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真夏の精神修行 1

 「そんなわけで今日は夜露死苦ぅ!!」
 「押忍。こちらこそ」
 親しき仲にも何とやら──という言葉があるが、ただいまオレたちはそれを身をもって実践中だ。
 蝉時雨の中、すがすがしい空気の漂うここ鬼浜寺にて、リュウジ、ノブオ、そしてオレの3人がダイゴに礼をする。
 いつになく神妙な空気が漂っているような気がした。

 「体作りももちろん大事だがな。でも、それだけじゃな」
 そんなふうにリュウジが言い出したのは、ほんの昨日のこと。
 勝手知ったる間柄でオレの部屋に上がり込んで、なんとなく日中を過ごしながらの発言だった。

 「肉体に限らず精神も鍛えよ──って?」
 「おう。まあ、そういうことだな」
 「う~ん、リュウジの言っていることはわかるけどね。メンタル面も重要だって。けど、鍛えるって……どうやって?」
 何か考えでもあるのだろう。リュウジはオレがそう問うのを待っていたかのような素振りだった。

 「ああ。ちょっと思うところがある。ウチな、鬼浜寺の檀家で」
 「鬼浜寺? ダイゴのとこだよな」
 「そうだ。ウチは先祖代々あそこに眠ってるんだ」
 長きにわたってリュウジの家はここ鬼浜町に住んできたのだと教わったことがある。檀家というのもうなずける。

 「なるほど。それで?」
 重ねてオレは訊いた。
 「それで、たまたまこないだダイゴが嘆いてたのを聞いてさ。盆前には掃除やら何やら大変なんだ、と。夏休みどころじゃないんだ、とも」
 「ああ──確かに盆暮れは忙しいもんな、ダイゴは」
 「だろ? そこで、だ」
 もったいぶるようにリュウジは一旦言葉を切る。

 「オレたちが精神修行の意味を兼ねて、掃除くらい手伝ったらダイゴも助かるんじゃねえかと思って」
 「へええ。なるほど」
 「ちょっとはいい案だろ? ダイゴが喜んでくれさえすればな。もしかしたら夜に集まれる回数も増えるかもしれねえし」
 「うん。ダイゴ喜ぶんじゃない?」
 「だよな。きっと悪い気はしねえよな」
 「手伝ってもらって悪い気持ちなんて、そうそう有り得ないって」
 オレが賛同すると、リュウジは満足そうに笑った。

 そして、リュウジはさらに続ける。
 「それに──さ。オレ、ガキの頃から一度やってみたかったんだ。本場の肝試し」
 「肝試し……?」
 「おう。リアルな墓場でやったら、冗談抜きで楽しくねえ?」
 「え~と、それはダイゴ云々じゃなくて、不謹慎とかそういうのに抵触する──よな?」
 オレの内心など我関せずといった調子で、リュウジは鼻歌なんか歌っている。
 嗚呼、完全にやる気なのだ、この漢は……。
 
 思い立ったら一直線、すでにリュウジはダイゴに電話をかけていた。
 「もしもし? おう、ダイゴ。俺だ、今な、ハヤトのとこ」
 「なあ、リュウジ、肝試しは……」
 「あ~、もうハヤトは黙ってろって。あ、悪い。こっちのことだ。でな、ダイゴ」
 
 やれやれ──だ。
 こうなったらもう付き合うしかないよな、オレ。きっとノブオもかり出されるんだろうな。
 苦笑まじりに肝を据え、オレは電話を切ったリュウジの満足そうな笑みを見た。
 「ダイゴな、是非来てくれって」
 「そうか」
 「なんだ、ハヤト。そんな顔すんじゃねえよ。気合いいれてけやあ!!」
 「……オス」
 
 ま、ダイゴの手伝い自体は名案なんだから、気分を切り替えていこう。
 今度はノブオに電話をかけているに違いないリュウジを見ながらそう思うことに決めた。

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