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湖畔に吹く烈風 4


 パンクしたという金髪くんのメタリックオレンジ塗装の単車を、オレはひとまず調べてみることにした。
 「ああ、釘が刺さってるね。コレだ」
 「あらら、ほんとだ。ついてねーな、おれ」
 「うん。まあ、たまにはあることだし」
 そんな風に答えて、オレはさっそく手持ちのパンク修理キットを取り出した。こんなことに備えて、遠出のときには持参することにしているのが幸いした恰好。

 「え、もしかしてここで直せる?」
 「まあね。これくらいだったらオレにも何とか」
 オレが笑ってそう返したら、金髪くんはほっとしたように表情を緩ませたんだ。
 「こいつな、バイク屋のせがれなんだ。だからこき使っていいんだぜ」
 なんてリュウジは、初対面のふたりに言い放った。
 
 「うわ、ありがとーございます!!! こんな見ず知らずの輩に、どうもどうもご親切に」
 「いえいえ。困ってる人を見捨てるような真似したら、こっちににあとで何されるかわかんないから」
 「当たり前じゃねえか!!! だってよ、単車乗る奴みんな仲間だろ? なあ、ハヤト?」
 「あはは。それはどうだろ。だってほら、コウヘイたちだって──」
 「つまんねえこと言うなよ、ハヤト。いいから早いとこ直してあげろっての」
 「あはは、そうだね」
 リュウジに言われたら、オレは従わないわけにはいかないし。そうじゃなくたって、オレだって自分の力で助けになるんだったら厭わないしね。

 「そしたらしばらくかかるから、そうだなリュウジ。もういっぺん健兄さんの親父さんの店に行って待たせてもらっとくといい。山だし、夕方は冷えるから」
 「そうか?」
 いつもだったら絶対に首を縦には振らないようなオレの提案に、リュウジは乗ってくれた。病み上がりを心配してるオレの気持ちをわかってもらえたみたいだ。
 「だったらそうさせてもらうかな。終わったら呼びに来てくれや」
 「うん、了解」

 「──もしかして、健兄さんの親父さんというのは」
 オレたちのやりとりを聞いた黒髪くんが口を挟む。
 「オウ。そこのおみやげ屋さんの店主だぜ。健兄ってのは、俺のちょっとした知り合いでな」
 リュウジがそう言ったら、長髪のふたりはなんと、そろってリュウジと隣にいたオレとに深々とお辞儀をしたんだ。
 「健さんのお知り合い──健さんは俺たちの尊敬する先輩で」
 黒髪くんは感慨深そうにそう言った。金髪くんのほうもこくりと頷いて、なんとなく懐かしむような顔を見せていた。

 金髪くん──彼はテツと名乗った──に聞いたところによると、リュウジが入院中によくしてもらった健兄さんってのは、大学にいくまではここら辺りを締めていた人物らしい。
 また、さっきオレたちが会ってきた健兄さんの親父さんも面倒見がよくて、自身も単車に乗ることもあって今でも彼らのよき理解者なんだとか。
 「それで、ほら、おれと一緒にいた奴。タケルってんだけど。あいつが健さんから後を託されたってわけ。そんときまだ1年だったんだけどさ、タケルもあれで人望篤いから」
 「へえ。なるほど。そしたらタケルくんは隊長なんだ」
 「そーだな。ちなみに、うちらは美山瀬烈風隊って名前なんだ」
 「ってことは、今は親父さんのとこで隊長会議だね。ウチのリュウジも鬼浜爆走愚連隊の総隊長だ」
 「へ~。なんかわかる。彼、リュウジ? 統率力ありそうだもんねー」
 オレは作業をしながら、テツの話を聞いていた。
 彼はずいぶんと話好きみたいだった。

 「で、テツくんは? タケルくんの腹心って感じ?」
 「わはは。腹心かどーかわかんないけど。でもいつも一緒だな。ってゆーか、呼び捨てでいいってば」
 言ってテツは笑った。なんかオレと同じような立場みたいだ。
 「それでさー、仲間もいれば敵もいるってわけで。おれたち平和主義なんだけど、いっつもちょっかい出してくる奴らがいてさ」
 「あはは、あるある。そういうこと」
 「あ、わかる? そうかー。ハヤトんとこもそんなんか」
 「どこでも一緒だね」
 こういうのって共通の図式なのかもな、なんて思った。
 「で? 直る? ハヤト」
 「うん。とりあえず走れるようにはなるけど──けどこれ、タイヤ自体がそろそろ替え時だ。溝がだいぶ減ってるから」
 「あー、やっぱりね。ちょうどそんな時期だとは思ってた」
 「うん。早めがいいよ。もうちょっと明るい時間だったらいろんなとこ見てあげるんだけど」
 
