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贈り物を心より 7

 
 「リュウジ。コウヘイが言ってるのは千晶ちゃんのことだ。多分」
 空気を察知して、オレはリュウジにちいさく言った。
 どこからオレたちの後ろにいて、オレたちの会話を聞いていたのかは見当もつかないけれど、とにかくコウヘイはリュウジが贈り物をする相手の名前を聞いてつっかかってきたような気がした。
 「何? 千晶ちゃん? それがなんだってんだ?」
 「ゴラァァァ!!! 特攻隊長、余計な口を挟むんじゃねえぞ!!」
 「ああ、それは悪い」
 オレはコウヘイにぺこりと頭を下げた。

 「貴様等、俺をからかっているのではないだろうな? それともその気か?」
 「その気って何だ? 悪いがな、コウヘイ。俺は今日は忙しいんだぜ。お前に付き合ってやれるほど暇じゃねえ」
 「何──? 貴様……」
 コウヘイは滅多やたらとリュウジに絡む。もちろんリュウジは取りあわないけど。
 「忙しいのは嘘じゃねえ。これから人と約束があるからな。な、ハヤト?」
 「ああ、亜由姉さんとこだね」
 「そうだ。あんまり遅くなったら悪いもんな、亜由姉に」
 「リュウジ──貴様、重ね重ね見損なったぞ!!!」
 「……? オイ、コウヘイ。お前何をそんなに熱くなってるんだか知らねえけど……」
 オレにはだいたいの見当がついてた。
 コウヘイは、自身が憎からず思っている千晶ちゃんをリュウジの彼女だと想像しているに違いない。
 それなのに、この短時間の間に珍しくもリュウジに関係する別の女性が名前をふたつも出てきたからじゃないのか? そのうち片方は過去にコウヘイも会ったことのある女性の名前のはずなんだけど、それを本人が覚えているとも限らない。
 もちろんそんなこと、鈍いリュウジが気がつくわけはないんだけど……。
 いや、これだってオレの勝手な想像だから間違っているのかもしれないけど……。

 「とにかく俺は行くぜ。またな、コウヘイ」
 「待て、ゴラァァァ!!!」
 そう叫んで手を出してこようとするコウヘイを、ハンゾウが止めた。
 「総帥。何も今日じゃなくてもいい。どうせ──」
 ハンゾウが二言、三言耳打ちすると、それでコウヘイは少し落ち着いたらしい。ハンゾウに頷き返して、コウヘイは握った拳を開いた。
 「──ふん。覚えていやがれ、リュウジ」

 そう捨てぜりふを残してオレたちを追い越していくふたりの後ろ姿を見ていたら──当たり前だけどイヤな予感がしてくるな。
 「リュウジ。あいつらどこからオレたちの話を聞いていたと思う?」
 「ああ? そんなの知るわけねえけど、別に聞かれちゃいけねえこと話してたんでもないからな」
 「そうかな……。まあ、普通に考えればそうだけど、コウヘイってあんまり普通じゃないからな」
 コウヘイ、きっと勘違いしてるからな。千晶ちゃんのことを。
 「ハヤト。お前って心配性だよな。のんびりしてるわりに。ダイゴみてえだ」
 「リュウジこそ、もうちょっと危機感持ったほうがいいってば!!! コウヘイ、えらく怒ってるよ?」
 「そうみてえだけど。俺、心当たりねえもんな」
 これが普段は闘いの気配には人一倍敏感な漢の吐くせりふだとは到底思えない。
 とにかく鈍い。そっちの気配には、リュウジは鈍すぎるんだ。
 せめて気付いたオレだけでも、どうにか巧く立ち回れるようにカバーしてやれたらいいんだけど。
 
 なんとか無事に荷物──チンパンジーの大きなぬいぐるみは、リュウジの部屋に収まった。やれやれ。
 結局リュウジは、オレの家に置いてあった単車を取りに来たあとに亜由姉さんのところへ行ったみたいだ。さっきコウヘイに人と約束があるって言ってたのは嘘じゃなかったんだな。さすがに馬鹿がつくほど正直な漢だ、リュウジは。ある意味、これもやれやれ、だ。

 「うわ~~~ん、兄貴ってば、そんなことが……」
 「ノブオ。そのように泣くでない」
 「だってダイゴさん……オレ、感動したっス。やっぱ兄貴って素敵っス……」
 翌日のこと。
 午前中で授業が終わったあとにリュウジは『最後のツメがあるから』と言い残して亜由姉さんのところへ行った。それでもってオレはダイゴとノブオを呼び出して、ふたりに昨日わかったこと──リュウジがこのところどういう理由で何をしていたか、ってことを説明したんだ。
 
