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湖畔に吹く烈風 3


 「君達、美山瀬湖は初めてか? だったら少し湖畔を散歩してくるといい。まだ紅葉には少し早いが、いろいろ秋の花も咲いているし」
 「うん、そうします、親父さん。健兄に報告しないといけないから」
 「ははは。そうか。そうしてくれると有り難いな」
 そんなふうに親父さんに言われて、オレたちは外へ出た。

 湖畔の空気は、まったくもって澄んでいた。
 「いや~、すがすがしいぜ!!! 試験のことなんて忘れるよなあ。どうでもいいやな」
 「あはは、そうだね」
 いや、どうでもいいかどうかはわかんないんだけどさ。
 「でもさ、同じ水辺でも浜とは空気が違うよね。植物が多いせいかな?」
 「そうかもな、ハヤト」
 
 湖畔の、芝生が敷いてある公園に降り立ったオレたちは、寝っ転がって青空を仰ぐ。
 「そういや、ほら、あの大きい木あるだろ?」
 リュウジは正面を指さして言った。示した先には、見上げるほどの見事な大木がある。
 「多分あれのことだと思うんだけどな、健兄が言ってた。あれ、日本一大きなクリスマスツリーなんだってよ。時期になると電飾が点るらしいぜ」
 「へえ、そうなんだ。あんなに大きいんじゃ壮観だろうな。見てみたいね、冬に」
 「だよな。今度みんなで来るんだったらその頃を狙うか?」
 「うん、いいね」
 なんて軽く喜んでみたんだけど、ちょっと気になることがあった。
 「でも、ダイゴって宗教上の制約みたいのって大丈夫かな?」
 「ああ、そうか。でも平気じゃねえ? 俺、ガキの頃ダイゴとクリスマスケーキ食ったことあるぜ?」
 「あ、そう? それじゃいいか。うん、いいことにしよう」
 なんて具合でオレたちは、開放感を満喫してた。

 それから公園を一巡りしてたら、子供が喜びそうなロードトレインってやつ──汽車みたいな形をしたクルマの、遊園地なんかにあるような乗り物──と行き合った。
 「なあ、アレ、乗ってみたくねえ?」
 「ん? アレ? 乗りたいんだ、リュウジ。あはは、子供みたいだな」
 「……何だと? いいじゃねえかよ」
 言うが早いか、リュウジは道を行く汽車へと突進していったんだ。
 好きだねえ、こういうの。

 なんだかはしゃいでいるリュウジと一緒に乗り込んで、湖畔公園一周の旅。
 ロードトレインの窓から見た湖には、遊覧船が浮かんでいた。
 小鳥のさえずりなんかも聞こえてくる。
 「うわ~、ハヤト!!! あっち見てみろよ。ほら、あの森んとこ。なんかさ、熊でも出てきそうだよな」
 「熊──はどうかなあ? でもこの辺、イノシシとかシカはいるって聞くね」
 「ほう、そうか!!! いいな、俺もイノシシ仕留めてみてえぜ」
 「いや……さすがに素手じゃどうだろな。少なくともコウヘイやゴンタよりは強いと思うけど」
 「ん? ああ、そんなもんか。それじゃもうちょっとリハビリしてからにすっかな」
 童心に帰って──いや、いつもと同じかもしれないけど、無邪気に騒ぐリュウジがやけにほほえましい。

 そうしてそばらく遊んだあとに、オレたちは湖畔から引き上げたんだ。
 帰りにもう一度、健兄さんの親父さんに挨拶をして──またいつでもおいでって言ってた──、それから駐輪場へと向かった。
 「使命を果たしたあとは気分いいぜ。今日はありがとな、ハヤト。付き合ってくれて」
 「とんでもない。オレも満喫したしね。おいしい空気を」
 「そうか。だったらよかったぜ!!!」
 「でもさ、県内だし、あんまり遠くまで来たつもりないけどすっかり観光気分を味わえたよな」
 まだ視線を湖に残したオレたちは、話しながら駐輪場まで歩いた。
 
 駐輪場の入り口まで来てみたら、オレたちの単車を停めたすぐ脇に座り込むふたつの人影があるのに気が付いた。
 そのふたり組は両方とも背中の真ん中くらいまでの長髪──ちょうど健兄さんとおなじくらいだ──をして、揃いの革ジャンを着込んでいる。
 座り込む彼らの目の前には、オレたちのと大差ないくらい目立つ見た目の単車が停まっていた。
 「うん? どうしたんだろうな?」
 「さて……?」
 リュウジと顔を見合わせて、ともかくオレたちはそっちのほう、というか、自分らの単車が停まっているところまで足を運んでみた。

