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鬼神生還 1

  
 「いや~、それにしても長かったぜ、一週間」
 感慨深そうにリュウジは言った。
 その口調がすごくうれしそうで、聞いているオレたちも気分がよかった。

 盲腸をわずらって人生初の手術および入院という試練を受けたリュウジが、やっとのことで退院のお許しをもらったんだ。
 寝間着で過ごした一週間に別れを告げたリュウジは、服に着替えてこう言った。
 「ん~。やっぱカラダがなまってる気がするぜ」
 「あはは。そりゃしょうがないだろ、リュウジ」
 「その通りだ。やはり動かないことにはな」
 「そしたら兄貴、オレ相手になりますよ~。じゃんじゃん殴っちゃってくださいっス~」
 よくわかんないけど、ノブオの言ってることっておかしいよな……。

 「……ノブオ。そんなにヤられたいのか?」
 「ええ、そりゃもう。兄貴の拳だったらいつでもオッケーです!!! あ、ハヤトさんのじゃダメですけどね。効かなそうだし」
 「ノ~ブ~オ!!!」
 「きゃ~~~!!!」
 ノブオは廊下へ逃げていく。オレもほんの2、3歩だけ追いかけるふりをした。

 「わはははは……って、痛えんだよ、まだ。笑うと。だからちっとは遠慮してくれな、お前ら」
 「あはは。ごめんごめん」
 「へ~ん。ハヤトさん怒られてやんの~」
 「──お前もだ、ノブオ」
 「ああっ、兄貴!!! ゴメンナサ~イ!!!」
 「まったくもう」
 リュウジが元気になったとたんにノブオがハイになっちゃってる。
 やっぱダメだね。リュウジがいないとさ。

 「ところでリュウジ」
 「ん? どうした? ダイゴ」
 「お主、本当にこれからすぐに暗黒一家に挨拶に行く気では──」
 「ああ、そのことか。そうだよなあ。真っ先に挨拶に行くって言ったからな、俺。とはいえ今の状態で喧嘩なんかしたら、きっと開くな。腹」
 「うえ……オレやだな。ホラー映画みたいの苦手だ。そんなの見らんないよ」
 「オ、オレはハヤトさんと違ってホラー映画は大丈夫っスけど、でも兄貴が痛いのは見てられないっス……」
 「ちきしょう、あくまでオレに喧嘩売ろうってのか、ノブオめ」
 まあね。ホントに喧嘩したらオレ負けるんだろうけどさ。

 「話が逸れたが、それでどうするのだ? 俺は賛成できんのだが」
 「オレもまだ無理は禁物に一票だ。あ、そうか。それだったらもうちょっと入院してたらいいんじゃないの? リュウジ」
 「何っ!!! 冗談じゃねえぞハヤト。俺は一刻も早く腹一杯になりてえんだぜ!!!」
 そうだよな。病院食にうんざりしてたもんな。リュウジ。
 「てゆーかハヤトさんってやっぱり考えること違いますよね~」
 「……そう? 褒めてくれてありがと、ノブオ」
 「いや──そんなつもりでも……」
 リュウジは笑ってた。ちょっと腹が痛そうだ。

 「とにかくまあ、挨拶には行かねえとな。俺は嘘をつくのは好きじゃねえから」
 「そうか。リュウジらしいけどな」
 「押忍。だが──」
 「心配するな、ダイゴ。いざとなったらノブオが俺をかばってくれるから。な?」
 「も、もちろんっス!!! オレに任せてください!!!」
 本当に誇らしそうに、ノブオが応えた。
 「わはは。頼もしいぜ、ノブオ」
 「まあいいか。それならいいか。な、ダイゴ?」
 「──どうだろうな」
 慎重派のダイゴは、まだ浮かない顔をしてた。

 それからオレたちはリュウジの荷物の片づけを手伝って、リュウジと一緒に相部屋の患者さんたちに『お世話になりました』『お騒がせしました』と言って回った。
 骨折で入院中の、長髪の大学生氏はリュウジと気があったみたいで、勉強も喧嘩もがんばれよ、と笑顔で言ってくれてた。リュウジもまたお見舞いに来るって言ってた。
 あとふたりはおじさんだったけど、どっちもリュウジと握手したり、肩を叩いたりして送り出してくれた。
 こんなとこでもリュウジは人気者だったみたいだ。だって、日参するたびにオレたちにもみんな優しくしてくれたから。
  
 オレは知ってるんだけど、実は別れが苦手なんだ。リュウジは。
 だから、一刻も早く退院したいのは本音だけれども、一週間をともに過ごした相部屋さんたちと別れるのが辛いんだと思う。
 部屋を出るとき、何度も何度も「また来るからな」って言ってた。
 きっとそれも嘘じゃないんだろうな。
 また友達増えたな、リュウジ。

 手分けして荷物を持って、オレたちは病室をあとにした。
 リュウジが抱えているは、鞄に入りきらなかった大きなクマのぬいぐるみ。亜由姉さんと遙先生からのお見舞いの品だ。
 「兄貴、クマさんに名前つけました?」
 「え……ま、まあな」
 一瞬ぎくりとした表情をリュウジは見せた。
 「なんていうんっスか?」
 「いいじゃねえか、何だって」
 「え~、そんなこと言わずにぃ」
 ノブオが食い下がる。見ているダイゴとオレは、目を見合わせてくすくす笑ってる。
 そんなオレたちを一瞬きっとリュウジは睨んだ。
 「あはは、おっかないね、リュウジ」
 でもまあ、照れてるんだろ。かわいいとこあるよな。リュウジ。
 
 そして、観念したようにリュウジはちいさくこう言った。
 「……くーちゃん、だ。クマだからな」
 「あはは、リュウジ、ストレートだね。くーちゃんって……」
 「なんか文句あるか? ハヤト!!!」
 「わ、い、いや、何もないで~す」
 いいよね。4人でこうしていられるのって。
 一週間を経て味わう『日常』がやけに新鮮で楽しい感じ。

 「ではリュウジ。退院祝いに俺たちがもうひとつプレゼントしよう。クマのぬいぐるみを」
 突然ダイゴが言い出した。
 「なんで? ダイゴ」
 「二頭目はまーちゃん、だろう? リュウジ」
 「ってダイゴ……ええと、そうかな。それもいいやな」
 「ダイゴさん、意外な発想ですねえ」
 「そうか? 至って普通だと思ったが」
 あはははは。なんかみんないい感じだ。

 階段を下りてあとは看護師さんたちと先生に挨拶をしたら、やっとリュウジは病院の外へ出られるんだ。
 ようやくリュウジが戻った鬼浜町は、きっと前より楽しいんだろうな。
 
 

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

祝!退院

無事に退院できましたね!
前回まででもしやハヤトまで~、なんて思ったりしちゃいました。
でも、総隊長代理でコウヘイに対峙するハヤトはちょっとかっこ良かったです。
何時もはフワフワっとした雰囲気でそれがとても魅力的だったけど、
拳を握るハヤトもがんばってる感じで良いですよね!
しかしコウヘイめ~
リュウジにしっかり仇討ちしてもらわないと(笑

>>単savaさま

リュウジ退院しても……きっとまだ……
以下自粛。だはは(^^:)

たまにはハヤトも修行しないとね~。
喧嘩を避けて通れるほうが不自然な気がするもんで。

>しかしコウヘイめ~
やっぱコウヘイ、憎い?
ってことは単savaさんも鬼工女子のひとりだwww

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