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鬼の霍乱 2

 
 次の朝。オレはほんとに珍しく自力で目を覚ました。
 ジリジリ鳴り続ける目覚まし時計を止めて、針を見るとすでに朝8時。
 「うわ、こんな時間!!!」
 まだ遅刻しないで登校できる時間だけど、オレはびっくりして飛び起きた。
 いつもだったら8時20分前には、窓の外から聞こえるリュウジの怒号に起こされる。それなのに、現在時刻は定刻を過ぎていて。
 もしやと思ってカーテンを開けて通りを見てみたけど、やはりリュウジの赤いリーゼントは見あたらなくて、店の前には野良猫が歩いていただけ。

 「珍しいな。リュウジ、どうしたんだろ?」
 とにかく洗面所へ行ったオレは、歯磨きしながらぼんやりした頭で考える。
 もしかして、昨日リュウジの様子が変だったのって、本当にどこか具合悪かったりしたんだろうか。
 着替えを済ませて鞄を持って、オレは急いで外へ出た。
 
 「お~い、リュウジ!!」
 リュウジの家の前で、オレはいつもリュウジがするみたいに部屋の窓に向かって叫んでいた。
 はっきり言って、朝オレのほうからリュウジを迎えに来るのなんて初めてだ。
 オレの最初の呼びかけに、リュウジの部屋の窓は無反応だった。もしかしてオレと入れ違いになったかな? なんて思ったけど、続けてもう一度リュウジの名を大きく呼んでみる。すると窓がようやく開いた。
 「ん? ああ、ハヤトか……」
 「おはよう、リュウジ」
 リーゼントを整える前の、寝起きのリュウジを見たのも初めてだった。ダイゴの家にみんなでお邪魔したときだって、リュウジが低血圧のオレより後に起きることなんてなかったし。
 「あれ──もう朝か?」
 「うん。もう8時過ぎてる。どうした? 具合悪いのか?」
 「や……大丈夫だ。何ともねえ。悪い、すぐ行くからちょっと待っててくれや」
 
 一旦窓を離れたリュウジは、ジャスト10分で支度を終えて出てきた。
 髪の毛はいつも通りセットしてあったけど、やっぱり何かが違う感じ。
 「待たせたな、ハヤト」
 「いや。まだ間に合うから平気だろ。つーかリュウジ、顔色悪いよ、やっぱり」
 「……そうか?」
 「それに、なんかまっすぐ歩けてないんじゃない?」
 「……そうか?」
 どことなく、ココロここにあらずな聞き返しっぷりをリュウジは見せる。

 「リュウジ。体調悪いんだったら、今日は学校休んだら?」
 心配になって、オレはそんな提案を持ちかけた。だって、こんなリュウジを見たことなかったから。けど。
 「まさか!!! 俺が学校を休む、だと? 断じてそれは有り得ねえぜ──……いてっ」
 いつもなんかより全然ちいさい声で言ったのに、それでもリュウジは脇腹あたりを押さえて足を止めてしまう。
 「ああ、ほら!! やっぱ痛いんだろ?」
 「痛くなんかあるわけねえだろ、ハヤト……」
 「もう、強がるんだもんな、敵わないよ。リュウジ」
 
 しかたなくそんなリュウジと今日ばかりはゆっくり歩いて学校まで。
 途中でいろんな人から朝の挨拶をされてたリュウジだったけど、返事をするのも辛そうだった。
 「ほら、だから休めばいいのに」
 「わはは、だから何ともねえんだってば」
 「……ええと、額に脂汗かいてるけど? リュウジ」
 「気のせいだ、ハヤト」
 あくまでつっぱる気だったら、オレにはもう止められないな。これは。

 さて、朝のホームルームで赤ジャージのとった出席にこれまた覇気なく返事をした直後から、リュウジは机につっぷしたままで3時間目までをやり過ごしていた。
 1時間目のあとの休憩時間に声をかけたときはなんとなく『大丈夫だ』って返事が聞こえてきた。
 2時間目のあとは、オレが医者に行ったらどうだと訊いたら『医者は嫌い』と一声が。
 
 さすがに見かねた、3時間目のあと。
 「おい、リュウジ。医者が嫌だったらせめて保健室行こう。な?」
 「…………」
 「ほら、そんなに意地張ってないで」
 「…………」
 「ん?」
 リュウジときたら、まったく無反応。
 「って、リュウジ──? おい!!!」
 そのあまりの反応のなさに、オレはなんだかおろおろしてしまう。
 
 そんなオレの姿を見て、千晶ちゃんが近づいてきた。
 「どうしたのよ、リュウジは? 熱でもあるの?」
 「いや、わかんないんだよ、それが。リュウジ何も言わないから」
 「強がるねえ。それが漢気とかって勘違いだよ? リュウジ」
 「…………」
 やっぱりリュウジはおかしい。こんなこと言われて黙ってるのなんておかしすぎる。
 オレは千晶ちゃんを拝むようにして頼んだ。
 「千晶ちゃん。悪いけどC組行ってダイゴを呼んできてくれ。保健室まで強制連行だ」
 「OK! ちょっと待ってて」
 
 慌てて教室を出ていった千晶ちゃんは、大急ぎでダイゴを連れて戻ってきた。
 「ハヤト──リュウジはどうなのだ?」
 「ああ。話してくれないから詳しくはわからないけど、とにかく朝からこの調子で。ダイゴ、リュウジを保健室まで運べるか?」
 「押忍。それくらいなら雑作もない」
 頼もしく頷いて、ダイゴはリュウジを背中に乗せようと試みる。
 リュウジはよほど朦朧としているのか、そんな最中にもひとことも発しない。
 けど──
 「あ、リュウジ、すっごい顔色してるよ、ハヤト!!!」
 「もしかして思ったより重症かもしれない。ダイゴ、オレ先に保健室行って、遙先生に説明しとく。後からゆっくり来てくれ。あんまり刺激するのもよくないかも」
 
 とにかくオレは保健室までをダッシュで駆け抜けた。
 途中、ノブオと出会い頭にぶつかりそうになる。
 「ああ、ハヤトさん!! びっくりした。どうしたんっスか? そんな慌てて」
 「悪い、ノブオ、ちょっと緊急事態。ダイゴがリュウジを保健室に搬送するとこだ」
 「ええっ!!! 兄貴どっか悪いんっスか?」
 「うん。よくわかんないけど。とにかく説明は後で。急ぐから」
 「って、待ってください、ハヤトさん!! オレも行くっス」
 慌てるオレを見て察したらしくて、意味も分からないままノブオがオレについてくる。
 そのままふたりで血相変えて走っていった。
 
 まさかリュウジに限って、変な病気とか、そんなんじゃないよな?
 なんだかそう考えるだけでひどく不安だった。
 それと、リュウジが具合悪いってだけでこんなに心細くなる自分に、少なからず驚いてもいた。
 
 

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

ど、ど、どうしたのッ?

やだ!リュウジが心配・・・まさか恋の病・・・?
ってことでもなさそうだし・・・大丈夫かしら?
あ~んもう、病気だったら私がそばについて
看病してあげるのにぃぃぃ♪(←私が病気)


>>ピノコさま

うわ~~~、ピノコさんってば(^^:)
ええと、お好きになさってください。
つーか、一緒に保健室に運ばれてください。だはは。

しっかしピノコさんのコメントって、いっつもたのしい
なあ(=^▽^=)

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