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カッ飛ばせ!! 7

 「待ちくたびれたぞ、ゴラァ」
 試合終盤に姿を消した暗黒一家の面々は、野球場の外でオレたちを待ちかまえていた。
 こんなことだろうとオレたち4人は、ほかの生徒や野球部が撤収するのを見届けてから外へ出たのだ。
 
 凄味をきかせるコウヘイの目は、リュウジを睨め付けて離さない。
 ハンゾウは声もなくコウヘイの隣りを守り、ゴンタはその逆で獣のように唸っている。
 さすがに正気を取り戻したとみえるタカシは、氷の入った袋で頬を──球が当たったのはそこだったらしい──冷やしながらゴンタの後ろでうずくまっていた。傍らにはネックの折れたギターが横たえられている。
 
 対するオレたちは、リュウジを先頭にして3人が一歩下がって暗黒一家と対峙する。

 「一応訊くが、あれは事故か? 故意か?」
 「故意? まさか」
 ふん、と鼻で笑うように腕組みを解かずリュウジは応える。
 「どこにそんな芸当のできる高校球児がいると思うんだ?」
 
 ──本当は、試合終了後、声をかけに行った控え室で聞かされたのだ。
 「だって、野球の応援にギターは邪道だろ? 耳に障ったんだよね、あのパンク少年のギターが。だから、ちょっと黙っててもらおうかなと思って」
 森園主将はこう語った。
 「ええ? 嘘だろ? そんな、狙えるはずねえだろ? 第一スポーツマンに悪意なんかないんだろ?」
 「ふっふっふ、さすがリュウジは正義漢だね。だけど、本当さ」
 縁なし眼鏡の奥の瞳がきらりと光った。
 森園主将をひいきにしている他校の女子は、きっとこんな瞳を知らないんだろうな。

 「ちなみに赤石のはまぐれだよ」
 「まぐれ──?」
 「ふっふっふ。狙ったのは暗黒のカシラさ。まだまだだな、赤石のやつ」
 「森園──お前ら……」
 リュウジは二の句を告げなかった。もちろんオレたちにも発する言葉は見つからない……。

 「とにかく決着だ、リュウジ」
 物騒な笑みで唇の端を吊り上げて、コウヘイは立ちはだかった。
 「おう、のぞむところよ!」
 リュウジの学ランの背中では、赤のたすきが炎のように風にあおられてなびいている。
 「1時間後、河川敷で」
 「ふん、逃げるんじゃねえぞ?」
 「なめんじゃねえ。誰が逃げるか」
 まさに鬼気迫るといった雰囲気を、さっきまでは健全だった野球場周辺に漂わせて、相対する両軍はいったん袂を分かったのだった。

 「お前ら──絶対に手出しするんじゃねえぞ」
 河川敷まで歩いて向かう間、鬼気を迸らせたままのリュウジが低く言う。
 「おい、リュウジ──奴ら本気だぞ?」
 「ああ、ハヤト、わかってる」
 「でも、兄貴……」
 「大丈夫だ、ノブオ。俺を信じろ。それからダイゴは念仏でも唱えていてくれ」
 「……押忍」
 思うところがあるのだろうが、こんなリュウジに意見できる奴は誰もいない。
 オレたちをとりまく、日の落ちかかった夏の空気が妙に爽やかだった。

 「遅かったな、コウヘイ」
 指定の時間を少し過ぎた頃、暗黒一家が登場した。
 「ふん、上等じゃねえか。逃げたりしねえでよ」
 「そんな御託はどうでもいい、さっさとケリつけようぜ」
 「いい度胸じゃねえか」
 コウヘイは指の関節を鳴らしながら、相変わらず物騒に笑んでいる。

 「コウヘイ──勝負は俺とお前のタイマンだ。あとの者は下がらせておけ」
 「おう、ますます上等だ。お前ら、邪魔すんじゃねえぞ」
 手下たちにそう言うと、ハンゾウ以下は黙って一歩下がった。

 「おい、お前らも余計なことすんなよ」
 「ああ──」
 オレはうなずき、ダイゴとノブオとともにこちらも一歩後退する。
 ダイゴは言われたとおりにちいさく念仏を唱えている。ノブオはうっすらと涙をうかべているように見えた。

 そして、決戦の火蓋が切られた。
 「やっちまうぞ、リュウジよ!!!」
 怒号とともにコウヘイが木刀をかざし、リュウジとの間合いを詰めた。
 「上等、来いやあ!!!」
 後ろで手を組んでリュウジは叫び──
 一瞬ののち、躍りかかったコウヘイの振り下ろした木刀は、手を背中に組んだまま立ちつくすばかりのリュウジをもろに直撃した!!!
 「──ぐ……っ」

 なんと一撃のもと、応戦することもなくリュウジは砂利にくずおれたのだ。
 そして、さらに3回ほど非情なる打撃がリュウジを襲う──リュウジはそれを黙って丸めた背中で受け止めている。
 
 「ああ!!!」
 「兄貴っ!!」
 オレたちは驚いて、リュウジのもとへ戻ろうとした。が。
 「よせ、来るな、お前ら」
 倒れたままのリュウジに制され、オレたちはたたらを踏んだ。

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コメント

ピンチ><

リュウジかっこえぇ・・・
手ださずに・・・(T∇T)
明日もたのしみにしてまぁ^^

漢の中の漢!!

Tohkoさま
そんなわけで、実機でリュウジが倒れても愛せるようになると思いますww

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