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歌と和弦の日々 2-2


 夕方、そろそろ5時という時間。
 野球部の練習をひとりだけ早めに切り上げてきたという玉城が合流すると、さっそく音合わせをしようという段取りになった。
 軽音部の、小さいほうの練習室。薄汚れた部屋で、年季の入ったドラムセットが置きっぱなしになっている。
 
 「なあ、玉城」
 「なあに? リュウジ」
 どうも気になるらしくてオレについてきたリュウジが、これまた備え付けの古びたピアノの前に座った玉城を呼んだ。
 オレはチューニングを確認しながらやりとりを聞いている。
 「音楽やる奴が野球っての、平気なのか? 突き指とかするんじゃねえの?」
 「あ~、まあね。気をつけてはいるけどさ。でも、野球は比較的安全なほうじゃないかな、グローブつけてるから」
 「とか言って。ほんとは断れなかっただけじゃなかった? 森園くんの勧誘を」
 「あはは。そうとも言うね、千晶ちゃん」
 「そうか。森園な。あいつも強引だからな」
 納得したと言わんばかりのリュウジの語り口だった。

 「言えるね。リュウジも森園主将の頼みを断れないクチだから」
 チューニングを終えたオレがひとこと添える。
 「あ、ハヤトOKになった?」
 「うん。完了」
 千晶ちゃんに答えると、とたんにオレは妙に緊張する。単車勝負でも滅多にしないような胸の鼓動を感じるんだ。オレ、小心者だな。
 「そしたら試しにやってみようか。ハヤト、どれか少しは覚えた曲ある?」
 「ええとね、昨日の最後にやったやつなら行けそうだな」
 コード譜を開きながら、オレは玉城に答えている。
 
 「よし。それじゃ、まずそれからいこう──いっせ~の」
 ドラムがいないから、カウント出しは玉城の仕事みたいだ。
 それにしても『いっせ~の』はないんじゃないかな、なんてくすっと笑ったら、妙な緊張はほろりとほどけていた。
 
 最初のコードをかまえていざ音を出したら吹っ切れた。
 玉城の弾くピアノにリードされて、オレもなんとかついていけてるみたい。
 前奏からAメロへ。千晶ちゃんの声が乗っかってくる。マイクは使わない生声だ。だからオレもアンプにつながずの生音を使う。
 わりに力強いタッチの玉城のピアノに負けない声量を持った千晶ちゃん。最初は押さえ気味に音を出してたオレだけど、Bメロに入るころにはちょこっと強めに弦を弾く。
 サビで一気に曲は盛り上がる。千晶ちゃんの声が練習室を震わせる。玉城も果敢にそれに向かっていって、オレもつられるようにしてピックを持つ指に力をこめる。
 なんていうんだっけ──ああ、相乗効果っていうんだ。
 お互いの出音につられるようにしてその曲のラストを迎えるころには、オレは久しぶりにハーモニーを奏でる一員でいられたことがやけにうれしく感じてた。
 けっこうコード間違えたけど、Bメロへ移るきっかけも間違えたけど、なんとか1曲を乗り切った。
 うわ、掌に汗かいてる。オレ。

 「ハヤト!! あんたできるじゃん!!!」
 「ほんとだね。これなら心配いらない感じ」
 ふたりがそんなふうに言ってくれた。オレは照れ笑いで頭を下げる。
 ああ、音楽って楽しいんだ。そうだな、楽しいって字が入ってるもんな。
 「ちぇ。いいよなあ。楽しそうでよ。俺にも才能あったらよかったぜ」
 そんなオレたちを見てたリュウジがちょっと不満そうに頬を膨らました。
 「あはははは。リュウジ、拗ねないの」
 千晶ちゃんはリュウジの背中をたたく。
 「そんじゃ俺もまぜてくれるか? 千晶ちゃん」
 「え……それは──」
 リュウジを除く3人で笑っちゃった。あ、マズい。リュウジの目が怒ってる。
 ……帰り道、きっと一発くらいは小突かれるな。オレ。



 

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

リュウジなら

こんばんわ、華丸様。
毎日更新されてるようですけど無理はなさってませんか?
嬉しいけどちょっと心配だったり。
本当に無理しないで下さいね~

リュウジも参加したそうですね~
楽器を持つリュウジは想像するのが中々に難しいですね(笑
ってか似合わない~
やっぱり監督か演出で口だけ出すのがリュウジでしょうか?
いや、この場合客引きか?
待て待て……正解は用心棒ですね(笑

>>単savaさま

うわ~、ご心配くださってアリガトウゴザイマス!!
このペースならいまのところぜんぜんムリないです (*^ー^)ノ
のんびりペースですけど、お付き合いくださいな♪

リュウジに楽器。似合わないねえww
縦笛とか吹かずに振り回してそうだけど。
リュウジのスタンスは……そうだなあ。
マネージャー? 違うな~(^^:)
ダフ屋? いや……(汗)

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