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麗しき白薔薇の素顔 4-2



 さらにその翌日の放課後、ホームルームが終わった直後のこと。
 「ハヤト、今日は速攻帰るぞ!!! また昨日みたいな姉ちゃんたちに会うと厄介だからな」
 「あ、うん。そうしようか」
 リュウジの幾分慌てた様子に内心くすくす笑いながら素直に答えた。
 確かにね。オレもリュウジほどじゃないけれど、白鳥先生の取り巻きのお姉さんたちの勢いには圧倒されるほかはないから。

 下駄箱で会ったダイゴと、校門のところで追いついてきたノブオも一緒に今日は4人で歩く帰り道。
 歩き始めると、思いついたようにリュウジが言った。
 「ダイゴ、時間あったら、ちょっと俺んちまで来ねえか?」
 「構わんが。どうかしたのか?」
 「オウ。実験的に作ってみたラーメンがあるんだけどな、それ、味見てもらおうかと思ってよ」
 「押忍。ならば喜んで」
 「ああ、ダイゴの味覚は確かだからね」
 「だろ? ハヤト」
 「兄貴、オレも行っていいっスか~?」
 「よし、そしたらノブオも来い。ハヤトはどうする?」
 「ん~。じゃ行こうかな。オレの味覚は参考にならないだろうけど」
 「わはははは!!! わかってるって」
 リュウジはオレの肩を叩いて笑ってる。

 そうしたわけで、4人してリュウジの家――昇龍軒を目指した。
 昇龍軒は商店街の中にある。ここで生まれ育ったリュウジは、商店街のどの店の人とも顔見知りだ。
 だから、リュウジと一緒にここを歩くといろんなところから声がかかるんだ。
 今日は肉屋のおじさんに呼び止められた。
 「よっ、リュウジ。今日は友達といっしょか?」
 「オウ、おっちゃん!!!」
 手を挙げてにこやかにリュウジは応える。それを見て、これまた人の好さそうな丸顔のおじさんは、屈んでショーケースの中をごそごそいじっている。
 「ほれ、おやつだ。食っときな。育ち盛りだもんな」
 言ってリュウジに紙袋を手渡した。
 「いつもありがとな、おっちゃん。こんど店でサービスするぜ!!! 寄ってってくれな」
 「ははは。ありがとよ。期待してるわ」
 リュウジが手を振るのを合図にオレたちもおじさんに会釈して、肉屋をあとにした。

 「兄貴、それ、中は何っスか~?」
 ちょっと先まで歩いたところで、ノブオがリュウジにこう訊いた。
 「これか? コロッケだな、多分。俺が子供の頃から、おっちゃん、よく食わせてくれててな」
 「へええ。いいっスね~」
 「まあな。この商店街がまるごと俺の『家』みたいなもんだしな」
 リュウジがそんなふうに言ってた。どこか誇らしげに見える。

 さて、もう少しでリュウジの家、というところに花屋がある。
 いつでも文字通り花やいだ雰囲気で、たまたま通りかかったときに自動ドアが開くと何とも言えない芳香が鼻をくすぐるお店。
 店番の若いお姉さん――彼女もリュウジとは顔見知りらしくて、よく挨拶してる――が花束を作っていたりするのを見かける。
 ちょうどそこに4人で近づいたときのことだった。
 「あれ――リュウジ。あそこ。なんか中を覗いてる人がいる」
 「うん? ああ、本当だ。何だ? 怪しい奴か?」
 声をひそめてリュウジとささやき交わした。ダイゴとノブオの耳にも入ったようで、揃って歩調をゆるめてそちらを見た。
 
 店の前の電柱に貼り付くように身を潜めて中を覗いている人。
 リュウジはオレたちに向かってひとつ頷くと、その人に向かって一歩を踏み出した。




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麗しき白薔薇の素顔 5-1

 
 
