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年の瀬の鬼浜町 3

 
 さつま芋とじゃが芋とみかん、それから福引きでもらった景品とを携えたオレたちは、ふたたび鬼浜寺へと戻ることにした。
 「えへへ。今日は充実してますね~」
 福引きでの一等賞の覇者・ノブオは、さつま芋の入った袋を胸に抱いてうれしそうに言う。頭にはオレが進呈した手拭いを巻いてる。
 「そうだな。掃除して気分よくなって、福引きでもいい気分だもんな、ノブオは」
 「うん。それってお寺の掃除の御利益かもね、ノブオ」
 「あっ、そうっスね~!!! それじゃこれからは、年に何度でも掃除に行きましょう、ハヤトさん!!」
 「押忍。それは助かるな。ではさっそく来月にも」
 「もちろんっス!! いつでも呼んでくださいね、ダイゴさん!! ね、ハヤトさんも」
 「え──ああ、そうね。うんうん」
 やれやれ。ノブオときたら。

 「さて、早いとこ戻ろうぜ!! いくらたき火ったって、日が落ちると寒いからな」
 「そうだな。あまり遅い時間に火はまずいので」
 「だろ? ダイゴ。ほれ、ハヤトもノブオも早く歩け」
 「は~い、兄貴!! ほらほら、ハヤトさん。遅れちゃダメっスよ」
 「オレ? って、ノブオより半歩先歩いてるじゃん!!」
 「うはは。気のせいっスよ。そしたら競走しましょうぜ~。単車じゃ勝てないけど、オレ走ったら案外ハヤトさんより速いかも」
 「なんだって? そんなことないと思うけど……って、お~い!!」
 言うが早いか、ノブオはおどけて走り出した。そう、追い抜いたオレを振り返りながら。
 「おいおい、子供じゃないんだから……」
 とか言いながらも、ついつい釣られてノブオの後を追うオレ。
 付き合ってやらないとかわいそうかな。なんて後輩思いなんだ、オレは。

 さすがに全力疾走ってわけじゃなくて、ただふざけているだけのノブオの走り方。どちらかっていうと早足歩きのペースに過ぎない。
 ノブオって、度胸が据わっててやるときはやる男だけど、まだどこか中学生男子みたいな行動をするときがあるんだよな。お調子者っていうか。
 そんなノブオをオレたちはかわいがっているわけで。
 「あ~、ほら、ノブオ。ちゃんと前向かないと危ないってば」
 「そんなこと言って~。オレが前見て走ったら、その隙に追い抜く気でしょ? ハヤトさん」
 「そんなことしないってば──あ」
 ほら、言ったとおりだ。
 商店街を抜けたところの路地から出てきた人影と、ノブオは衝突したんだ。

 「あっ、スミマセンっス──って、あわわ……」
 「──モガー!!!」
 「うわっっ!!! あ、兄貴ぃ~!!!」
 ぶつかった相手を見るや、ノブオが大きな声で呼ばわった。
 それを聞いて、後ろから普通に歩いてきていたリュウジとダイゴがオレたちに追いついてきた。
 「どうした、ノブオ? お──?」
 しりもちをついたノブオがぶつかった相手は──ゴンタだった。
 
 「貴様等、ご挨拶だな?」
 当たり前のようにとでもいうか、ゴンタはひとりではなかった。
 ゴンタの巨躯の陰からコウヘイが現れ、次いでハンゾウとタカシの姿が見える。
 「オウ、コウヘイ!!」
 これはまずいんじゃないか? 奇しくも両軍揃い踏みだ。ちょっと心配しかけたオレだけど、一瞬のちに出てきたリュウジのひとことはこうだった。
 「ノブオが悪いことしたぜ。故意なんかじゃねえ。済まなかったな」
 「──ふん」
 この1年、幾度となく顔を合わせたオレたちの宿敵・暗黒一家。
 リュウジはこちらの非を詫びた。事を構える気がない証拠だ。
 とはいえ、それで済ませられないのが奴らとの常といったところ。オレはある意味覚悟を持って、コウヘイらを見た。

 「おい、貴様」
 コウヘイは低い声をもってノブオに凄味を効かす。
 「や、やる気か~?」
 「おい、馬鹿、ノブオ──」
 言いかけたオレの声にかぶさるように、低い声がノブオに再度かけられる。
 「邪魔だ。そこを退け」
 「は?」
 「何度言わせるんだ、ゴラァ!!! そこを退けと言っている」
 いまだしりもちをついていたノブオが反射的に立ち上がると、ノブオをちらりと見ただけでコウヘイは横をすり抜ける。
 「ふん。場所が悪すぎる。このようなところで事を起こす気にはなれねえな」
 一瞬立ち止まって、振り向かずにコウヘイは言った。
 そしてそのまま、ノブオが塞いでいた場所──建物の門へと進んでいき、4人は順に中に吸い込まれていった。

