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鬼の霍乱 4


 リュウジは町立病院へ搬送されたらしい。
 さすがに救急車には同乗できなかったオレたちは、病院に付き添った赤ジャージからの連絡でそれを知った。
 現在は昼休み。こんな際だからと教頭から許しが出たと遙先生が教えてくれたので、オレたちは急いでリュウジのいる町立病院へと向かったんだ。
 
 引率は、遙先生だった。
 遙先生のクルマにダイゴとノブオとオレが乗せてもらって町立病院まで走る。病院までの車内は、変に静まりかえっていた。
 
 そして病院へ着いて、遙先生が受付のお姉さんに訊いたところによれば──
 「これから手術だそうよ」
 「ええ~~~っ!!!」
 もう、オレたちにはそう言って驚くこと意外の反応が許されていないような感じだった。
 思わず大きめの声を出してしまったオレたちは、遙先生に「静かにね」とたしなめられたけど、とにかく動揺しまくっていた。

 オレたちとは違って冷静な遙先生に導かれて、着いた先は手術室の前だった。
 「あ、先生!!!」
 手術室の前のベンチには、赤ジャージが座っていた。
 「おう、ハヤト。遙先生、ご苦労かける」
 「いいえ。みんなとても心配していたから」
 「それでどうなんだ? 先生。リュウジは一体どこが悪い?」
 ダイゴが問うのに、ノブオも言い募る。
 「ままま、まさか、もう治らない病気なんてことないっスよね?」
 「そのような心配はないと思うぞ、ノブオ。リュウジは──」
 と、赤ジャージが言いかけたところで目の前のエレベーターの扉が開いて、看護士さんの押すストレッチャーに横たえられたリュウジが現れた。

 「あ、兄貴ぃ~~~っ!!!」
 見るや否や、目に涙をいっぱいためたノブオが駆け寄っていった。ダイゴとオレも自然とノブオの横に並んでリュウジを見下ろしていた。
 「おう、お前ら」
 オレたちに無理に作ったらしい、ちょっとした笑顔を見せるリュウジ──保健室へ運ばれたときよりは落ち着いているようだ。
 「情けないぜ。この俺が手術なんだと」
 「リュウジ、無理にしゃべらない方がよいのでは?」
 「うん。そうだよ。痛いんだろ?」
 オレたちが言うのにお構いなしに、リュウジはとにかく言わなければといった思いを見せて、かすれた声で続けた。

 「──心配かけて済まない、みんな。とにかく今は、俺だけの闘いだ。勝利を──祈っていてくれな」
 「リュウジ──」
 「兄貴ぃ~……」
 まったくもって不安そうな顔を、リュウジはしていた。見ているだけでこちらがせつなくなるような表情だった。
 「俺がいない間は、ハヤト。お前に託すぜ。夜露死苦な……。どれだけ長い留守にするかわかんねえけどな……。もしこのまま俺が……いや、何でもねえ。とにかく頼んだぜ。ハヤト──」
 「リュウジ!!!」
 オレは思わず大きくリュウジの名を呼んでいた。
 そんなオレに構うことなく看護士さんはリュウジを手術室の中へ連れてゆき、扉が閉まると同時に『手術中』のランプに灯りが点った。
 オレたちはそのランプを、心臓をどきどきさせてしばらくの間見つめていたんだ。

 「先生……」
 「そんな不安そうな顔をするな。ハヤト」
 「だって、リュウジがあんな心細い表情してるのって、オレ見たことないから」
 オレは赤ジャージに言う。すると、赤ジャージの目はオレをなだめるように細められた。
 「心配はいらんよ。リュウジは盲腸炎だ」
 「え──?」
 「盲腸なんスか? じゃあ……」
 「だったらそこまで心配することないのだな」
 赤ジャージが告げたリュウジの病名を聞いて、オレたち3人は顔を見合わせて、ようやく肩の力をすこし抜いたんだった。

 「ああ。やっぱりそうだったのね」
 遙先生もほっと胸を撫で下ろしたという顔をした。
 「遙先生、わかってた?」
 「ええ。そうだろうとは思ったんだけれど。痛いのは無意識に押さえている右の脇腹らしいのはわかったけれど、正確な診断は私にはできないから」
 なるほど、そういうことか。なんとなく気の抜けた顔をオレたちは見せあっていた。

