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祭という名の激突に向けて 6


 そのときリュウジの拳が、ノブオの頬をしたたかに打った。
 音を立ててノブオは倒れ、それへリュウジが大声で呼ばわる。
 「ノブオ!! ほら、早く立て!!! お前はこれしきで参るような男なのか?」
 「いいえ──いいえ、兄貴!!! スミマセンでした」
 「よし。まだやれるな?」
 「はいっ!!! お願いしま~っス!!!」
 立ち上がったノブオは、両手を後ろに組んだまま、反撃もせずにリュウジの拳を受けていた。

 「痛そうだな、ノブオのヤツ」
 「ああ。でもさすがに打たれ強いだけあるな。よく持ちこたえていると思う」
 オレとダイゴはふたりの姿を見ている。
 今日は準備期間に入ってから、珍しくオレたちは手透きになった。そんな今、体育館の裏手で繰り広げられるこれは、リュウジの愛ある特訓なのだ。
 来る体育祭の本番では、オレたちの出場種目は騎馬戦に決まっている。
 リュウジとダイゴとオレが馬をつくり、騎手はノブオだ。
 そんなわけで、打たれ強い騎手となるように、とノブオが自ら志願した特訓なんだ。

 「オウ、じゃあ行くぜ!!!」
 「はい、どうぞ──」
 ふたたび振り下ろされる、リュウジの容赦ない拳はノブオを打つ。こんな際でも手加減しないリュウジは流石だと、となりでダイゴが呟いた。
 
 「ふふふ、やってるね。リュウジ」
 「うん? ああ、森園か」
 今度は倒れずに持ちこたえたノブオにひとこと言おうとリュウジが近寄ったちょうどそのとき、背後から声がかかる。体育館の正面から回ってきたのは森園主将だった。
 「悪いな。今日は自分らのことに時間を使っちまって」
 「まあ、それも必要なことだろう? ノブオ君にも強くなってもらわないと」
 「あっ、森園サン、アリガトウゴザイマ~っス!!!」
 唇の端っこが切れて、血が滲んでいたりするんだけど──それでもノブオは笑顔で言った。本当に打たれ強いな。見上げたもんだ。

 「玉城。君も一緒にリュウジに鍛えてもらうか?」
 「僕? いやあ、それはちょっと。なはは」
 そんなふうに誤魔化し笑いをしているのは、オレたちと同級の玉城だ。
 玉城は森園主将率いる野球部で、一塁手をつとめている男。なんでも以前は演劇部にいたんだって聞いたことがある。小柄で、腹話術の人形みたいな顔した憎めない印象のやつ。
 「ほう。玉城も騎手をやるのか?」
 「うん。そうなんだよね、リュウジ。僕はそういうの、どっちかっていうと勘弁して欲しい平和主義者なんだけどね」
 なんて、芝居がかった身振りで玉城は言った。

 「それじゃちょっと、そこノブオの横に並べや。ついでに俺が鍛えてやるぜ!!!」
 「うわあ、大丈夫だって、リュウジ。そんなことしなくても、僕ちゃんと避けるから」
 言いながら、玉城は森園主将の背後に逃げていった。
 「なんだよ、だらしねえなあ、玉城。たまには痛い目に遭うのも男として重要だぜ? なあ、ハヤト?」
 「え──オレ? ああ、うん。そうかもね」
 「ふふふ。相棒さん、今完全に他人事だっただろう?」
 「え……あはははは」
 もう、リュウジにも森園主将にもオレは絶対敵わないな。

 「束の間の自分たちの時間を邪魔して済まなかったな、リュウジ」
 「いや。全然平気だぜ。それにノブオもちっとは休めたみたいだし。なあ?」
 「はいっ!!! 森園サンに玉城サン、ありがとうございました!!!」
 「ふふふ。とんでもない。それじゃ俺たちは行こうか、玉城」
 「うん、そうだね。こんなとこにいたら何されるかわかったもんじゃない」
 「何だとう?」
 なんてリュウジが冗談交じりに拳を振り上げるのに、大袈裟に逃げまどう恰好をしながら玉城が走り去っていった。その後を森園主将が悠然と追う。

