目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

鬼の霍乱 5


 リュウジが盲腸の手術をした日から、3日が経っていた。
 放課後になるとオレはダイゴとノブオを伴って、病院までお見舞いに行くのが日課になっていた。
 リュウジは気持ちの上ではもうすっかり元気な様子になっていた。

 「それで? 俺がこうしている間に変わったことはないか?」
 「ああ、おかげさまでね。平和なもんだよ」
 「それならよかったぜ。あ~もう、早いとこ退院してえなあ。病気なんかするもんじゃねえぜ。思う存分食いたいもの食えないのが苦痛でな」
 「それは辛いかもしれんな、リュウジ」
 「だろう? ダイゴ。飯は一膳だけだしよ。腹持ち悪いったら」
 リュウジは不平たっぷりの口調でそう言った。

 「ああ、忘れてた。リュウジ、今日の分のノート、ここ置いとく」
 「オウ、ありがとな、ハヤト」
 「そういや試験近いっスもんね~」
 「……嫌なこと言うぜ、ノブオ。医者の許しが出たら思う存分仕返ししてやっから覚えてろよ」
 「うわ~~~、ゴメンナサイ、兄貴ぃ~」
 そんなノブオの姿がおかしくて、オレたちはちょっと笑った。もっともリュウジは痛そうだったけど。

 「よっ、リュウジ。ちょっとは元気になった?」
 「おう、千晶ちゃんじゃねえか!!!」
 そのとき大きな花束を抱えて、千晶ちゃんが病室へ入ってきた。
 「はい、お見舞い。リュウジにお花ってちょっとアレかとも思ったけど」
 「わはは。悪いな、気を遣わせて」
 ノブオが花束を受け取って、さっそく花瓶に移し替えている。

 「へえ。でもお花いっぱいあったんだね。別のにすればよかったかな?」
 「こっちのは、マキ姉が持ってきてくれたやつだ」
 「うん。おととい来たね。赤ジャージと一緒に」
 「それからこれは、森園たちからだったな」
 ほかにも並んだお見舞いの品々を、オレとダイゴで指さしながら千晶ちゃんに伝えていた。言われてみればいろいろ、たくさんあるなあ。

 「ふうん。リュウジ人気者だからね。いろんな人来るでしょ?」
 「ああ。おかげさまでな。ちっとも休んでる暇ねえんだぜ」
 「あはは。それはご苦労様。病人も楽じゃないね」
 「はいはい、甘やかさないの、千晶ちゃん。そんなこと言ってるけど、午前中はきっと暇で泣きそうになってるよ、リュウジは」
 「ってオイ!! ハヤト、悪いが午前中は午前中で俺は忙しいんだぜ? ハヤトのノートに目を通したりとか、ちょっとはするし、それに……」
 
 「どうせゲームか何かで忙しいんっスよ、兄貴は」
 「おい、ノブオよ。そのようなことを言うとまた──」
 口を挟んだノブオをダイゴがたしなめたけど、遅かったな。
 「ノ~ブ~オ、お前覚えとけな」
 「うわ~~~、ほんっとにゴメンナサイっス~~~」
 「あはははは。あんたたちって、ホントに面白いよね」
 千晶ちゃんは笑ってるけど、リュウジもノブオもある意味本気なのが……やっぱり笑えるのかも。

 そうこうしているうちに、またお見舞い客が現れたんだ。
 「リュウジ、あんた盲腸だって?」
 「おう、亜由姉ちゃんじゃねえか。久しぶりだな。ハヤトに聞いたのか?」
 「ううん。遙に」
 亜由姉さんの後ろからは、遙先生が入ってくる。
 「リュウジくん、経過はどうなの?」
 「ん? ああ、順調みたいだが……なんだ、亜由姉ちゃんと知り合いなのか? 遙先生」
 「うん。大学のときの友達。ね、遙」
 「ええ、そうなのよ。ついこの間、亜由がハヤトくんと一緒にいるときに久しぶりに会ったの。亜由がハヤトくんの親戚だってその時知ったのよ」
 「ふうん。そうだったのか。」
 世間って狭いよね、なんて一同で頷きあったりしていた。
 「で? ハヤト、お前亜由姉ちゃんと一緒に、どこにいたんだ?」
 「え──いや、まあ、その……」
 「まさかとは思うけど?」
 「あら、変なところじゃないわよ。リュウジくん」
 なんて遙先生が助け船を出してくれる。やれやれ、助かった。
 「海沿いのパチンコ屋さんの前よ。ね?」
 「……あ~あ、言っちゃった。そうだよね。遙にはちっとも変なとこじゃないもんね。パチンコ屋は」
 亜由姉さんは肩をすくめた。
 そんな亜由姉さんを横目で見ながら、リュウジの怒りの矛先が今度はオレに。
 「──ハ~ヤ~ト、お前も覚えておくんだな」
 「はいはい、すみませんでした……」 
 あの店じゃ、オレは1Gも回してないのになあ。結局リュウジにバレてんだ。
 