 「オイ!!! 何を覗いてるんだ? この店に何か用か?」
 リュウジが声をかけつつ肩を叩くと、電柱の影から花屋の中を覗いていたその人は、極端にびっくりした様子だった。
 身を大きくふるわせて、その拍子にこちらを振り返る。
 と――
 「あれ? 白鳥先生か?」
 「え、あ、いや――うわ、リ、リュウジ君、ハヤト君も――」
 「オウ」
 リュウジが答えるのに対して、白鳥先生の様子はあきらかに妙だった。
 いつでも鷹揚な仕草をするはずの白鳥先生なのに、これまでのオレたちが想像もできないようなうろたえ方をしている。
 
 「ど、どうして、こんな……」
 オレたちを順に見回す目は泳いでいるし、声までうわずっている。
 「どうして、って。俺んち、近所だからな。それよか、どうかしたのか? 白鳥先生。この店に用なら中へ入ればいいじゃねえか」
 「め、滅相もない!!」
 「ってか、何をそんなに慌ててるんだ? おかしいぞ、なあ、ハヤト?」
 「うん、確かに」
 「べ、別に。私は普段どおりだが?」
 言って、白鳥先生はとってつけたように、いつもみたいにふわりと前髪を掻き上げる。
 ちらっと見えた額に、うっすら汗が浮いていた。
 
 と、そのとき。花屋の自動ドアが開いた。
 「どうかしたの? リュウジくん」
 「オウ、あおい姉ちゃん」
 リュウジが挨拶した相手は、背が低くてアニメのキャラみたいな独特な声をした女の人。オレも会釈くらいはしたことのある、花屋のお姉さんだ。
 「いやな、ウチんとこの教育実習の――」
 リュウジが言いかけたときだった。
 何を思ったのか、白鳥先生はお姉さんとオレたちの真ん中を突っ切って、逃げるように走り出したんだ。
 「あ、おい、ちょっと待てや!!! ノブオ、追いかけろ!!!」
 「了解っス、兄貴!!」
 リュウジの指示を受けて、ノブオが白鳥先生の背中を追って走り出す。
 一歩遅れてリュウジも行った。
 
 花屋のお姉さんは、その様子をぽかんと口を開けて見ていた。
 「何なの? どうしちゃったの? リュウジくん」
 「え~と……」
 その場に取り残されたオレとダイゴで、しどろもどろにお姉さんに話しをした。
 オレたちも何が何だかよくわからないので、たいした説明はできなかったけれど、自分とこの教育実習の先生が挙動不審だなんてさすがに言えなかったから、あれこれつくろってごまかしつつ。
 「とにかく、大事はありませんゆえ」
 「そう? ならばいいけれど」
 ダイゴが大きく頷きながら言ったのに納得してか、お姉さんは店の中に戻っていった。

 ダイゴとオレはどうしたもんかと顔を見合わせて、この場には居づらかったのでリュウジの家の方向へ歩き出した。白鳥先生が逃走したのもこっちの方角だったし。
 「ほんと、何だったんだろ、白鳥先生」
 「さてな。だが、リュウジが逃がしはせんだろうな。恐らく」
 「そうだね。ちゃんと説明しろや、とか言いそうだ」
 「押忍。リュウジならずともあの挙動は気になるしな」
 「ほんとだ。オレもこのままだったら明日学校で変な目で見ちゃうだろうしね」

 ダイゴと話しながら歩いていると、前方からノブオが走ってきた。
 「ハヤトさ~ん、ダイゴさ~ん!!」
 「あ、ノブオ。どうなった?」
 「ええ。首尾良く任務完了っス。てゆーか、兄貴がとっつかまえたんですけどね。とにかく捕獲済みですんで。さあ、兄貴の店、行きましょう!!」




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麗しき白薔薇の素顔 5-2



 ノブオに言われて、オレたちは急ぎ足で昇龍軒に向かった。
 どのみちここへ来る予定で歩いていたんだけど、予定外の展開をはさんでの到着だった。
 ノブオが先頭に立って開けたドアの向こう、夜の営業がはじまる前のラーメン店は、厨房では仕込み作業をしている音がする。
 
