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御来訪感謝

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祭という名の激突に向けて 4


 体育館では看板作成班が待っていた。
 フロアのもう半面を使っているのは、大きな布を広げている応援旗作成班。
 
 ノブオに促されて看板の下書きを見て、リュウジは満足そうに頷いた。
 「オウ!!! いいじゃねえか。ここんとこは何色に塗るんだ?」
 「ここは──そうだな、赤かな?」
 「濃いめの橙色でもよさそうじゃないですか? それか金色とか」
 「あ~、でもベースがこの色だからねえ。やっぱ赤?」
 なんて、美術部が中心となった看板班とリュウジはやりとりしている。

 「ね~、リュウジ、こっちも見てってよ」
 と、カラダは男子、ココロは乙女で知られる千晶ちゃんがフロアの向こうから走ってきて、リュウジをつかまえる。
 「オウ、千晶ちゃん。旗作ってるんだな」
 「だってさ、女子は裁縫できるだろ、って強引に。あたしできないのになあ。リュウジかわりにやってよ。巧いんでしょ?」
 背中の真ん中まである髪の毛をふたつに結った千晶ちゃんが、ぷん、と頬を膨らます。

 「いや、悪い。俺はこう見えて案外忙しいんだ。ほれ、ハヤト置いてくから好きに使っていいぞ、千晶ちゃん」
 「え──ってリュウジ……オレかよ!!」
 「んじゃ、まあいいや。ハヤトでも。ね、ちょっとこっちの端っこ持っててよ」
 「ええと、ああ、了解」
 逆らうとあとで誰に何て言われるかわかんないから、とりあえずここは千晶ちゃんに従っておくことにしよう。
 
 「ねえ、千晶ちゃん?」
 オレは千晶ちゃんに言われるまま、旗の隅を持って、幾人かの女子たちが混じっている作業風景を見守っていた。ちょっと目についたのは、そのデザインだ。
 「ん? なに、ハヤト」
 「この旗のデザインは、どこかで──」
 「あ、これね」
 ふわり、と千晶ちゃんは笑う。
 「わかる?」
 「そりゃ、当然。リュウジもちゃんと見たらびっくりしたろうにね」
 「ほんっと。リュウジって肝心なとこ鈍いよね。だから無粋な漢になっちゃうんだよ」
 「あはは、そうかも」
 「でしょ~?」
 
 なんて、笑いながら千晶ちゃんと一緒に見ている応援旗のデザインは、オレたちの隊旗をベースに手を加えたものだった。
 天下無敵の文字はそのままに、真ん中にあしらったのは鬼マークのかわりに鬼工の校章。上の『鬼浜爆走愚連隊』の部分は『鬼浜工業高等学校』に変更してある。
 オレが見てさえ感慨あったんだから、リュウジが見たら真剣に喜んだろうに……。

 「いいよ。完成してから褒めさせるから。リュウジには」
 「あはは、それも一興かもね」
 「相手がリュウジじゃね。仕方ないって」
 さすが千晶ちゃん。よくわかってるな、リュウジを。

 さて、それからあっちに呼ばれ、こっちに呼ばれをいくつか繰り返しながら、リュウジとオレは再度合流したあと中庭に来ていた。
 ここでは、くす玉割りに使う大きなくす玉を作る作業が進んでいた。
 つと見ると、森園主将が作成指導にあたっている模様。気付いたリュウジが声をかける。
 「オウ、森園!!! お前、グランドのほうはいいのか?」
 「ああ、リュウジ。相棒さんも。あちらは平気さ。うちの腕利きが目を光らせてる」
 「そうか。なら安心だな!!!」
 縁なし眼鏡を中指で持ち上げながら、森園主将は頷いた。

 「それにしても、やっぱり大きいんだね、くす玉って」
 ただいま行われているのは、巨大なお椀状の外殻を、寄ってたかって金色のペンキで塗る作業。かなりの大きさにオレは目を見張ってしまう。
 「ふふふ。そりゃそうさ、相棒さん」
 「どれくらいあるんだ? サイズは」
 「これはね、リュウジ。3尺玉だ。半径90cmある」
 「へえ。3尺玉って、花火大会を思い出す言葉だな」
 なんてオレは感心してしまう。

 「ところでふたりとも。今年のくす玉割りは俺が考えた新趣向なのだよ」
 「またしても新趣向か? 森園」
 「そうさ、リュウジ」
 もったいぶるように森園主将が言う。

 「わが陣が作ったくす玉は、敵陣の頭上に吊す。逆に、敵陣作成の玉はわが陣の頭上にあるわけ。そして、両陣営が玉を投げて割るのは、敵陣の頭上にある、自陣の作ったほうのくす玉だ」
 「……は?」
 「ふふふ。面白いと思わないか? 敵陣の頭上で割れるくす玉をわが陣営が作るのだ」
 どうも森園が言ってる意味がよくわからなくて、オレはリュウジと顔を見合わせる。

 「ええと、森園?」
 「わからないか? 鈍いね、リュウジ。相棒さんも」
 「何だとぅ?」
 ふふふ、と笑いながら森園主将はこう続けた。
 「この中に、何を入れたら面白いだろうな、リュウジ?」
 「うん? くす玉の中身か?」
 「そう。今回の取り決めでは、中身は自由なのだ。刃物のような危険なものや腐るものでなければ、中に何を入れてもOKなのだよ」
 森園主将は眼鏡の奥をきらめかせて言う。
 
 「ってことは──」
 「つまり……?」
 「危険ではないが、出てきてほしくないものを中に入れる。それを敵陣の頭上に吊って、必死に割る──楽しそうだと思うだろう?」
 「森園──お前、危ない思想を持ってるな」
 「ふっふっふ。お褒めくださって光栄だね。リュウジ」
 至って満足といった表情の森園主将だった。

 「で? 中には何を入れるんだ?」
 「それは、当日までのお楽しみだね、相棒さん」
 「もったいつけるじゃねえか、森園!!! つーか、これ、すぐ割れるように作ってもおもしろくねえだろ? けど、割れなきゃ負けるしな」
 「ふふふ、それは心配には及ばないよ、リュウジ。最後の目張りは公正を期すために、第三者に依頼することになっているから」
 あくまで用意周到の実行委員長の微笑は、どこか危険な香りを漂わせていたような……。
 
 

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

こんばんわ

はじめまして!!
ピノコさんとこから飛んできました。
なんかすごい!
鬼浜でここまで書けるとは(^-^;;
いや、マジで文才あるっすよ!
おなか抱えて爆笑して見ました♪
楽しい時間をありがとう。
またきてもいですか?
にゃはは☆
であであ・・

>>ニッシンさま

はじめましての御挨拶 (*^ー^)ノ

このたびはご来訪、感謝いたします!!!
わたしもピノコさんのところから、ひそかにニッシンさま
のところへ何度かお邪魔してました♪

文才……いやいや、お恥ずかしい(汗)
ただ、もう、好きなのに打つと負けるから悔しくて。
なんとかならないもんかと書いてるんですけど、これが
どうにもならないんです!!!
日々泣かされてます。だはは。

よろしかったらまた笑いにいらしてくださいね~('-^*)/

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