 「おいおい、ノブオ。鼻水出てるよ」
 「あ、スミマセンっス、ハヤトさん……」
 目を真っ赤にして鼻をすすっているノブオに、オレはティッシュを渡してやった。
 ノブオのやつ、ほんとにリュウジを尊敬してるんだな。
 「なるほど。ハヤトのそれを聞いてようやく得心がいったな。近頃のリュウジの様子に」 
 「だろ? ダイゴ。残念ながら千晶ちゃんが言ってたようなロマンスはないみたいだけどね」
 「ハヤトさん!!! 兄貴にロマンスはまだ早いっス!!!」
 「まだ早いって……ノブオ。あはは」
 「とにかくそういうことなら、是非応援してやらんとな。それなら賛成だろう? ノブオも」
 「ええ、ダイゴさん。もちろんっス!! んで、実際どんなことすればいいんですかね?」
 「うん。特別なことはいらないと思うよ。ただ笑って、行ってらっしゃいって言ってあげたらいいんじゃないかな?」
 「だったらオレ、得意っス!!! こんなんでいいっスか?」
 言って、ノブオは両頬に人差し指を添えて、小首を傾げて笑顔を作った。
 「ええと……ノブオ。そのように無理に微笑むことないと思うのだが……」
 「え、どっか変でした? おかしいな」
 「あはははは。いや、ノブオはそれでいいかもしれないよ。ダイゴ」
 「押忍──俺が間違っていたな。済まん、ノブオ」
 うん。こんな雰囲気をリュウジは望んでいるのかもしれない。
 美山瀬のツリーと同じくらい、くるみちゃんに見せてやりたいのかもしれないな。

 リュウジの行動の意味を理解したオレたちは、そこからくるみちゃんの入院の日までをリュウジの応援に費やした。
 ダイゴは、きちんととってあったという子供時代に親しんだ絵本をプレゼントすると言ってリュウジを喜ばせ、ノブオはリュウジの肩を揉んでやったり自ら望んでジュースを買いに行ったり──って、これはいつも通りか。
 オレはオレで、千晶ちゃんと玉城に協力してもらって、ちいさい子の喜びそうな歌を演奏したのを録音したりして。

 なんだかんだと忙しかったから、終業式のあとにもらった成績表の内容なんかは、もうどうでもいい感じだった。
 っていうか、成績表の存在すら忘れてた。
 学期の途中で入院というハプニングがあったリュウジの成績表は、とくに悲惨な数字が並んでいたらしい。リュウジに渡すとき、赤ジャージがえらく渋い顔をしてたのが印象的だった。
 席に戻ったリュウジに訊く。
 「何か言ってた? 赤ジャージ」
 「オウ。このまま行ったら進級できねえぞって脅されたぜ!!」
 「って、そんな誇らしそうな顔しなくっても……」
 「わはははは!!! 留年が怖くて総隊長が務まるかってんだ」
 「でもさ、留年したらリュウジ、ノブオと同学年だね」
 「……ハヤト。お前ときどき、ほんのときどきだけど鋭いこと言うなあ」
 オレのひとことで、珍しくも赤いリーゼントがしゅんとうつむいた。
 ……悪いこと言ったかな。


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コメント

イヴですよぉ♪

やっぱりぃ~彼女とぉ・・・・・・
あ、そんな雰囲気はなさそうね・・・
コウヘイ、ヤキモチやいてる場合じゃないぞ・・・。

>兄貴にロマンスはまだ早いっス!!!
あら!そんなことないわよ、ノブオ。
お姉さんが手とり足とり・・・(妄想)

リュウジがノブオと同級生にならなかったら
考えてもいいわ♪
ロマンスを教えてア・ゲ・ル♪(キモーッ)
 



明日から3連休です。
みんな何して遊ぶの?おいらは寂しく一人でネットにいます。
そーいえばクリスマスです。トホホ!
http://projsex.com/

>ピノコさま

リュウジもコウヘイも……結局はただの高校生男子
なわけで。
てか、コウヘイがちとかわいいww

>お姉さんが手とり足とり・・・(妄想)
ま、まぢですか ∑( ̄口 ̄)
ピノコねえさんやさし~~~♪
ええと、苦労するでしょうけどおねがいします!!!

なんか最近オヤゴコロでねえ。だはは。

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