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祭という名の激突に向けて 9


 生徒会議室にいた一同──リュウジ以下のオレたちと森園主将ら野球部、それからコウヘイにタカシ──は、騒ぎの起こっている校庭へと急いで下りていった。
 騒動の中心はゴンタだ。
 大きな声で何やら叫びながら、恐慌状態で校庭を走り回っている。
 
 急ぎながらリュウジが問う。
 「オイ、コウヘイ!!! お前、本当に邪魔しに来たんじゃねえだろうな?」
 「まさか。そのような事は断じて。第一、俺たちは呼ばれて来ただけだ」
 さすがに困った顔でコウヘイがそう答えた。

 「ハンゾウ、何事だ?」
 「ああ、総帥」
 ハンゾウの姿を認めたコウヘイは近寄っていき、声をかけた。オレたちもついていく。
 「目立たないようにしていたのだが、ゴンタが運悪くあれを見てしまった」
 「あれ──ネズミか?」
 「そう。ああなるともう手がつけられない」
 諦めたような表情をハンゾウは見せた。同時にコウヘイもため息をつく。

 「ネズミ? ああ、そういえば前もそんなことがあったっけ?」
 「そうだな、ハヤト」
 オレとダイゴは頷きあう。以前、夕映え木立でこんな状態になったゴンタを見たことがあった。そのときゴンタの唯一の弱点を知ったんだ。
 「とにかく何とか収拾つけろや、コウヘイ!!!」
 「おう……」
 コウヘイらは、3人して目を見交わしている。暴れるゴンタは仲間でも恐怖なんだろうか。
 鬼工の生徒たちは、それこそ蜘蛛の子を散らすが如くトラックの外に避難していた。
 迷走したゴンタが近くに来ると、また人波がざわりと揺れる。

 渋々のようだったが、それを見た3人は校庭へ出ていった。
 闇雲に走るゴンタを取り押さえようと、目的に向かっていく。
 「よし、俺らも行くか。人数多いほうがいいだろ、きっと」
 「そうだね、リュウジ。全員でかかろう。行くぞ、諸君」
 言うが早いか、オレたちも総出でゴンタに向かって特攻をしかけたんだ。

 追いかけたり挟み撃ちにしようとしたりしながら気付いたんだが。
 「ダイゴ、あいつ走るの案外速いね」
 「押忍。火事場の馬鹿力も手伝っているのかもしれないな」
 「って、感心してる場合かよ!!! ほら、ハヤト、そっち回れや」
 「うん、了解!!」
 
 リュウジに示されて方向を変えると、追いついて押しとどめようとする野球部の1年生がゴンタに投げ飛ばされる瞬間を見た。
 それへ気付いたハンゾウが、投げられたやつに頭を下げながら手を貸している。
 さらに、ゴンタは追いついたコウヘイの顔すら見分けられないらしい。
 「これじゃあいかにコウへイでもためらうかもな」
 「そうっスねえ、ハヤトさん」
 ちょうど一緒に走ってきたノブオが頷いてくる。
 「でもね、オレ、今日は追いついたらきっと一発かましますよ、ゴンタに」
 「ノブオ、そりゃ逞しいね」
 とか言っている間に、ゴンタを先頭に追尾者もろとも中庭に向かうルートを駆け抜けている。

 「うわ、そっちはまずい!!」
 後ろの声に振り返ると、血相を変えた天宮くんがオレたちを追い越していく。
 「お~い、天宮。そっちは何がまずいの?」
 「急げ、ノブオ!! 今の時間、中庭は女子がダンスの練習に使ってるはずだ」
 「なんだって? そりゃまずい。ハヤトさん、急ぎましょう!!」
 「了解!!!」
 息切れしながらオレはノブオに頷きながら──あれ? そういやタカシが偵察してたのって中庭だって言ってなかったか? とか考えていた。なんだか引っかかるかも──。

 校舎に遮られているから、中庭までは校庭の騒ぎは聞こえてきていないようだ。近づいてみると、ダンスに使うものとおぼしき曲が流れているのに気付いた。
 「リュウジ!! この先は──」
 「オウ!!! ハヤト、わかってるぜ」
 追い上げてきたリュウジと森園主将、それとコウヘイがゴンタの背中を捉える──その直前。

 「ちょっと、なによあんた!! 邪魔しないでくれる? うるさいのよ」
 渡り廊下にさしかかったゴンタの真っ正面に立ちはだかって押しとどめたちいさな姿があった。凛然とした声は、聞き覚えのあるもので。
 「うわ、千晶ちゃん!!! 出てくるな!!!」
 慌ててリュウジが叫んだが、お構いなしに千晶ちゃんは両手を広げてゴンタを遮ろうと体を張る。

 「ウウウ…………」
 足を止めたゴンタは、うなり声をもらしながら眼前の千晶ちゃんを睨んでいる。
 「あんたたち暗黒水産、いったい何の真似? さっきはピンクの頭がうろうろしてるし」
 「千晶ちゃん、怒ってるのはわかるが今はそんな場合じゃねえぜ!!」
 「その通りだ。下がっていろ」
 追いついたリュウジとコウヘイが、共に千晶ちゃんとゴンタの間に割って入った。

 千晶ちゃんの思わぬ行動で、ゴンタが足を止めたのはチャンスだったようだ。
 こちらも追いついたダイゴが、一瞬の隙をついてゴンタを背後から羽交い締めにした!!!
 「フンガー!!!」
 遂に捉えられたゴンタはダイゴの腕を振り払おうともがくが、ダイゴが冷静に肘の関節を狙って締め上げた。ゴンタの表情が苦しげに歪む。

 「よし、ダイゴ!! そのまま倒せ!!!」
 「押忍」
 リュウジに答えるが早いか、ウチの巨漢もこんな時には素早い身のこなしでもって、体勢を入れ替えてゴンタを投げた!!!
 赤ジャージが見たら泣いて感動するような、まったくもって鮮やかなダイゴの背負い投げが決まった。
 ダイゴの容赦ない投げはゴンタの背中をしたたか地面のコンクリートに叩きつけた。
 もしも起きあがってくるようなことがあればさらに危険か、と身構えた周囲をよそに、ゴンタはそのまま白目をむいた──勝負あり、だ。
 
 「よし!!! ダイゴよくやった!!!」
 「リュウジ、どうも」
 リュウジと、それから倒れ伏したままのゴンタにそれぞれ礼をして、ダイゴは一歩退いてオレとノブオの横に並んだ。
 「ダイゴ、おつかれ」
 「押忍、ハヤト」
 「ちぇ。おいしいとこダイゴさんに持っていかれちゃったっス」
 「ははは、それは申し訳ないな。ノブオ」
 ようやく緊張を解いたオレたちは、軽く笑いあったんだ。


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