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栄光をつかめ 1

 
 「鬼浜工業高校~~~!!!」
 「うおおおおおお~~~~!!!」
 「気合い入れてくぜえ!!! 夜露死苦ぅ!!!」
 「夜露死苦ぅぅぅ!!!」
 澄んだ空気の秋の空に響き渡る、野郎どもの怒号。
 見慣れた自前の特攻服に赤いたすきをかけたリュウジが、鬼工生徒たちの中心になってひときわ大きい声で叫んでる。
 脇を固めるダイゴもノブオも、それからオレも、リュウジに負けじと声を張った。

 ここは町の運動場だ。鬼工と暗黒水産のちょうど真ん中くらいにある。
 そして、今日はここしばらく準備してきた闘いの日──合同体育祭の本番だ。
 
 開会式から始まる体育祭。選手宣誓に立ったのは両校の実行委員長だった。
 ウチからは野球部の森園主将。暗黒の委員長は、柔道部の主将だそうだ。そういえば以前に赤ジャージの対決のときに見た顔だ。

 さて、その開会式が終わって、両校生徒たちはひとまずそれぞれの陣に戻って最初の気合いを入れたところ。
 暗黒側の応援団は、コウヘイら暗黒一家が努めているわけではなかったのだが──正規の応援団があるんだって野球部が言ってた──、コウヘイらはその応援団のすぐ脇に陣取って、こちらに睨みを利かせる役目のようだ。
 とはいえ、こないだちょっとした騒ぎがあったからなのか、最初に顔を合わせたときはさすがに済まなそうな表情をちらりと見せていた。

 「リュウジ、今日はよろしく頼むよ」
 「おう、もちろんだぜ、森園!!!」
 応援隊長リュウジの第一声を聞いて、森園主将は不敵に笑みながらリュウジのもとへやってきた。
 「ふふふ。今日ばかりは負けられないだろう?」
 「当たり前!!! つーか、今日だけじゃねえけどな。いつでも負けられねえんだよ、奴らには」
 「よしよし。その意気込みだ。俺が必要なのはね」
 満足そうに森園主将はリュウジの背中をぽんと叩いてから、本部テントへと戻っていった。

 競技は、陸上種目からの開始だった。
 ハードル競技、800m走なんかの選手が次々に招集されてスタート地点に行く。
 「オウ、しっかりな!!! 大丈夫だ。落ち着いてけば勝てる相手だろ?」
 「オス!! リュウジ、応援頼むよ」
 「任せとけ!!!」
 そんなふうに選手のひとりひとりにリュウジは声をかけたり、ハイタッチなんかしたりしながら送り出していく。

 「なあ、ハヤト」
 「うん?」
 競技の切れ目で一瞬落ち着いたとき、リュウジはなんだか感慨深い顔を見せた。
 「あのさ、あの旗、いいな」
 「ああ、あれね」
 リュウジが示したのは、我が鬼工の応援旗だ。
 それはオレたちの鬼浜爆走愚連隊の『天下無敵』の旗をベースにデザインされたもので、オレたちの旗の『鬼浜爆走愚連隊』の部分は『鬼浜工業高等学校』、鬼をあしらったマークの部分は鬼工の校章に変更されているんだ。

 「千晶ちゃんの自信作だって。ほら、体育館で作ってただろ?」
 「オウ、そういえば作ってたな。そうか、千晶ちゃんか」
 「あの時さ、千晶ちゃん、リュウジに見せて喜ばせようと思ってたらしいんだけどね。ほら、リュウジがちっとも見ないで行っちゃっただろ? ちょっと機嫌悪くしてたよ」
 「それは悪いことしたなあ、俺。あとで謝っとくか」
 そう言って、腕組みをしたリュウジは、ふたたびフェンスの高いところに掲げられた応援旗をしげしげと眺めていた。

 「あはは、リュウジ。やっぱ気に入ったでしょ?」
 そんなリュウジの姿を見つけて、千晶ちゃんが近くにくる。
 「あ、千晶センパイ!!! チューっス!!!」
 「チューっス、ノブオくん」
 「押忍。いい旗だな。千晶さんがデザインしたのだろう?」
 「うん。そうだよ。ありがと、ダイゴ」
 だぶだぶのジャージ姿の千晶ちゃんが嬉しそうな顔をする。
 「千晶ちゃん、ありがとな。俺、すっげえ感動したぜ」
 「ほんとだよ、千晶ちゃん。リュウジさ、さっき目を潤ませて見上げたもん。旗」
 「あはは、そうなんだ」
 「オイ!!! ハヤト、いい加減なこと言うなや!!! 俺がいつ泣いてたってんだ?」
 「わはははは、穏便にいこうよ、リュウジ」
 「ふふ。やっぱいいコンビだわ。あんたたち」
 千晶ちゃんにお褒めにあずかったんだけど……リュウジはあんまり嬉しくなさそうでちょっと悔しいな。

 「おお、千晶さん。招集だ」
 「なに? ダイゴ?」
 「ダンスに出場する者は入場門へとアナウンスが」
 「あ、ホント? んじゃ行ってきますか」
 「オウ、がんばってな!!!」
 「了解、リュウジ」
 にこりと笑って手を振って、千晶ちゃんは軽やかにグラウンドを突っ切っていった。

 「まったく。ハヤトときたら」
 「まあいいじゃん。だってリュウジ、本気で感動してたんだし」
 「そういうことは口に出さねえのが漢の道だろうが!!!」
 あはは。リュウジ、照れてんだ。

 鬼工女子の演技は、ダンスというよりむしろチアリーディングってやつだった。
 もともと少数しかいない女子を束ねるのは、鬼工のアイドル・千晶ちゃん。
 本当の性別は男だって、誰より乙女でしかも統率力抜群だ。
 前列センターを努める千晶ちゃんのリードに従って、鬼工女子たちはいきいきと演技を披露してる。
 
 「へえ。なかなかやるもんだね。女子」
 「ほんとだな、ハヤト。今度応援隊を頼まれたら、加勢してもらってもいいかもな」
 「あ、それいいかも」
 なんて言いながら、オレたちは女子たちの元気な動きを見ていた。
 ちょっと気になって視線を向けた先では──コウヘイの目がやっぱり千晶ちゃんを追っていたような……。
 オレの気のせいかなあ。
 
 

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コメント

こんばんわ~

嗚呼、青春の熱い汗が飛び散ってますね~(古っ
自分はとっくの昔に無縁ですが(笑
夜のroot4649をかっとばしてるのも、
体育祭でかっとばしてるのもどちらも良く似合いますよね。
目下気になってるのはコウちゃんの恋の行方…です。

>>単savaさま

ほんとに、まったくもって青春ですな~。
書いてて気分だけは若返るような。だはは。
わたしも男子として高校生活を送ってみたかったもんです。
きっとアツくてアホで楽しかったんだろうなあ。

コウちゃん……どうなんでしょうね。
こんな展開ぜんぜん予想してなかったんですけど。
彼もお年頃ですからね~www

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