 亜由姉さんと遙先生がリュウジに持ってきたお見舞いの品は、大きなクマのぬいぐるみだった。
 「って、オレはそういうキャラクターなのか? 亜由姉ちゃん」
 「だって、リュウジ寂しがり屋じゃない。夜とかひとりで心細いときにあったらいいかな、って。遙と相談してさ」
 「ええ。お花もいいけれど、こういうのも和むかなって思って」
 「……まあ、いいけどな。カワイイしな」
 リュウジはぬいぐるみの抱きごたえを確認してみて、ちょっと微笑んでいた。
 「あは、そういうの案外似合うね。リュウジ」
 「え──そうか? 千晶ちゃん」
 ね~、と千晶ちゃんを含む女性陣がくすくす笑っている。リュウジって結構、とくに年上の女の人には愛されるのかもね。

 今日の面会時間も終わりに近づいていた。
 リュウジにはまた明日、と言って病室を出て、クルマで来ていた遙先生と、同乗するらしい亜由姉さん──これからまた勝負だろうな。いいなあ──のふたりには病院の正面玄関でさよならして。
 そしてオレたちは、千晶ちゃんも一緒に4人で病院から外へ出た。

 「千晶ちゃん、今日はありがとう。リュウジ喜んでたよ」
 「いえいえ。ホントは毎日来たいんだけどな。いろいろレッスンとかあってね」
 「へええ。忙しいんっスね。千晶センパイ」
 「まあね。それなりにね」
 「けれど、もう数日でリュウジも退院できるのではないかな?」
 「うん、ダイゴ。そうだよね。やっぱ鬼工にはリュウジがいないと締まらないもんね。早いとこ戻ってきて欲しいよね──あれ?」
 一瞬言葉を切った千晶ちゃんは、何を感じたのか後ろを振り返った。

 それにつられて振り向いたオレたちの視界の隅っこを掠めたもの。それは──
 「あれ、今、誰かそこにいた?」
 「ええ、いましたねえ。ハヤトさん」
 「押忍。ピンク色の頭がいたような」
 「やっぱり? あたしの気のせいじゃないよね?」
 またしても奴か。なんとなく、オレたちがここにいるのを見られたくなかったんだけど。
 何やら嫌な予感がオレたちの胸を去来した。聞かれた──よなあ。きっと。


テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

<< 鬼の霍乱 6 | ホーム | 鬼の霍乱 4 >>


コメント

リンゴむきむきするぅぅ~

リュウジってやっぱ年上のお姉さんにモテるのね!
お見舞い行って、リンゴをあ~んって食べさせたい!ハァハァ・・・

盲腸って薬で治すって話も聞くけど、手術するほどとなると
重傷レベルなんですかね?私はもちろん、まわりにも
経験者はいないので・・
盲腸といえども、あなどれない病気ですよね?
ヨカッタ、大事にいたらなくて。リュウジったらもう!

>>ピノコさま

だはははは(^^:) ハァハァってwww
リンゴ……むいてあげてください。
あ~ん、ってしてあげちゃってください。
もう、お姉さんったら (´∀`)

盲腸は、わたしの知人で最近切ったひとがいますけど、
いくとこまでいっちゃって、長期療養でした。
有休使いまくったらしいです。
なので、本作の参考にはちっともならなかった!!!


ほっと一息

こんばんわ、華丸様。
一体何の病気だろうかと気をもんでましたが、盲腸で良かった~
リュージってば入院中もオネーサンな看護師さんにイヂラレテ楽しい(?)入院生活送ってそうですよね~
…意識があると結構傷ついちゃう男の子っているみたいですよ( ̄ー ̄ニヤリ

>>単savaさま

やっぱりそう思います?
うん。リュウジはいじられまくっているんじゃないかと
わたしも想像しますわ(^^:)
だって、いじってみたいもん。だはは。

>( ̄ー ̄ニヤリ
いったい何に……にやり?
もしかして
盲腸=以下自粛 とか ソッチ?

反省中

盲腸=以下自粛
恐らく華丸様のお考えで合っているかと思われます。
以前看護師さんが言ってたのをふと思い出しまして。
ああ見えて彼も一応思春期真っ只中なのに、
ニヤついたりしてごめんねリュウジ…
と反省しました。

>>単savaさま

だはははは。
ぜんぜん反省とかしなくってOKかと(^^:)
みなさんそういう妄想とかしてるみたいだし。

まあ、アレですよ。
リュウジの青春のひとつの金字塔ですわ。
でも思春期ってステキな言葉 :*:・( ̄∀ ̄)・:*:

華丸は思春期を遠い昔に過ぎたはずなのに、
ちかごろ当時並のにきびに悩んでま~っす。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。