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次回作近日公開予定



どもです。
華丸でございます。

ただいま休暇中(本編更新的な意味で)。

次回作は 3月3日 23時台くらいに連載スタート予定
とさせていただきます。

目下推敲中でございます。

もうちょっとばっかりお待ちくださいませ。

夜露死苦ぅ(はぁと)



 ↓《続きを読む》にてチラ裏
  

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商店街で君と握手!! 1-1



 夏ならではの陽射しが肌を灼く。もともと色素が濃いほうじゃないオレの肌も、この時期だけはちょっとは健康的な感じになる。
 とくに夏休み前半は、体育の補習やら野球部の練習を邪魔するやら、けっこうお天道様に親しんだほう。だから現在は、オレの肌にしては近年まれに見る小麦色だ。まあ、肩なんかは灼けすぎて皮が剥けたりしてさんざんだけど。
 本来は夜型、遊ぶんだったら日が暮れてから、のオレたちなんだけど、どうしたわけだか今日に限って真っ昼間にリュウジのところに行ってみようと思い立った。
 取り立てて用事があるわけじゃないので外出中だったらそれでいいか、と思ったからとくに前もって電話もしないで、本当にふらりと、単車にも乗らずに。

「よっ、リュウジ」
 ちょうど昇龍軒の昼の営業が終わる頃合いだった。
 オレが店の前についたときは、今まさにリュウジがのれんを片付けるところ。
「オウ、ハヤトか」
「うん。今日も暑いね」
「そうだな。どうした? 買い物でもしてるのか?」
「いや、別に。ただなんとなく、遊びに来ただけ」
「遊び? どこにだ?」
「え――って、ここに。ほら、こないだ読みかけた漫画があるからさ。その続きでも読ませてもらおうかと思って」
「そ、そうか? いや、だけどな……」
 あれ? なんか妙だな。リュウジにしては歯切れの悪い応えが返ってくる。
「ん? どうかした? 都合悪いんだったらまたにするけど?」
「オウ……けど、いや、都合悪いってか」
 ほらな、やっぱり妙だ。リュウジらしくない。
 きっと個人的に何かあるんだろうな、と察したから、オレはそれ以上聞きほじることもしないつもりでこう言った。
「そしたら、今日はべつにいいや。また来るから……」
 そのときに読ませて、と続けるつもりだったオレの言葉は見事に遮られたんだ。

「ごめんごめん。遅れたね、リュウジ。あれ、結局ハヤトも引きずり込んだんだ?」
 昇龍軒の前で問答していたオレたちの背後から声がした。
 振り返ると、亜由姉さんがそこにいた。ゆるいパーマの茶髪をふたつにわけて結わえて、Tシャツにデニムのラフな服装。背中にはリュック、手には書類を入れるようなプラスティックの円筒を持っている。
「あれ、亜由姉さん――?」
「うわあ、亜由姉!!! 違う、そうじゃねえんだ!!!」
 そのリュウジの様子を見て、オレは悟った。
 夏休みに入ったころに行ったおもちゃ屋で、偶然亜由姉さんに会ったことがあった。そのときに妙に言葉に濁していた『何か』の続きなんだな、これは。
「リュウジ、悪かった。オレ、内緒を詮索するつもりなんてないから。そしたら、今日は帰るよ」

 ふたりに手を振って、もと来た道を引き返そうとしたときだった。
「あ、ちょい待ち、ハヤト。っていうかね、リュウジ。どうせだったら、ハヤトを話に加えない? とぼけた従弟で恐縮だけど、意外と役に立つと思うんだよね」
「……悪かったね、とぼけた従弟で」
 何のことだかわからないけど、とりあえずこれに関してはひと言つけとこうかな。
「オウ。俺も付き合い長いし、とぼけてるのは充分わかってるんだけどな、亜由姉」
「……悪かったね、とぼけた特攻隊長で」
「わはははは!!! そんな顔すんなや、ハヤト!!! おっしゃ、わかった。亜由姉がそんなに言うんだったらハヤトも道連れにしとくか」
 何かを思い決めたようにリュウジは言って、そして亜由姉さんとオレとを《準備中》のプレートの下がった店の中に招き入れてくれた。