 ちょっと見だけど、テツのマシンは『無謀な走りをする』ってタケルが言ってたのが頷ける感じだった。きっとテツも幾多の勝負を経てきてるんだろうなって思う。
 オレの手元を見てたテツは、ふと思いついたように立ち上がってオレの単車を見てる。
 「へー、ハヤトの単車も経験豊富そうだね」
 「ん? オレの? ああ、まあ割とそうかな」
 互いのマシンを同じように評するあたり、やっぱりテツとは似たもの同士かも。
 「速いんだろーな、ハヤト。タイヤ替えたら勝負しようか」
 「あはは、いいかも。オレ、こう見えても負けず嫌いだよ?」
 
 刺さっていた釘を抜いて、修理用の工具を幾つか使って。それからポンプで空気を入れて、空気圧を確認する。
 「よし。これでOK」
 「うわ、終わった? すげーな、ハヤト。どうもありがとう!!!」
 「あはは。慣れてるだけ。ちょっと走ってみてよ」
 「うん、そーする」
 うれしそうにテツはエンジンをかけて、それから道へ出ていった。
 
 テツが試走している間に、オレは工具を片づけてからリュウジたちの待っている親父さんの店へ行った。
 「オウ、ハヤト!!! 終わったか?」
 にこやかに振り返るリュウジの顔を見たら、どうやらこっちも隊長同士の会話が楽しくなされていたことが察せられた。
 「うん。いまテツは試走中だよ」
 「お世話かけたな、ハヤト」
 なんとまあ、タケルはオレにまたしても深く頭を垂れた。恐縮しちゃうな、オレ。
 「いえいえ。とんでもない。テツといろいろ話して楽しかったしね」
 そう返すと、あ~あ、みたいな顔をタケルが見せた。
 「奴、おしゃべりだから。聞き疲れただろう?」
 「あはは。そんなことない。大丈夫だよ」
 そんなオレたちのやりとりを、健兄さんの親父さんはあったかい目で見てたんだ。
 なんかいいよね。タケルとテツたちは恵まれてるな、って思った。

 そして試走を終えたテツが戻ってくるころには、夕暮れが近い時間になってた。
 オレたちはもう一度、親父さんに挨拶をしてから駐輪場へ戻った。
 歩きながらリュウジが言う。
 「なんかさ、ハヤト。どこでも同じだよな。仲間がいて、敵がいてみたいなのってよ」
 「ああ、オレもそう考えてた。テツと話してて」
 「それでさ、新しい仲間みたいのにも時々巡り会えたりするもんだな、っても思った」
 「うん。ダイゴだったらこういうのを『縁』とかって語ってくれそうだ」
 リュウジのリハビリを兼ねたお使いは、思わぬおみやげがついてきた。
 健兄さんにこのこと話すの、楽しみだろうな。リュウジは。


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コメント

わたしってば・・・

携帯で通勤㊥これを毎日楽しみによんでいて
コメはPCで^^って思うとすでに新作が登場してる・・・
んで新作は明日の電車で!!って
おもいつつひとつ前のにレスつける・・・
ん~なんか違うような・・・www

なんかリュウジって誰とでも仲良くなれるような気がしますよねぇ・・・
それがホントの漢だよね・・・
最近はまってるホントの漢とおもえるのは~
「サラリーマン金太郎」の金ちゃんw
昼休憩でそんなんよんでる私がかわいぃ(*´∇`*)

>>Tohkoさま

いいんですよ~、Tohkoさんスタイルで読んでくだされば (*^-^)b
コメントだって、いくつ前の記事につけてくださっても大丈夫です♪
ちゃんと読ませていただきますよ~!!!
御来訪&コメントって、それだけでいつも感謝ですから☆

つーか、アホな勢いで更新しすぎなんかな(汗)

リュウジは、男の子だったら誰でもナンパ成功。だはは。
ああ、妙な意味じゃなくってね。

サラリーマン金太郎……読んだことない。
こんど読もうかな~。
Tohkoさんのかわいさがわかる?

あぁ・・・

別宅さん・・・込み合っててコメかけないorz

ということでこんばばばんわw

金ちゃん・・・漢の価値は学歴や役職じゃないw
もう惚れましたwL□∨Ε...φ( ̄▽ ̄*)
まwでもあんなリーマンいたらまず確実にクビだとおもわれ・・・w

そういえば健兄はおいくつぐらい?
もちろんわたしより下だよな。。。(笑)


>>Tohkoさま

【別宅】、あそこ、夜はつながんないね~。
ご迷惑おかけします o(_ _*)o
だって自分で記事書くのにも一苦労だもんなあ……。
実はコレ、最初【別宅】と同じトコで書いてたの。
あまりにサーバーが不安定だった時期に始めちゃった
らしくて、最悪データなくなるかも……という恐怖の
余りコチラにお引っ越し→現在に至る(^^:)

金太郎、漢っぷりがスバラシイ?
んじゃ読んでみよかな~ :*:・( ̄∀ ̄)・:*:
そういうの好きみたい。わたし(^^:)

健兄はね、大学生って設定でございます。
リュウジたちと歳の近い兄貴分ね。
あ、Tohkoさんより年下?

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