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祭という名の激突に向けて 8


 オレたちと、囚われの身であるタカシの待つ鬼工・生徒会議室まで呼び出されて来たコウヘイが室に入ってくる。その毒のある姿に玉城が呼びかけた。
 「待ってたよ、コウちゃん。僕も、それからタカシもね」
 「──玉城」
 コウヘイは幼名を呼ぶ昔馴染みの玉城に向かって、複雑な表情を見せた。
 
 「オイ、コウヘイ!!」
 「おお──リュウジか」
 「お前、舎弟を使ってウチの何を探ろうってんだ?」
 「舎弟とはタカシのことか?」
 「当然!! こいつを偵察だか何だかにけしかけたのはお前じゃねえのかよ」
 リュウジは玉城を横に押しやり、コウヘイの真正面に立って座らされたままのタカシを指さした。

 「俺はとりたてて何も指図した覚えはねえな」
 相手がリュウジだといういことになると、コウヘイはいつも通りの物騒な声を出す。
 「貴様、それは言いがかりじゃねえのか? 第一、我らが偵察などしないと鬼工風情に負けるとも思えねえし」
 「何だとぅ──?」
 「まあ、リュウジ」
 闘争ポーズで息を巻くリュウジの背後から、オレは宥めるように声をかける。振り向いたリュウジは壮絶な中にも正義感で一杯の顔をしている。
 
 「暗黒さん方。そちらの事情はわからないけどね。けれども目撃証言も、証拠だってしっかりあるのだよ。残念なことに」
 森園主将は、掌で弄んでいたタカシのばらまいた鋲をコウヘイの目前に突き出す。
 それを見るなりコウヘイは、悟ったようにタカシを見て──タカシは今までとは較べものにならないくらいに肩を縮めて小さくなったんだ。

 「ふふふ、納得したみたいだね? 暗黒総帥」
 夏の終わりにちょっとした因縁騒ぎがあったのをオレは思い出した。
 そのときは森園主将の奇策でオレたちに軍配が上がったんだった。
 コウヘイもそれを思ってか、すこし身構えた恰好。それへ森園主将は言い募る。
 「まあね。俺も実行委員長として、体育祭は成功させたいのだよ。沽券にかかわるからね。だから、今日のことは出来うるならば大袈裟なことになどしたくない。とはいえ、俺がどう考えようと、こっちの正義一貫で鳴らす漢がどう言ったものか──ゆえに、簡単に申し開きのひとつでもしていただけると有り難いのだが」
 「申し開き──だと?」
 「そう。詫びてくれとは言わない。せめて、鬼工の何を偵察に来させたのか──それだけでも訊いておこうと思う」
 「…………」
 コウヘイは口を開かない。タカシがコウヘイの指示で動いたのではない、というのは本当なのかもしれなかった。

 「ふふふ。それじゃあ舎弟くんは自らの意志で行動した、と?」
 「オイ!!! だとしたらいい度胸してんじゃねえか」
 森園主将の後をついで、リュウジはタカシに凄味を効かす。
 それを見かねたのか、コウヘイがタカシにこう訊いた。
 「おい、タカシ?」
 「はい──総帥」
 「お前、何故このような真似を?」
 「そ……それは、言えません」
 「何だと? タカシ、俺に逆らうつもりか?」
 「ひ……ひぃぃ~~~っ」
 反射的にといったふうに、タカシはモヒカンの頭をかばう恰好で身をすくませる。

 それに割って入ったのは、コウヘイとタカシふたりの幼友達である玉城だった。
 「コウちゃん。タカシがコウちゃんに逆らうとは思えないな、僕には。だって子供の頃から、タカシはコウちゃんを崇拝してただろ? なあ、タカシ?」
 「ならばタカシよ。俺に逆らわずに言ってみろ。お前は敵陣に、一体何を見に来たんだ?」
 「それは──言ってもいいんでしょうか?」
 「さっさと言え。それが俺の命令だ。俺にこれ以上恥をかかせるな」
 「なら……」
 
 なぜか言いにくそうに、タカシは上目遣いにコウヘイを見て、ひと呼吸入れてから口を開く。
 「ええと……オレが見にきたのは──総帥、あの、こないだの勝負のときに会った……総帥が拘ってた、ちょっと変わった……」
 「な、何だと──?」
 タカシは語尾を妙に口の中に残すような言い方をした。対するコウヘイは、どうしたわけかやけに大きな声を出す。
 「タカシ、お前は何を!!!」
 「だ、だって──総帥が、やけに……」
 「俺がどうしたと言うのだ!!! 第一、そんなことはタカシには関係ねえだろう?」
 「けど、オレ──」
 タカシはうつむいている。それを見下ろす恰好のコウヘイの後ろ姿には、何某かの動揺があったようにも見えた。

 「コウヘイ、お前、こないだの勝負のときってのは?」
 「──何でもねえよ、リュウジ」
 背後から声をかけるリュウジに、コウヘイは振り向かずに覇気のない声でそう答えた。
 「リュウジには関係ねえ」
 「関係ねえはずはないだろうが!!! こないだの勝負っつったら俺らとのことだろう? それが元で、しかも学校で騒ぎなど起こされたら、俺の立つ瀬がねえ」
 腕組みをして声を張るリュウジをようやくコウヘイが振り返った。
 
 そして、たったひとことこう言った。
 「──悪かった」
 正直言って、コウヘイが詫びの言葉を口にするなんて誰も予想していなかったんだ。
 だから居並ぶ連中は、誰もそれへ応えることができずにいた。

 「タカシのしたことは、俺に端を発する個人的なことだと思ってくれるがいい」
 「なるほど。それではこちらに害や不利をもたらすためではない、と?」
 森園主将が聞き返す。
 「無論。ここは即座に退却するゆえ、願わくば表沙汰にしないで欲しい」
 「どうする? リュウジ」
 リュウジは、コウヘイの見慣れぬ様子に毒気を抜かれた様子でいる。
 確かにどうしちゃったんだろうね、コウヘイは。

 「ああ、森園──そうだなあ」
 リュウジが迷いながら何かの決断を口にしようとしたときだった。

 「うわ~~~~!!!」
 「何だ!!!」
 「ちょ、止まれ~~~」
 開け放った窓の外、校庭が急に騒がしくなる。
 
 うん? と比較的窓に近いところに立っていたオレが外を見やると、黒の学ランを着た巨漢が、校庭のど真ん中を縦横無尽に駆け回っているところだった。
 走る巨漢に翻弄されて、練習していた生徒たちが混乱の様相を呈していた。
 「あれ? ゴンタじゃない?」
 ええと、今度は何が起きたんだ?


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