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贈り物を心より 1-1

 
 4時間目終了のチャイムが鳴った。いつもだったらそれと同時に廊下へダッシュして購買に疾走するはずのリュウジが、そんなことお構いなしといった風情で広げたままの教科書に真剣に何かを書き込んでいる。
 なんだろ? 珍しいものを見ちゃった気がするな、オレ。
 「何書いてるんだ? リュウジ」
 「え──うわ、ハヤト!!! な、なんでもねえよ。覗くなっての」
 慌てた素振りでもって、リュウジは上体をがばっと机の上に覆い被せた。
 「あはは。何もそんな隠さなくたっていいじゃん」
 「ああ、もう!! ハヤトにゃ関係ねえんだってのに。ってか、もうチャイム鳴ったか?」
 「うん。とっくにね。気付かないくらい集中してた?」
 「お……おう」
 いくらか気まずそうにリュウジは眉間にしわを寄せた。
 
 「まあ、なんだっていいやな……って、いけね、出遅れたぜ。ハヤト、購買まで走るぞ!!!」
 「うん。了解!!」
 がたんと音をさせてリュウジは椅子から立ち上がる。
 その隙にちらっと見えたんだ。リュウジが慌てて隠した教科書の中。
 活字しか印刷されていない、面白みなんて一切無関係の英文法の教科書に書き込まれた鉛筆の描線。
 ほわっとした雰囲気の、それは誰かの顔の絵だった。

 教科書の落書きなんて誰でもするとは思うけど──いつもと同じくリュウジと並んで昼食をとりながらオレは考えてた。
 「なあ、ハヤト」
 「ん?」
 「亜由姉って今、仕事忙しいのか?」
 「ええと、どうだろ。訊いてみないとわかんないけど」
 「そうか」
 リュウジが何かを考える顔になる。
 亜由姉さんはオレのひとまわり年上のいとこだ。絵を描くのを生業としている。
 「なんだったら電話して訊いてみようか? 何か用なんだろ?」
 「ん~、そうだな。それじゃあ俺が直接訊くわ。ハヤト、電話番号教えてくれっか?」
 「ああ、いいけど……ちょっと待って」
 食べかけの弁当の箸をとめて、オレは亜由姉さんの電話番号をノートのすみっこに書いて、それを切り取ってリュウジに渡した。
 「おお、ありがとな、ハヤト!!! 食い終わったらさっそく電話してくっかな」
 そう応えて、リュウジは残りの弁当を早いピッチで食べ終えて、飲みかけのいちご牛乳を片手に教室を出ていった。
 「……なんだろ? 急ぎの用でもあるのかな」
 まあ、のんびりペースのオレとは違って、どっちかと言ったらリュウジはせっかちなほう──というか、思い立ったら即行動の漢だからこういうのは珍しいことじゃないんだけど。
 取り残されたオレは、さっき購買で入手してきたデザートのプリンにとりかかることにした。いつもカラメルソース部分を一口欲しがるリュウジがいないのをいいことに、完食したらなんだか満足だった。

 リュウジが用事を済ませて教室に戻ってきたのは、かなり時間が経ってからのことだった。5時間目の始まる直前だったんだ。
 5時間目が終わった後の休憩時間にリュウジに訊いてみた。
 「亜由姉さん、なんだって?」
 「うん? ああ、まあ──ってわけで、俺このまま出るわ。ハヤト、代返夜露死苦ぅ!!」
 「え……? ってわけで、ってどんなわけなんだよ、リュウジ」
 「まあまあ。細かいこと言うなや!!! それじゃな、ハヤト」
 言うが早いか、リュウジは鞄を持って教室から風のように出ていった。
 「あ、お~い……って、もう聞こえないか」
 意味も分からず取り残されたオレの、これまた取り残された問いかけが虚しく教室に響いていた。
 一体なんなんだ?



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