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不器用な特攻隊長 1-1


 「お、早かったなみんな。あれ? ハヤトももう来てるのか。まあいいや。ノブオ!!! ちょっと悪い。手伝ってくれや」
 「あ、は~い。兄貴」
 厨房ののれんの奥からリュウジが呼んで、ノブオが嬉しそうに近づいていく。
 「俺も手伝うか? リュウジ」
 「いや。ダイゴはそこにいてくれや。あとでできた料理を運んでもらうときに呼ぶから。ってか、ひとりにしとくとハヤトが何しでかすかわかんねえからな」
 「え、オレ? 別に何もしないってば」
 「──ハヤト。忘れたか? こないだお前、勝手にテーブルに置いてある酢とラー油を混ぜたろ? あれな、あとで俺、しこたま怒られたんだぜ」
 「え~、そう? 便利かなって思っただけなんだけど」
 「その発想がおかしいんだよな、ハヤトは」
 ため息混じりにリュウジはふたたび厨房に引っ込んだ。

 昨日のライブのちょこっとした疲れを引きずっているオレがいる、ここは昇龍軒。リュウジの家のラーメン屋だ。
 ライブって言ったらその後には『打ち上げ』がつきものなんだって、どこで仕入れてきたのかそんな情報をもとに、リュウジが自ら企画してくれた催しだった。
 お店の昼と夜の営業時間の合間を貸してもらって、一丁前にそんな会の主役格に据えてもらってるオレは幸せ者なんだな。きっと。
 
 しばらくしたら千晶ちゃんと玉城も来ることになっている。
 オレも準備のできたころに来るように言われてたんだけど、家にいてもなんか手持ちぶさたで。ダイゴとノブオの指定された集合時間には、オレもここへ到着していた。
 厨房から漂ってくるいい匂いに包まれながら、オレとダイゴはなんとなく会話を交わす。
 「それにしても、ようやく終わったなって感じ。昨日は夜、なかなか眠れなかったな」
 「慣れないことで疲れたろうな、ハヤトも」
 「ほんとにね。まあ楽しかったけど。でも生活そのものが落ち着かなかったよ、ここんとこ。ろくに走りにも行けなかったから」
 「なるほど。ハヤトはそちらの方がよほど馴染みの深い生活だろうから」
 「そうそう」
 責任を果たしたあとの開放感と虚脱感。いつもの生活に戻れる安心感。それらが胸に去来してた昨夜のオレは、本当に眠りが浅かったらしい。リュウジは信じてくれないだろうけど、学校休みの今朝は、なんと目覚まし不要の7時起きだったんだ。

 「あ~、それにしても早くみんなで走りに行きたいな」
 「押忍。言われてみればご無沙汰だな、それは」
 ダイゴはいつもより目を細めてオレに微笑んだ。
 うん、きっとみんな待っててくれたんだろう。オレが重責から解き放たれるのを。
 「けれどハヤト。皆で走りに行くのはよいのだが」
 「ん? どうかした?」
 「いや。聞いておこうと思っていたのだが」
 深い声でダイゴが先を続けた。

 「ハヤトはこれからどうするのだ?」
 「これから……って言うと?」
 「今回の目標はとりあえず昨日のライブだったろう? いざそれを終えた後はどうするのかと思ってな。千晶さんと玉城とハヤトの3人編成は、これからも続くのか?」
 「え──それはどうなんだろ?」
 正直言って、オレはライブ以降の身の振り方なんてまったく念頭になかった。
 最初誘われたきっかけは昨日のライブのお手伝い、ってことだった。
 その後のことなんて、言われてみれば誰も考えていなかったような。
 いや。玉城なり千晶ちゃんなりのビジョンには何かしらあるのかもしれないけれど、少なくともオレはまったく想定外って具合。
 そうだなあ。だからとぼけてるんだ、オレは。とか一瞬思ったあとに考えを巡らせる。
 
 しばしの沈黙のあとに、オレはダイゴにこう答えたんだ。
 「ふたりはどう考えてるかわかんないけど……オレはさ。ひとまず昨日で一段落ってふうに考えてる」
 「そうか」
 ダイゴは大きく、一度だけ頷いた。
 「ああ。とくにこれ以上を期待されてるわけでもないしね。それに、コウヘイじゃないけどあのふたりにはオレより巧いギタリストがついてしかるべきじゃないかな。オレじゃ音の隙間を埋めるのが精一杯だけど、そうじゃなくてきちんと筋の通ったギターが入ったほうが理想的だと思わない? ダイゴ」
 「技術云々は俺ごときではよくわからんがな。音楽は得手ではないので」
 ちょこっと照れたようにダイゴは言った。


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