 「あ~あ、やっちまったなあ。おれ」
 「とにかく直さないことには。こんなところ奴らに見られた日には──」
 「確実に足許掬われるよなー」
 なんだか困って焦ったような顔を彼らはしていた。
 「こんな場合だ。親父さんに助けを求めたらどうだ?」
 「まさか。そんなのおれ、恥ずかしくてできねーよ。いっつも頼ってばっかだし」
 「そうか。それもそうだな」

 「兄ちゃんたち、どうかしたのか?」
 リュウジが突然、彼らに声をかける。
 それまでオレたちにぜんぜん気付いていなかった彼らは、一瞬肩をびくっと震わせてからオレたちを振り返ったんだ。
 「なんか困ってるみてえだな?」
 「ああ──いや、まあ」
 ふたりは立ち上がって、オレたちを値踏みするように見たあとに、目線を合わせていた。

 リュウジは困った顔をしてる奴を見過ごすことができないたちだから、彼らにごく自然に声をかけた。
 困ってる彼らは、そんなリュウジとオレの胸の内を量りかねてかさらにちょっと困ったような顔になっていた。
 「ええと、オレたち別に怪しい者じゃないですから。こっちは困った奴をほっとけない漢なだけですんで」
 「ああ──そうですか。急に声かけられたから驚いたもので」
 立ち上がった、長身のほうの男がそう応えた。痩せていて色白で、漆黒の髪をしてる。
 「ほんとその通り。おれら、ちょっと因縁ある奴らがいるもんで、そいつらかと思ってびっくりしたってわけ」
 そう続けたのはもうひとり。こっちはあまり背が高くなくて、派手な金髪。頭の頂点を短くして逆毛を立ててる。

 「ああ、なるほどな。それだったら驚かせてすまなかったぜ」
 「うん。悪かった。そういうのはオレたちにも身に覚えあるしね」
 オレがそう言ったら、ちょこっと場の雰囲気がやわらいだような気がする。
 なんというか、共感めいたものができたって言うか。

 「いやね。おれ、単車をパンクさせちまって。それでちょっと困ってたんだ」
 金髪のほうがそう言って、耳の裏側をぽりぽり掻いていた。
 「そういうこと。こいつ走りが無謀だから」
 ちいさくため息をついたのは黒髪ほほう。
 「オウ、そんなことか!!! だったらわけねえよな、ハヤト?」
 「ん? ああ、まあね。そしたらちょっと見てみようか」
 どうやらオレの出番のようだな。リュウジがオレの肩を叩く。
 オレはリュウジに頷いてから、自分の単車のサイドに括った荷物をほどきに行った。


テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

えーと…

こんばんわ、華丸様。
穏やかな空気と美しい景色、童心に返るひと時と弾む会話、
さりげなく交わされるクリスマスの約束。
これはもしや世間様では でえと と呼ぶのでは…

と、ある意味寂しいニーチャン2名は置いといて。
揃いの革ジャンなんて、とある漫画を思い浮かべてしまいました。
ライダー達には揃いのライダース!かっこいいですよね~

ハヤトってば~

何言っちゃってんのッ!
男同士でクリスマスツリー見に行くなんてぇ。
男4人でクリスマス・・笑えるぞ!かわいそうだぞ!

ホントは彼女いるくせにぃ。知ってるんだから。
ハヤトに彼女・・・それはそれで萌える。うん、許す。
リュウジは・・・・・・・・想像できない(笑)

>どうやらオレの出番のようだな
いつものおとぼけハヤトの腕の見せ所ねッ♪

>>単savaさま

なんですと~?
で え と ……!!!

え~と、寂しいですな。だはは。
色気ないですな。だはは。
かわいそうだなあ(^^:)

いいんですよ。リュウジは。
ふられるのが似合ってるから。
だって「愛羅武勇」成功ってレア演出の部類でしょ?
ハヤトは……知らないけど(無責任)

>>ピノコさま

やっぱかわいそうだよね~(^^:)
でも、奴らにはそんな花のないクリスマスが似合ってる。
……とか言われるのがかわいそうなのか。だはは。
ごく自然にハヤトは上記せりふを話しましたよwww

>ハヤトに彼女・・・それはそれで萌える。うん、許す。
そ──そうなの?
うわ~、オトメゴコロって微妙だわ~ (´∀`)
ほんとのとこは……知らないけど(無責任)

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