 リュウジが奥の6人掛けのテーブルについて、腕組みしているのが見える。
 その向かいには、こちらからは後ろ姿の白鳥先生が「座らされている」といったふう。
 「オウ、みんな来たな」
 「は~い、兄貴」
 リュウジに目顔で示されて、オレたちもそれぞれ席についてみる。オレがリュウジの横、オレの隣にノブオ。向かいの白鳥先生の隣にはダイゴが座る。

 「んじゃさっそく訊くけどな、白鳥先生」
 リュウジが真っ正面から白鳥先生を見つめた。
 「あそこで何をしてたんだ? どう見ても怪しかったぜ?」
 「……別に、何も」
 「別にってことねえだろうが!!!」
 リュウジが語気荒く言うのにも、白鳥先生は動じる様子もなく。見方を変えれば、開き直ってでもいるかのようだった。

 ワンテンポの間をおいて、観念したように白鳥先生はこう答えた。
 「――たとえて言えば、花に見とれていた、とでも」
 「花に……だと?」
 「ああ、そうさ。それが何か悪いことでもあるというのか? リュウジ君」
 「いや、別に悪くはねえけどよ」
 なるほど、そう言われたら反論できないな。
 「花、ね。確かに白鳥先生に花は似合うけど」
 「そうっスね、ハヤトさん」
 「けどよ、それだったら余計におかしいんじゃねえか? 見たいんだったら中入ればいいじゃねえかよ。お客を追い出すような店じゃねえぞ? あそこは」
 「ですよね~、兄貴」
 なんて、オレたちが言うのには白鳥先生は無反応だった。
 
 リアクションは次に訪れる。
 「先生、『花』とは比喩的な意味合いか?」
 「ど――どういう意味なのだ、それは。ダイゴ君」
 一旦落ち着いたように見えた白鳥先生の語調が、またちょっと変わった。
 「うん? なに的だって? 難しい言葉使ってるな、ダイゴ。よくわかんねえけど――って、ああ、そうか!!! 俺、わかったぜ。白鳥先生、あおい姉ちゃんを見てたんだろ?」
 冗談めかしてリュウジが言った。ダイゴの言葉の意味はまさにそれだったんだろうけど、リュウジにはわかっていなかったようで……うん。思いつきみたいに言ってた。
 
 リュウジが大きな声で言った直後。がたん――と音を立てて椅子からはじかれたように白鳥先生は立ち上がった。
 口をぱくぱくと開けたり閉じたりしている美青年は、可能ならば逃げだそうと試みたようだ――けれども隣にいるのは巨躯のダイゴ。当然のことならば退路をふさぐ格好で。

 「――悪いのか? 恋する女性の姿を数年ぶりに見たいと思うことは、そんなに悪いことなのか……?」
 あきらめの極致、とでもいった口調が形のいい唇からこぼれおちた。
 そして、おそらく癖である前髪を掻き上げる仕草。
 ほんの短い付き合いの中だけど、白鳥先生のこんな表情を見ることがあるなんて思いも寄らなかった。
 おそらく、昨日出会った白鳥先生のファンのお姉さんたちにだって想像できないんじゃないのかな。




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麗しき白薔薇の素顔 6-1

 
 
 言うなれば容姿端麗かつ流麗な立ち居振る舞い。2度も重ねた「麗」の漢字が似つかわしい美青年・白鳥先生は、オレたちの想像が及ばないような弱々しい目の色をしていた。
 「恋する、って、オイ。白鳥先生?」
 「ふふふ。おかしいのなら笑ってよいのだよ、リュウジ君」
 「いや、全然おかしくなんかねえけどよ」
 初対面のときからそうだと思っていた白鳥先生は、やっぱり今もリュウジのペースを混乱させているようだ。
 けれども――今の場合は、白鳥先生当人のほうがより一層、リュウジにペースを変えられているんだろうとは思う。