 いつも汗をかきながらラーメンをいただく店だからそんな印象なかったけれど、こうして炎天下から入ってくると冷房がしっかり効いている昇龍軒。厨房で夜の仕込みをしている音を聞きながら、亜由姉さんとオレは並んでテーブルについたんだ。
 リュウジは一度自室に戻った。オレはよくわからないまま亜由姉さんとふたりきり。
「で? 一体、何の密談をしようとしてたの?」
「あはははは、密談って。まあ、それは首謀者自らお話になるでしょ」
 亜由姉さんはそんなふうに言ってる。あくまでリュウジ次第ってことなんだな。




商店街で君と握手!! 1-2



「待たせたな、亜由姉、ハヤト」
 言いつつ階段を下りてきたリュウジの手には、子供用の絵本が数冊載っている。
「何、それ?」
「これか? まあ、資料ってとこだな。こないだ古本屋で買ったんだぜ」
「ああ、ノブオと行ったときか」
 リュウジがテーブルに置いたそれを手にとってみる。内容は――子供時代だったオレが確実に喜びそうなやつ。
 悪と戦う変身ヒーローの活躍の本ばかりだった。
 オレが好きな戦隊ものもあったし、異星人や怪獣と戦う巨大化ヒーローのやつもある。
 
「で? 亜由姉、どうだ?」
「ああ、うん。とりあえず第一稿ね。こんなもんでいかが?」
 リュウジが問うのに応えて、亜由姉さんは円筒のふたを開けて中身を取り出した。
 テーブルの上に広げられたのは大きな画用紙。絵描きの亜由姉さんの作品らしい。
 描かれていたのは、ポーズをとるひとりの姿だった。
 頭には顔まで覆うヘルメット状のかぶり物、背中にはマント、腰にはいかにも秘密のありそうなバックルつきのベルト。
 赤いバトルスーツに変身後と思われる、これはまさしくヒーローみたいだ。
「お、すげえな、亜由姉!!! ずいぶんと本格的じゃねえか」
「でしょ? これでよかったら、この上に題字を入れて、下のほうには日時と会場を入れるといいかな、って」
「オウ、そうだな。今度の会議に持ってってもいいか?」
「もちろん。あ、手直しするとこがあったら遠慮なくね。これでも、こっちは仕事として受けてるんだから」
「当然!!! 最高のもんを作りたいから手抜きはなしだぜ」
 リュウジがさも満足そうに頷きながら、亜由姉さんの描いた絵に見入っている。
 それを見守る亜由姉さんの表情にはどこか誇らしさが漂っていた。なんというか、プロの風格とでも言うか。
 
「えっと――」
 リュウジと亜由姉がふたりで盛り上がりつつ、真剣に話しているのにおずおずと割ってはいるオレ。
「これはいったい、何の話?」
「あ、そっか。ハヤトに説明してなかったわ」
「言われてみればそうだな。ここまで見られてるんじゃ今更何を隠しても始まらねえな。仕方ねえから教えてやるぜ、ハヤト」
「……って、なんかこっちが申し訳ない雰囲気」
「わはは、いいってば。どうせこうなると思ってたしな? 亜由姉」
「そうね、リュウジ。まあ、あんたがもうちょっと隠し事とかポーカーフェイスとか上手だったらそんな心配なかったんだけどね」
「ちぇ。俺かよ。まったく、敵わねえなあ、亜由姉には」
 苦笑いで言いながらも、リュウジが話してくれる気になったみたいだ。
 
 つと席を立って、リュウジが冷蔵庫から瓶のコーラを3本持ってくる。
 それぞれ栓を開けて、コップと一緒にオレと亜由姉さんの前に置いてくれた。
「あ、悪いね」
「いや、どうってことねえ」
 それで喉を潤してから、リュウジが話を切り出すのを聞いている。
「ほんのちょっとした思いつきだったんだよな、最初は。で、話してるうちにどんどん乗り気になってきた、ってか。せっかく夏なんだし、いつもと違うことやっても楽しいかも知れねえし、って感じか?」
 そうか。楽しいんだ。リュウジが楽しいんだ。
 リュウジの顔はやんちゃ小僧みたいに輝いてたから、それがよくわかる。