 実は保健室のベッドで、リュウジは少し嘔吐したんだと遙先生は言っていた。
 「な~んだ。兄貴ってば驚かすんだもんなあ。オレ、もう泣きそうだったっス」
 「とか言って、ノブオすでに泣いてたじゃん」
 「もう、ハヤトさん。そりゃ言わない約束っスよ~」
 ようやくこんなやりとりがオレたちに戻ってきていた。

 「けれど、盲腸と言っても油断できないわよ。盲腸は無理に我慢しすぎると腹膜炎を起こすから」
 「そいうえば俺の知り合いにもそういう輩がいたな。そいつもリュウジのようなタイプだった。何日も我慢していた結果だという話だったように思うが」
 遙先生と赤ジャージがこんなふうに言っていた。
 「ええっ、じゃあやっぱり兄貴は──」
 「先生方。申し訳ないがこれ以上ノブオを泣かせないでやって欲しいのだが」
 「ああ、ダイゴ、それは済まん」
 「ほんとにごめんなさいね、ノブオくん。でも大丈夫だと思うわ。ハヤトくん、昨日からなんでしょう? リュウジくんがああなったのは」
 「うん。昨日も昼まではぴんぴんしてたよ」
 「なら大丈夫だろう。リュウジはあれだ、友達連中が揃って心配性だったから命拾いだな」
 なんて赤ジャージが言っていた。やれやれ。

 「それにしてもリュウジ、よっぽど不安だったんだろうね。さっきの口振りからすると」
 手術室の前ってのは落ち着かないもんだなあと思いながら、オレたちはひっそり話した。
 「ですね、ハヤトさん。この世の終わりみたいな顔してましたもん。兄貴」
 「ああ。でも本人にとってみたら、その通りの思いだったのではないかな。リュウジは風邪ひとつひいたことがないのが子供の頃からの自慢だったので」
 リュウジとは小学校から一緒のダイゴが、思い返しながらそう言った。
 「まあ、でもたまにはいいクスリかもね。リュウジは何かにつけて無理する奴だから」
 「押忍。だから頼もしいのだとも言えるがな。たまには悪くないかもしれん」
 ダイゴもそう同意してくれていた。
 
 「とにかくリュウジがいない間は、オレたちでどうにか守っていかないとね」
 「その通りだな、ハヤト。これで何か起きた日には、リュウジに申し訳が立たぬ」
 「……責任重大っスよ、ハヤトさん」
 「おい、そんな脅すんじゃないよ。ノブオ」
 いやなこと言うなあ、ノブオの奴は──なんかこう、胸騒ぎがしてくるよ。

 オレたちが話している間に、千晶ちゃんがリュウジの親父さんとお袋さんを連れてきた。
 それへ挨拶したりしながら、オレたちは待った。
 『手術中』のランプが消えて、重々しい扉の向こうからリュウジの姿が現れるときを。
 
 

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コメント

リュウジ盲腸・・・

めっちゃ心配した;;
電車で読みながら、まさかしんぢゃうの??とか・・・
盲腸でよかった^^
でも・・・盲腸ってことは・・・
やっぱり・・・あそこは・・・つるつ・・・(以下自主規制)

そういえば氣志團の新曲・・・
「愛羅武勇」っていうんですが・・・
鬼浜マニア?!(笑)
1人ツボにはいりましたw

>>Tohkoさま

>自主規制
うお~、キターーー ( ・∀・)ーーー!!!
だれかそう突っ込んでくるんじゃないかとwww
もう、お姉さんったら。だはは。

氣志團の新曲、知ってる!!!
リーゼント+愛羅武勇ったら王道ですもんね。
わたしのリアル妹が好きなんです。氣志團。
一緒に特攻服作ろうって言ったら断られたけど。

思うツボ?w

いやぁ~んwww
自主規制したのにバレちゃった???

ワタシモ氣志團すきですよぉ~♪
DVDちと感動しました^^
妹サマとも話があいそうですwww

>>Tohkoさま

もうバレバレ>自主規制
もう、やだな~、Tohkoさんったら (*^_^*)ノブオにひっぱたかれますよ。だはは。

氣志團。
ウチのリアル妹、かなりバリバリですよ。
こんど紹介しましょうか?

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