 「やれやれ。あいつらも多少は余裕出てきたみたいだな」
 ふたりの後ろ姿が体育館の向こうに消えると、リュウジは言った。
 「まあね。今回は野球部も大変そうだもんな。実行委員」
 「押忍。それでもつつがなく準備は進行している様子なのは、流石に森園だ」
 そう評するダイゴに、オレは頷き返してみる。まったくその通りだな。

 「そしたら、もう一丁行くか? ノブオ?」
 「は~い。オレはまだ全然大丈夫ですからね。えへへ」
 よっしゃ──と首を縦にリュウジが振ったときだった。

 「曲者だあああ!!!」
 「そっち逃げたぞ!」
 「誰か、捕まえろ~ッ!!」
 体育館の正面の方から錯綜した声がオレたちに体当たりをかました。
 「うん? 曲者……?」
 リュウジが小首を傾げて振り向いたその瞬間だった。
 声に釣られて体の向きを変えたダイゴに、真正面からぶつかってきた体があった。
 
 「おう?」
 「あっ、す、すみません!!!」
 ダイゴに詫びを言ったのは、そう──オレたちには見慣れたピンクのモヒカンだった。
 「あ──れ? うわ、鬼浜寺の……? うひぃ~~~~~、助けてぇぇぇ」
 ピンクのモヒカン・暗黒一家のタカシは、反射的に出たダイゴの腕に羽交い締めにされていた。
 
 「お主、ここで何をしているのだ?」
 「ひ~~~~~、ゴメンナサイぃぃぃ」
 ダイゴに両腕を戒められたタカシは、なんとも情けない声を出す。絶体絶命といったところか。
 「俺は気付いていたぞ。お主、昨夜は河川敷でも俺達を見張っていただろう?」
 ダイゴは逃がすまいと戒めにチカラを込めたようだった。

 「オイ、タカシ!!! お前何しに来た?」
 そのとき、オレの後ろから聞こえてきたのはノブオの声だった。
 タカシの答えを待つまでもなく──ノブオがタカシの頬を平手で張った!!!
 「半端なことしやがるとオレが許さないって覚えときな!!!」
 「わ、うわ……痛っっっっ!!」
 いままで特訓を受けていたノブオは、いつも以上に熱い血潮が漲っていたらしい。
 とにかくやらずにいられない、そんな風に見えるノブオを止めるものは誰ひとりとしていなかった。
 
 もはやダイゴの戒めからは解かれていたタカシだったが、ノブオの本気に敵う状態ではなかったらしい。
 大人しそうに見えても、切れると能力を発揮する男・ノブオが今のタカシ風情に負けるわけはない。
 したたかノブオの平手を受けて仰向けに寝っ転がったタカシの姿には、駆けつけてきた鬼工の生徒たちによって冷淡なまなざしが向けられていた。


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コメント

応援団。

昔昔のその昔・・・体育祭で応援団やりました。
なつかしぃ・・・
もちろん気合を入れられるような張り手も先輩もいなかったですけど♪

祭りの前にネズミが進入?!
どうなってくんですかぁぁぁ・・・ワクワクw

>>Tohkoさま

体育祭って、その響きが郷愁そそりますよね~ :*:・( ̄∀ ̄)・:*:

はああ。青春だな~~~。だはは。
あのころわたしは……(自粛)
つーかね、わたしキライでしたよ。体育祭。
だって運動神経「無」なんだもん。
小学生のころは成績表、5段階で「1」。ほんとに。

まあ、いまは6段階で「1」に翻弄されてるけど((((;゜Д゜)))

NoTitle

うざい

NoTitle

おもしろいよー

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