商店街で君と握手!! 2-1



 昇龍軒のテーブルで、亜由姉さんが描いた絵を前にリュウジが話すのを聞いている。
「あのな。ここらで毎年、盆踊りやってるの知ってるか? ハヤト」
「盆踊り……ああ、そういえばやってたね。夏の終わり頃だっけ?」
「そうだ。いつも盆休みの次の土日にな」
 それはオレにも覚えがあった。ゲーセン裏の公園にやぐらを組んで、提灯を吊して。気合いの入った太鼓の音を去年も確かに耳にしたはずだ。
 それが――? と声に出さずに目顔で問うと、リュウジはこう続けた。
「その盆踊りってのは毎年ここらの、鬼浜町商店街が主催しててな」
「へえ、そうだったのか。知らなかった」
 なるほど。いかにもリュウジが好きそうだ。
「盆踊り自体は夕方から始まるんだが、毎年は日曜の昼間にカラオケ大会をやっててな。まあ、おっちゃんおばちゃん向けの企画だな。こう、やぐらとは別にステージ組んで」
「あはは。まさに町内仕様のイベントだ」
 そう言ったらリュウジは笑って頷いた。

 リュウジはコップに注いだコーラをくいっと飲んでから続ける。
「それでな、今年はステージの空いてる土曜の昼間に、子供向けのイベントやろうぜ、っていう話になって。ヒーローショーでも呼ぼうってことだったんだ、最初は」
「ああ、なるほど。頼めば来てくれるらしいからね、プロの興行が」
「そうなんだけどな。でも、それじゃ面白くねえだろ?」
 え、そうかな? おもしろくないってこともないんじゃないかな――とは思ったけれど、口を挟む余地はなかった。リュウジが続けてこう話す。
「しかも、その話をたまたま聞いてたノブオが思いついたことがあってな。試しに商店街の集まりで提案したら、すんなり通って。プロ呼ぶより安上がりだし、ってことで」
 なるほど、なるほど。ここまで来たら、さすがに察しのよくないオレにだってわかる。
 やっと話がつながった、とばかりにリュウジの目を見る。リュウジが笑ってこう言った。
「わはははは!!! まあ、そんなとこだぜ。せっかくだったら俺がヒーロー役やったらいいんじゃねえかって。まったくノブオの奴、面倒なこと思いついたよな」

 やれやれ、って言いたそうな顔ではあったものの、明らかにリュウジはにこやかだ。
「とか言って。リュウジ、すごい乗り気のくせに」
「うん。そうだね、亜由姉さん。リュウジ、楽しそうだもんね」
「そうそう。それで、リュウジはあたしに、ポスター作成の仕事を持ってきてくれたの。あと衣装デザイン案ね。それで、ほら。この前あそこのトイショップで資料探してたわけ」
「そういうことか」
「それっぽい衣装はそのへんでも買えるけど、それを仕立て直して自分らしさを出したいとかって、なんだかんだこだわってるんだよ、リュウジってば」
「わはは、いいじゃねえかよ。こだわりは漢にとっては必要条件だぜ!!!」
 亜由姉さんが暴露したことについて、リュウジはちょっとだけ照れた顔をする。

 しばらくあと、とにかく用事は済ませたから、と亜由姉さんは帰ることにしたようだ。何でも、これから1件別の打ち合わせがあるんだ、とか。
「今日はわざわざ悪かったな、亜由姉」
「全然。当たり前だからさ、こういう場合はクライアントのところに出向くのが」
「暗い――なんだって?」
「あはは、クライアントね。お客さんって意味よ、リュウジ」
「ほう。なんか難しいな。けど、亜由姉。ほんとはな、ストーリーとか考えるのにも付き合って欲しかったんだけどよ」
「え、ストーリー? あはは、それ、あたしパスだってば。だって、あたしはただの絵描きだよ? むしろ、ほら。それだったらコレ置いて帰るから。ウチのとぼけた従弟がそっちのほうなら多少は役に立つはずだもん。ね、ハヤト?」
「うん。オレ、そうかも。ちょっとはアイディアとか出るかもしれない」
 亜由姉さんのご指名を受けて、オレは即座に答えている。

 オレの即答を、逆にぎょっとした目でリュウジは見てた。
「ってかハヤトが単車以外のこういうことに積極的だっての、珍しいんじゃねえか?」 
「いや、でも。オレ、ほんと好きだったからさ。子供の頃。だからけっこう詳しいよ?」
「だったらOKね。そしたらリュウジ。悪いけど、ほんとに時間だから。また連絡して」
「オウ!!! 気をつけてな!!! ってか、単車で送ろうか?」
「……それは遠慮させていただきます。次のクライアント、ごく普通の善良な企業だから、あんたの爆音マシンはちょっとどころか全然ムリ」
 じゃあね、と手を振って、亜由姉さんは昇龍軒を後にした。