 「もう包み隠しても仕方がないのだね、諸君。そうさ、私はずっとひとりの女性を想い続けているのだ。遠く離れたところに暮らしている今も、密かに」
 「ずっと、って?」
 「私が鬼工の生徒だった時代からずっと、という意味さ、ハヤト君」
 「あおい姉ちゃんを、ってことだよな?」
 「ああ――その通りだ」
 リュウジが『あおい姉ちゃん』の名前を出したとき、白鳥先生の背中がぴくっと動いたのが見てとれた。

 ひとめぼれだったのだ、と白鳥先生は言った。
 当時、学校帰りにたまたま通りかかったこの商店街で、セーラー服姿のあおいさんを花屋の前で見たんだそうだ。花束用の小さい花のひまわりを両手に抱えていたんだという。
 小さなひまわりがやけにあおいさんの雰囲気にぴったりで印象的だった、と。
 「だから私は鬼工生だったころ、毎日この商店街を歩いていたのだよ。一目でよい、彼女の姿を見たい、という衝動からね。よって、実を言えばこの店にも寄らせていただいたこともあるのだよ、リュウジ君」
 「お、そうなのか? ぜんぜん知らなかったぜ」
 「私もすっかり忘れていたよ。この店の息子さんがやんちゃな少年だったことをね」
 なんだか遠い目をして、白鳥先生は正面のリュウジを見た。小学生から中学生の頃のリュウジを思い出しているんだろうか。
 
 「でも、見てただけなんだ? 花屋のあおいさんを」
 「無論そうさ、ハヤト君。私は可憐な彼女を見ているだけで幸せだった」
 「なんでっスか? 告白しちゃえばよかったのに。ねえ、ハヤトさん?」
 そうだね、とノブオに頷き返したところで白鳥先生は大きな声で慌てたように言った。
 「――まさか!! どうしてそのようなことができるというのだ!!」
 ふたたび白鳥先生は、椅子を蹴飛ばす勢いで立ち上がった――今度は逃げようとしたわけではなさそうで、単に驚いただけといったふうだった。

 「先生。落ち着いて欲しいのだが」
 「ああ、済まなかったね。ダイゴ君」
 ダイゴに宥められて、先生はおとなしく席に着いた。
 ノブオが冷水器から水をくんでテーブルに置く。それを飲んで一息ついて先生は続けた。
 「私ごときが花に触れてはいけないのだ、と当時の私は自分に言い聞かせていた。それも強がりでしかなかったことくらい、解ってはいるのだけれど」
 「つまり、失恋するのが怖かった、ってこと?」
 オレが訊くのに、白鳥先生はこくりと首を縦に振る。
 「そう――かもしれない。というよりも、すでに彼女にはいつも仲良さそうにしていた男子がいたというのが私を前に進ませなかったという話だね」
 「そんなの関係ないっスよ!!! 男なら当たって砕けろ、ですよね、兄貴? って、あれ?」
 
 ノブオが同意を求めた先はリュウジだった。
 うん、きっとノブオに加勢するんだろう――とオレもダイゴも思ったけれども、実際のリュウジの反応は予想外だった。
 リュウジは、らしくない声音で静かに、感慨深そうにこう口にした。
 「白鳥先生……俺、すげえわかるぜ。そのころの白鳥先生の気持ち。見てるだけで幸せだ、とかっての」
 もしかしたら初めてリュウジと白鳥先生の波長が合った瞬間だったのかもしれない。




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麗しき白薔薇の素顔 6-2



 「俺、勘違いしてたみたいだぜ。白鳥先生ってよ、かっこつけてて、学校まで押しかけてくる姉ちゃんたちがいるような人気者で――俺なんかとは正反対の理解できない人だって思ってたんだけどな。けど、かっこいいばっかりじゃねえのが人間だもんな?」
 「おお、リュウジ君。君には解ってもらえるのだな?」
 「オウ。白鳥先生も俺らくらいの歳のときは、俺らと変わんねえ若造だったってことだよな」
 きっと何かしらリュウジにも、似たような心当たりがあるんだろう。
 オレたちの知らないところで、リュウジも誰かをひっそり見ているんだな。

