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祭という名の激突に向けて 1


 「すっかり空は秋模様だな、ハヤト」
 「あはは、なんかリュウジ、詩人っぽいじゃん?」
 いつも通りの昼休み。
 食事を終えたオレとリュウジは、教室の窓際の席に座って窓の外なんか眺めていた。
 リュウジの言うとおり、夏よりだいぶ高くなった空にはいわし雲ってやつが浮かんでた。
 
 「まあな。俺、案外そういうこと考えて毎日生きてるんだぜ」
 「へ~。それは知らなかったよ」
 「あ、ハヤト!!! お前今笑っただろ?」
 「いえいえ。滅相もない」
 なんて、こんなリュウジとオレのやりとりもいつも通りな感じ。

 「しっかし食後ってのは、どうしてこうも平和な気分なんだろうなあ、ハヤト」
 リュウジは大好物のいちご牛乳をストローですすりながら、あくびなんかしている。
 「ん~。なんでだろ。食後は体があったまるからな。眠くなるからじゃないの?」
 「そうか。眠いと平和な気分なんだな──ってことはあれか? ハヤトはいつでも眠そうだから、常に平和な気分なのか?」
 「あはははは、どうかなあ」
 「そうか──だから喧嘩嫌いなんだな、ハヤト」
 「え? 随分飛躍するなあ、リュウジ……って、おい? リュウジ? あ~あ、居眠りなんて珍しいなあ」
 なんだ。飛躍してたのは半分寝ぼけてたのか。やれやれ。

 まあね。確かに昨夜も遅くまで外にいたからね。誰だって眠くなるよ。
 さてと、それじゃオレもついでに昼寝しようかな、なんて思って机につっぷした矢先のことだった。

 「失礼しま~す!! 兄貴~~~っ!!!」
 聞き覚えのある声が聞こえてきたので、オレは上半身を起こして扉のほうに目をやった。
 扉から入ってきたのは1年生のふたり連れ。ノブオと、野球部のエース・天宮くんだ。
 「ん? ノブオ? 天宮くんも。どうかした?」
 「チューっス、ハヤトさん!!!」
 「こんにちは」
 「ああ。どうもね」
 「しかし珍しいっスね。兄貴が寝ててハヤトさんが目を覚ましてるなんて」
 「うるさいよ、ノブオ」
 なはは、と誤魔化し笑いなんてノブオがしてる。つられて天宮くんも笑ってる。
 
 「ちょっと失礼──兄貴?」
 ノブオがリュウジを揺り起こす。
 「んんん、あと1分寝かしてくれや……」
 「ちょっと、兄貴!!!」
 ふたたび激しくリュウジの肩を揺さぶったノブオは──

 哀れなことに、珍しく寝ぼけたリュウジに顔面を殴打されていた。

 「うへ~~~、痛いっスよ、兄貴ぃ……」
 「ん? オウ、ノブオ!!! どうしたそんなとこに寝っ転がって?」
 ようやく目覚めたらしいリュウジが、倒れ伏したノブオを見やる。
 「あはは、リュウジ。それリュウジがやっつけた敵だ。リュウジの安眠を妨害したから正義の鉄拳を見舞ったんだろ?」
 「何? 俺か。それは悪かったな、ノブオ」
 「もう。いいっス、兄貴。オレがいけませんでしたよ」
 すこし赤くなった頬をさすりながら、ノブオは天宮くんに助け起こされている。

 「それで? 何かリュウジに用だったんじゃないの? ノブオ、天宮くん」
 「ええ、そうなんっス。な、天宮?」
 「ああ」
 ノブオの横で天宮くんが頷いた。

 「リュウジさん。ちょっと一緒に来ていただきたいんですが」
 背筋を伸ばして、野球部の1年生エースはリュウジを正面から見る。ひとえの、だが熱い何かを湛えている目が天宮くんの特徴だ。
 「うん? 俺か? 別に構わねえけど、一体どこまでだ?」
 「ええ。生徒会議室まで。主将がリュウジさんを待っているので」
 「主将──森園か?」
 「はい、そうです。主将が、リュウジさんに是非お願いしたいことがあるので、一緒に来ていただくようにと」
 言い終わると、天宮くんはぺこりとお辞儀をする。
 運動部ってのは、やっぱり躾が行き届いているんだな。ノブオも見習わせたいよ。

 「ふうん。何だろうな、ハヤト?」
 「さあ……」
 「まあいいや。森園の招きとあってはとにかく行ってみるか」
 「ありがとうございます!!」
 元気よく答えて、天宮くんはさらに深く頭を下げた。
 こんどはノブオも、なんでだか一緒にお辞儀していた。つられただけかも。
 「それから、ハヤトさんも是非ご一緒に」
 「え? オレも行くの?」
 「はい。これからダイゴさんも呼びに行きますので。皆さんで」
 天宮くんはそう言って、いつもの生真面目そうな表情をすこしだけ緩めたんだ。

 そうしたわけで、オレたちは天宮くんに連れられる恰好で渡り廊下を歩いていた。
 途中でダイゴも呼び出して、集団は5人になっている。
 「しかし森園はなんでそんな、会議室なんて物珍しいとこにいるんだ? 部室じゃねえのかよ」
 「さあね。どうしてだろ。確かに不思議だ」
 オレはリュウジと顔を見合わせる。
 「ああ──あの件か」
 「あの件? ダイゴ、心当たりあるのかよ?」
 「押忍。多少は」
 重々しく頷くダイゴに、ノブオが言う。
 「ダイゴさん。それ多分正解っス!!」
 
 さて、森園主将がリュウジを呼びだした理由とは?
 この扉を開ければわかるらしい。
 目的の会議室についたオレたちは、天宮くんが室の扉をノックする手元を見ていた。


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