商店街で君と握手!! 2-2



「それで? ストーリーとか考えるんだろ?」
 亜由姉さんが出て行ってすぐに、オレはリュウジに向き直って切り出している。
「うわ、すげえな。ハヤト、やる気じゃねえか?」
「当然。オレ、けっこうノってきたよ、リュウジ」
 なんだかわくわくする。テーブルの上に広げられた亜由姉さんの描いたヒーローが、オレにやる気をくれているみたいだ。
「とりあえず、大筋くらいはあるんだよね? 現状で。ストーリーの」
「オ……オウ。まあ、簡単なやつはな。ってかハヤト、有り得ねえ勢いだな」
 リュウジがたじろいでいるもんだから、オレはちょっとだけ身を引いて笑って見せる。
「あはは、ごめんごめん。ちょっと勢いありすぎた?」
「まあな。ってか、まだ全然考え中だからよ。ノブオと雑談した程度だしな。だもんで細かいことは決まってねえんだよな」
 
 それでもいいなら、という但し書きつきで、リュウジはこんなプランを話してくれた。
 最初に舞台に立つのは変身前のリュウジ。
 そこで、客席の子供らと対話方式で場を温める。
 しばらくして、客席アナウンスで敵からの挑戦状が読み上げられる。
 その後、客席に紛れ込んでいた敵の怪人が観客の子供を連れ去ろうとする。
 敵の怪人は、誰かひとりの子供を連れて舞台に上がる。
 リュウジがバトルスーツに変身して、敵に挑む。
 舞台上ではリュウジが怪人と相見え、そしてもうひとり、客席に仕込んでいる怪人の仲間が名乗りを挙げるのを、周りの子供らに退治するようにリュウジが指示する。
 闘いの末、怪人は泣きながら舞台袖へ退却――というのが筋なんだそうだ。

「ってわけで、怪人役は、ほら、魚屋のトシ兄に頼んでるんだけどな」
「ああ。俊也さんだっけ? 大学生の。そうか、夏だから帰省してるんだ」
「そうだ。あと怪人の仲間の頭数合わせに幾人か頼まねぇとな、ってとこか」
 リュウジのプランを聞きながら、オレは子供のころにどこかのデパートの屋上で見たヒーローショーの成り行きと思いを重ねる。 
「で、どうだ、ハヤト? 俺とノブオの考えた話ってのは」
「うん。悪くはないと思うよ。見てる子供たちも参加してる感じになるよね、それなら」
 オレがそう言ったのを承けて、リュウジはほころんだ表情を見せた。
「だろう? 俺ら、けっこう真剣に悩んだからな!!!」
「けど。オレだったら、ヒーローをひとりにはしないな、って思う」
「うん……? なんだって?」
 
 疑問符を投げて寄越すリュウジへ、オレは素直に、思うままを言ってみることにした。
「オレが好きだった『戦隊モノ』っていうのを前提にするとね。まず、客席を温めるのは必ずしもリーダーの役目じゃない。それは、そういう別のキャラクターを持った人物が任されるほうが普通だ。闘うときもそう。戦闘中の戦士は、目の前の敵と真剣に対面してほしいね。むしろ客席の状況に目を向けるのも別の、仲間の戦士のほうが自然じゃない?」
「ってハヤト。ずいぶん具体的だな」
「そりゃそうだよ。だって、そういう話をしたかったんだろ? リュウジは」
「まあな。言われてみればそうだけどな」
 リュウジが奇妙な顔でオレを見る。そうだよね。いつもとペースが違うことくらい、オレにだってわかってるからしかたない。

 けどオレは、ここだけは譲れないという思いでこう提案した。
「リュウジ。オレが好きなヒーローは、『隊』の一員なんだ。孤高のヒーローもかっこいいとは思うけど、それでもオレは、お互いに力を補い合うようなチームとしての『戦隊』にあこがれてたんだよ、子供のころ」
 ああ――そうだったんだ。言葉にしてみてようやく幼い頃のオレが理解できた。
 そう考えてみると、今現在のオレが置かれている立場っていうのは、その当時のオレが思い描いていた何かに近いのかもしれない。




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