 普段は特攻服の裾が触れるだけで対決騒ぎになる暗黒一家が今日はおとなしかった理由は簡単に推察できた。
 ノブオとゴンタが衝突した場所は、教会の前だったんだ。
 屋根には十字架が、門の内側には聖母マリア像がある、キリスト教の教会。
 「ここ──教会に入ってったな、奴ら」
 「うん。なんか意外な取り合わせだ。コウヘイとマリア様」
 「クリスチャンだったんっスね、あいつら……」
 「押忍。初めて知ったな」
 奴らの普段と屋根の十字架のあまりのミスマッチに、オレたちは言葉少なくその場にしばらく立っていた……。

 年の瀬ぎりぎりの暗黒一家との対面は、ありえないほど平和に済んだ。
 確かめたわけじゃないけれど、奴らは行動からするにキリスト教徒。それでもってオレたちはこれからダイゴの家・鬼浜寺に戻るところ。
 そういう大きな力へ依る段になると、些細な日常の諍いなんかちっぽけなものなのかもしれないけど。
 でも、オレたちはただのちっぽけな、ちょっと荒っぽい勝負者であって単車乗りだから、なんだかんだこれからも顔を合わすたびに事が起こるんだろうけど。

 やっとこさ鬼浜寺の境内に着いて、掃き集めた落ち葉の山でたき火をはじめたころにはうっすら空が暗くなり始めていた。
 火のついた枯れ葉の香りが辺りに漂って、独特の風情。オレたちはたき火に手をかざしながら、芋が焼き上がるのを待ってる。
 うん。火を囲んでいるってだけで、気持ちはやたらと平和だ。
 「ど~れ、そろそろ焼けたか?」
 「あ、ちょっと割ってみましょうか、兄貴? ダイゴさん、棒ありますかね」
 「これでどうだ、ノブオ」
 「アザーっス!! お、あったあった。はい、ハヤトさん。割ってみてくださいっス」
 
 さっき福引きでオレが当てた手拭いを嬉々として頭にかぶったノブオが、火の中から掻きだしたさつま芋をオレに渡した。手に取ったオレはホイルを開けて、ほっこりした中身を想像しながらふたつに割ってみることにした。
 「うん、どれどれ──って、うわ、熱いじゃんか!!!」
 予想だにしなかった──っていうかそれが当たり前なんだけど、あまりの熱さに直接触れたオレは思わず飛び上がりそうになった。
 「わはははは!!! そりゃ熱いに決まってるだろうが。やっぱハヤトだな、ダイゴ」
 「押忍。どこか調子がはずれているのがハヤトだと思う」
 「ホントっス~。でもそれが憎めないっていうか」
 3人の楽しげな笑いが暮れ始めた空に立ちこめる。
 悔し紛れに、オレは3人に負けないくらいの声で笑ってみた。
 嗚呼、結局オレはそうやって笑われながら今年を納めるのかな。


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コメント

お久しぶりです!

こんばんわ、華丸様。
今年も残すところ後1日ですね。
夏にこちらの愚連隊君たちと出会ってもう半年。
毎日楽しく拝読させて頂き、ありがとうございました。
私のホームではとうとう姿を消してしまいましたが、
まだまだ愛し続けますよ~(^^

半月以上もネットから遠ざかる程やり込み、
やっと我番長リュウジ君は伝説の漢になりました(笑
ラスボスも竜二だったのは笑っちゃいましたが…

長くなりましたが、来年も又夜露死苦お願い致します!

鬼浜メンバーにごあいさつw

今年はたくさんの事件をおこしてくれてありがとw
そしてたくさんのバケをありがとうwww

来年もハヤトを筆頭にたくさんの物語を
楽しみにしているよw

来年も夜露四苦~♪

>単savaさま

おひさしぶりです!!!
お元気でしたか~?

単savaさんのほう、とうとうなくなっちゃったんですか・・・・・・。
さみしいですねえ。
ウチのほうでは幸い、まだ現役。
負けすぎない程度に挨拶いってますよ~。だはは。

>やっと我番長リュウジ君は伝説の漢になりました(笑
おお~。そういう毎日をお過ごしだったんですね^^
リュウジって、いかにもそっちの世界っぽい名前ですもんねww

ではでは、来年もどうぞ夜露死苦ぅ!!!

>Tohko姉さん

鬼浜メンバー宛コメントってことでオレからね。

事件は平和と隣り合わせだからね。一瞬先は事件だよ。
だってリュウジとコウヘイがいるから。鬼浜町には。
あんま笑えないけど。

そんなバケばっかりだったんだ。
なんかごめんね。Tohko姉さん。
でも姉さんとこの轟さんは強そうでうらやましいけど。あはは。


とか言わしてみました。だはは。

そんなわけで、来年も夜露死苦ぅ!!! 華丸でした(*^ー^)ノ

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