺんをを掻きながら、テツが答えた。
 「うん。それなりにはね。ヤらないほうじゃない。どっちかって言ったら」
 「そうか。そのほうが自然だよね。隊長のそばにいる者としては。タケルも心強いって思ってるんだろうな」
 「いや……まあ。そのう」
 やるなあ、っていう賞賛だけを用意していたオレだけど、テツの感じがさっきまでと微妙に違って伝わってきた。
 「あれ? なんかまずかった? だったらごめん」
 「いや、そういうんじゃないんだけどね」
 ええと――って感じで、テツは次の言葉を選んでいるような気配。
 
 ひと呼吸の間をおいて、テツがこう続けた。
 「ってゆーか、ハヤト。昼間さ、不自然に思わなかった?」
 「ん? 何を?」
 「今日って平日だろ? おれがなんであんな時間にハヤトんちにいたんだろ、って」
 「ああ、今日って平日だったんだっけ。忘れてたよ。オレ、学校サボってたから」
 「わはははは。そっか。同罪だったんだっけ」
 「同罪……ってことは、テツも? 仮病?」
 「あー、それはちょっと違うかも。おれは早退だから」
 「あはは。どっちにしても大差ないってことか」
 「んー、そうかもしんない」
 
 わざわざそれを持ち出すってことは、きっとテツも何かあるんだろう。
 『それで?』と視線だけで訊いてみる。テツが言いたくなければ見なかったことにすればいいだけだから。
 頷いたテツは、オレの視線への答えを用意したらしい。
 「それにもさ。ちょっとばっかり理由があって」
 「うん」
 こんどはテツの言葉をオレが待つ番。
 「今日さ。学校で――」
 テツが何か言いかけたとき。
 河川敷の土手に陣取ったオレたちの真上、川沿いの道路の海側のほうから、ふたつの爆音が絡み合って近づいてきたのに気づく。
 視線をテツから逸らして上に向けると、次第に大きくなってくる単車のシルエット。
 「あれ? ノブオか――?」




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