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歌と和弦の日々 6-1


 ライブ当日のリハーサルがたった今終わったところ。
 今日は千晶ちゃんもマイク使用だし、玉城の生ピアノじゃなくてキーボード。だからオレも自前のエレアコギターをアンプにつないで音を出した。
 ライブハウスの人に言われたことに従ったり、問われた専門用語に答えられなくて玉城に助けを求めたりしながら、どうにか乗り切った。

 終わった後に一旦楽屋へ行ってみたけど混雑していたから、リュウジとオレは外へ出てきて座り込んでいる。
 「そうか。リュウジは知ってたんだ。今日タカシのバンドと一緒だって」
 「ああ──、まあな」
 珍しく歯切れのよくないリュウジの話し方だった。
 「もしかして、こないだひとりのときにコウヘイたちと揉めたのって何か関係あるんじゃない?」
 「別にねえよ、そんなの。第一ハヤトが首を突っ込む問題じゃねえし。そんなこと心配してる場合じゃねえだろ? 本番まで集中な、ハヤト!!!」
 「あはは、了解。そうする」
 リュウジにそう返して、オレは楽屋から持ち出してきてたギターを膝にのっけてコードを鳴らしてた。こうしてるとちょこっと落ち着くのが不思議だ。
 
 さっきちょこっとリハーサルで聴いたタカシのギター。場慣れしている感があって、大したものだった。勢い重視のパンクだから高度なテクニックが要るジャンルじゃないみたいだけど、なんかこう、巧いんだなって思えるオーラが出てた。
 けどオレ、初心者に毛の生えたようなもんだし。張り合おうなんて思っていないし。
 本来負けず嫌いなオレだけど、半面開き直るもの案外得意。これが勝負だとしたら、オレがタカシに敵うわけないからね。オレはオレの道を行くことにする。

 「ああ、ここだ。ノブオ」
 「ほんとだ──あ、ハヤトさん、兄貴!!! チュ~っス!!!」
 「オウ、ダイゴ、ノブオ!!!」
 そうこうしているうちに、ふたりが陣中見舞いにきてくれた。
 「ハヤト。差し入れだ。」
 「悪いね、ダイゴ。ノブオ」
 ダイゴに差し出されたのはドーナツ屋さんの袋だった。
 「リュウジ、いただく?」
 「いや。俺はいい。それはお前ら3人への差し入れだからな!!!」
 「あはは、別にいいのに。リュウジって堅いよね」
 「ホントっス。オレ、兄貴の分もって思って、いちごのやつ選んだっスけど……」
 まあいいから、とリュウジに促されて、オレは一旦ギターとドーナツを持って楽屋へ戻った。

 「千晶ちゃん、玉城。これダイゴとノブオから差し入れだって」
 「あ~、いたいた。ハヤト。そろそろ呼びに行こうかと思ってたんだ」
 「オレ? 何かあった? 玉城」
 「うん。ちょっと曲順変えようか、って。玉城くんと相談してたとこ」
 「あ、そうなんだ。どんなふうになる?」
 「えっとね、真ん中にしてた曲、やっぱ盛り上がるからラストにしたいの。で……」
 千晶ちゃんが曲順表を指さす。玉城が鉛筆で矢印を何本か書き入れる。書き直したものをライブハウスにもう一度出さないといけないらしい。
 見守るオレは頷きながら自分用の曲順表を広げて、玉城と同じように矢印を入れて。ともすると混乱しそうになる曲名の横に出だしのコードを幾つか書き込んで。
 「そうかそうか。ここからはこっちに繋げたほうがいいのか」
 「うん。ここでMC入れたいな、って」
 ふたりの真剣な表情。よし、オレも男にならなくちゃいけないよな。

 ヘアスプレーの匂いが染みついた狭い楽屋を4分割で使う本日の出演者たち。
 オレたちの陣取ったとなりはタカシたちのものらしき荷物があった。メンバーは外出中みたいで、オレはすこし安心した。なんか顔合わせにくいような気がしてたから。


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