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鬼の霍乱 3


 「遙先生!!!」
 保健室につくなり、オレはノブオと一緒にに乱暴に扉を開けて中へ転がり込む。
 「あら、ハヤトくん。だめよ、ちゃんとノックくらいしなくっちゃ」
 おしとやかで、おっとりタイプの遙先生はいわゆる『癒し系』の美人。保健室に来るだけで癒されると言い放つ輩が多いのもうなずけるんだけど、今はそんな場合じゃない。

 「昨日はあのあとね、亜由と……」
 「って、遙先生、その話は後で!!! 大変なんだ、今ダイゴが連れてくるとこなんだけど、リュウジがヤバい!!!」
 「うわ~ん、ハヤトさん、兄貴、ヤバいんっスか? どどど、どうしよう」
 「ノブオ、落ち着け!!!」
 「はいはい。ハヤトくんも落ち着いてね」
 ふわりと笑う遙先生を見たら、不安に押しつぶされそうなオレでさえもちょこっと落ち着いたのが不思議ではあった。

 「それで? リュウジくんは怪我したの? それとも病気なの?」
 遙先生は落ち着いていて、耳にやさしい声をしてる。その声がオレに訊いた。
 「怪我じゃない。病気──なんだろうと思う」
 「兄貴、病気なんっスか~~~、どうしよう……」
 相変わらずノブオがオレの横でおろおろしている。
 「症状は?」
 「よくわかんないんだ。リュウジ妙に我慢強いから痛いとか辛いとか、そういうの口に出さないんだよ」
 「それじゃあとにかく待ちましょうね」
 そう言って、遙先生はドアを開けて廊下を見やる。
 
 それからすぐにリュウジを背負ったダイゴが保健室に到着した。
 「ダイゴくん、ご苦労様。ベッドのところまで行っておろしてあげてくれる?」
 「押忍。了解す」
 背中のリュウジに負担をかけないようにか、ダイゴはほんのかすかに首を縦に振ると、遙先生の指示に従う。
 ベッドに仰向けに寝かされたリュウジを見ると、ノブオが息を飲んだ。
 「あ、兄貴~~~!!! 真っ青じゃないっスか……」
 「ほんとだ。リュウジ、さっきよか悪くなってるような」
 同行してきた千晶ちゃんも低い声で言って驚いた表情をする。
 「そうね、確かによくなさそうだわ。みんな、心配なのはわかるけれどちょっと遠慮してもらってもいいかしら?」
 一同は頷いて──そうすると遙先生は、ベッドの間仕切りのカーテンを引いた。

 カーテンの内側の様子はわからない。それが逆にすこし不安を煽るような気がした。
 ときどき遙先生がリュウジに問いかける声がして、でもリュウジが答えるのは聞こえてこない。代わりに時折呻くような声が外にもれてくる。

 スピーカーからチャイムの音が聞こえてくる。どうやら4時間目が始まったみたいだ。
 けど誰もこのまま教室へ戻ったりできるような感じではなくて。
 オレたちは遠慮しながら、声を潜めてすこし話した。
 「ハヤト。リュウジは今朝からあの調子なのか?」
 「ああ。今朝っていうより、昨日の放課後からちょっと変だった」
 ダイゴの問いかけにそう答えた。
 「変って、どうだったんっスか? 兄貴は」
 ノブオは目を潤ませている。
 「なんかいつもの調子じゃなかったんだ。元気なくてさ。走りに行こうって言ったら断られたから、妙だなとは思ってた。今朝はいつもみたくウチまでリュウジが迎えに来なかったし」
 「ああ、それでふたりとも、今日は遅刻しそうになってたんだ」
 「そう。そんなとこ。オレ、休んだらいいのにって言ったんだけど、リュウジ頑固でさ」
 そう返したら、千晶ちゃんはナルホド、と大きく頷いた。
 「とにかく変な病気だったりしないといいんだけど……」
 そんなふうにオレが言ったところで、カーテンの内側から遙先生が出てきたんだ。

 「遙先生、リュウジはどう?」
 「よくないわね。リュウジくん、我慢しすぎなのよ」
 「それって──」
 オレたちはみんな、息を呑んだ。静まりかえると同時に、ベッドのほうから苦しそうなうなり声が聞こえてくる。
 
 遙先生はこう続けた。
 「誰か職員室まで急いで行ってくれるかしら。119番に電話してほしいの」
 「え──遙先生?」
 「119番──救急車か? それは大変だ」
 「ええっ!!! リュウジそんなに悪いの?」
 「あ、兄貴~っ!!!」
 一瞬、全員驚きのあまりの反応をしてしまっていた。けど、驚いている場合じゃないな。
 「わかった。ノブオ、職員室へ走れ。オレは赤ジャージに報せに行く。遙先生、リュウジを頼んだ」
 「ハヤトさん、了解っス!!!」
 答えざまノブオはドアから急いで出ていって、同時にオレは体育館までの道程を疾走したんだ。

 「先生!!」
 「おう? 何だ? どうしたハヤト」
 体育館で1年生の授業をしていた担任の赤ジャージを呼ぶ。1年生たちは血相を変えたオレを見て少々ざわついていた。
 「リュウジが病気で、救急車なんだ!!!」
 「何──? あのリュウジが、か?」
 驚いた顔をする赤ジャージ。そして同じ反応を見せる1年生たち。
 リュウジは学校中の名物漢なわけで、誰だってその人となりをそれなりに知っているから無理もない。

 「うん、とにかく急いで保健室へ!!」
 「解った。今行こう。お前たち、少し外すが許してくれるな?」
 そう言い残す赤ジャージを伴って、オレはふたたび保健室へと駆け戻る。
 体育館にいた1年生たちも、幾人かついてきていた。野次馬ってことでもなさそうだ──ついてきた奴らは、本気で心配顔だったから。
 
 さすがリュウジは人望篤いんだな、なんて感心してるオレの鼓膜は、近づいてくるサイレンの音に揺さぶられていた。
 
 

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

嗚呼、なんてこと…

こんばんわ、華丸様。

鬼の霍乱が始まった時は、リュウジの様子からいよいよアイちゃん登場か!?
とワクワクしていたのですが、何やら本当に霍乱な様子…
心配ですよ~
と言いながらも実は金剛vsリュウジ、ちょっと見てみたいかも(笑

>>単savaさま

うわ~、心配してもらえるなんて!!!
リュウジって幸せ者ですな~(^^;)

アイちゃんは……実際のとこどうなんだろ?
気にはなりますけど、でも、きっと振られちゃう
からな~。だはは。

>実は金剛vsリュウジ、ちょっと見てみたいかも(笑
そうそう!!! わたしもそっちのほうが気になる!!!
余力があったら番外編でも──無理かな(汗)

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