 「そんなところだ、リュウジ君。しかも一層格好悪いことに、それは今現在でも続行中だ。だからさっき君たちに怪しまれたのだし」
 「こういうことだと解った今となってみれば、あれは悪いことしたぜ、白鳥先生」
 「いや。確かに挙動不審だったことは否めない事実ではあるし、ね」
 自嘲気味に言う白鳥先生も、その白鳥先生に理解のまなざしを送るリュウジも、オレたちが想像できなかった雰囲気だった。
 ふたりが固い握手を交わすのを隣で見ていた。
 意外にも見えたけれど、本人たちが大真面目ならそれでいいのか。
 
 リュウジと白鳥先生の間に連帯感が生まれたあとのこと。
 オレたちは昇龍軒での当初の予定であるラーメン試食を果たすことになった。
 リュウジが出してくれたのは、炒めたもやしの乗った味噌ラーメンが2種類だった。通常の半分サイズのどんぶりが、人数分の倍の数でテーブルに並んでいる。
 「へえ、もやし、炒めてあるんだ。ふつうは茹でたのが乗ってるよね?」
 「オウ、ハヤト!!! お前にしては鋭いな。驚いたぜ」
 「あ、ほんとっスね。いい香りっス、兄貴」
 「だろう? でな、ダイゴ。こっちがバラ肉で炒めたやつで、こっちが肉そぼろなんだけどな。どっちがうまいか比べてみて欲しいと思ってよ」
 「押忍。ではさっそく戴こう」
 
 そんなこんなで試食タイムのオレたち。
 ダイゴは目を閉じて真剣に味わいを比べている感じ。ノブオは当然のようにどっちもうまいっス、とか言ってるし、オレは――まあ、うん。ノブオと大差ないや。
 そして、試食者はもうひとり。さっきの話は一段落したんだけど、白鳥先生も試食メンバーに入っていたんだ。
 「で、どうだ? 白鳥先生」
 「ああ、なんだか懐かしいね、リュウジ君。鬼浜町での青春時代を思い出す味だ」
 「わはは!!! そりゃウチの味の基本は歴史が長いからな!!!」
 リュウジはオレたち試食者の――とくにダイゴの反応を見ていた。ときどきダイゴが意見するのに耳を傾けたり、冷水器から水を持ってきてくれたりしながら。

 箸を止めてふと見ると、リュウジの視線が白鳥先生で止まっているのに気づいた。
 「なあ、白鳥先生」
 「何か? リュウジ君」
 「あおい姉ちゃん、今、恋人とかいねえかもしれねえぞ?」
 「――――それが何か?」 
 つとめて平静を装って、白鳥先生はどんぶりに目を落としたままでリュウジに応えた。
 「俺な、やっぱりそこまで、長いこと想い続けてるんなら、ちゃんとあおい姉ちゃんに伝えてもいいんじゃねえかと思うんだよな。白鳥先生の気持ちってやつを」
 「いや、けれど、私は――もとよりそのような意図は持ち合わせていないので」
 「……振られるのがかっこ悪いからか? かっこつけたまま、いつか忘れられるのを待つってのか? それって、潔く振られたときより本当に格好いいのか?」
 白鳥先生もオレたちも、リュウジの勢いに圧倒されている。リュウジは言い継いだ。
 「そんなのって、白鳥先生のキャラじゃねえだろうが!!! もっといつもみたいにかっこつけてたらいいじゃねえか!!! 俺たち応援するぜ、なあ、みんな?」

 白鳥先生は知らないと思う。リュウジがこんなに瞳を輝かせて、こういうふうに言ったあとに何があるのか。
 リュウジ、本気だな。がんばれ、白鳥先生。オレはどんぶりの底に向かってつぶやいた。




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