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カッ飛ばせ!! 4

 「おおい、リュウジ。どうかした?」
 先程華麗にホームインを果たした森園主将がベンチから出て、応援席のリュウジに大声を放った。

 「おう、森園。活躍ご苦労!!何でもねえぜ。小うるさい虫どもを追っ払ったところだ」
 「ふふふ、そうかそうか」
 「お前ら選手は安心して試合に集中してくれや。虫退治は俺らに任しとけ」
 「ああ、そうこなくっちゃ」
 森園がリュウジに笑みを投げかける。

 「やっぱりリュウジは頼り甲斐あっていい漢だね。男どもに慕われるのがわかるよ。ねえ、相棒さん?」
 つと視線をずらして、森園主将はオレに向かって言う。
 「ああ、ほんとにな」
 なんとなくオレと森園主将は目顔で頷きあった。

 「リュウジ、今日は野球部を勝たせてくれるよな?」
 「当たり前だぜ!!! 任しとけや!!!」
 とリュウジは声を張り、ダイゴに合図を送る。
 ダイゴの太鼓に合わせて、鬼浜応援席は声を出した。
 「兄貴、かっこい~~~」
 はからずも呟いてしまったノブオの気持ち──オレも同意するぜ。

 そして森園は満足そうに守備に戻っていった。途中、他校の女子生徒の陣取るあたりに手を振ってアピールするのも忘れない。
 
 さて、少々緊張を孕んだ幕間のあと、オレたちはいよいよ鬼浜工業野球部の応援に真剣に従事した。

 「いいか、お前ら!! 俺らの声で野球部を勝たすぜ!!」
 「オ~~~ス!!!」
 「今日勝ったらベスト……ええと」
 一瞬リュウジが躊躇したので、オレはちいさく耳打ちした。
 「ベスト8だ」
 「おう、そうだ、ベスト8だぜ!!!」
 「オ~~~~~ッス!!!」
 リュウジは既にカリスマ応援団長と化していた。確かにこんなリーダーシップを発揮する奴って、そうそういないのかもしれない。

 とにかく鬼浜工業の面々は、一丸となって輝いていた。
 応援席も、そしてグランドの野球部員たちも。
 
 試合はシーソーゲームを展開していた。
 件の3回裏の鬼浜3点先制のあと、5回表で暗黒に2点を返された。
 続く6回は両軍1点ずつを追加した。
 
 回を追うごとに我が応援席は盛り上がりを増し、同時に暗黒も盛大に声援を送っている。
 お馴染み暗黒一家の面々は、リュウジ以下のオレたちとは違って声出しの先頭に立っているのではなさそうだ。
 応援席の最前列に立ちはだかってはいるものの、むしろ静かに戦況を見守っているといった体。声というかヤジに近い怒号が、切れ切れに向かいのスタンドからときどき上がる。

 「ハヤト、モヒカンの姿が見えないな」
 「モヒカンってあいつのこと?」
 「ああ。帰ったかな?」
 あれでもリュウジは心配しているんだろうか。情に厚いというか、何というか。

 「どうだろな。ダイゴ、見えるか?」
 「ええと──」
 「あ、兄貴! いましたいました!!!」
 「見えるんだ、ノブオ」
 「ええ、ハヤトさん。ほら、あそこ」
 ノブオが示した先は、応援席の隅っこの、人影まばらなあたりだった。

 「なはははは。アイツ、まだ伸びてやがりますぜ」
 「ああ──あれか」
 かわいそうに、モヒカンのタカシはぐったりと横になっている様子。
 
 「そんなに当たり所が悪かったか?」
 「どうだろな。もしかしたら日射病かもしれないぜ、ハヤト」
 「ああ、確かに。あいつカラダ弱そうだもんな。そういやリュウジは平気なのか? 心配してた日射病」
 「俺か? あ、そうだな。忘れてたぜ」
 照れたようにリュウジが笑った。
 「そんな場合じゃねえもんな。漢の見せ所だぜ」
 ぐっと拳にチカラを入れる我が鬼浜工業・即席応援団長は、すこし日に灼けた顔になっていた。

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