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矜持対決新春編 3-1


 「そうか。ご苦労だったな、お前たち」
 「オウ、いや、俺らは大したことねえけどよ」
 新年の挨拶もそこそこに、赤ジャージを前にしたオレたちはなんだか赤ジャージの放つ気がぴんと張りつめているのを感じている。

 おそらく赤ジャージの居所を知らなかったからだろう、コウヘイがリュウジんとこの店まで届けに来た佐藤先生から赤ジャージへの果たし状は、リュウジを経由してどうにか受取人の懐に収まったところ。
 「まあな。予想はしていたのでな」
 何かを吹っ切ったような表情を見せる赤ジャージは、学校の道場にいた。最初に家に行ってみたけど留守で、そのままランニングコースと思われる川沿いを辿ってここまで来たんだ。

 赤ジャージはオレたちが来たときのまま、畳敷きの道場の中央に正座している。
 その正面に同じく正座をして、リュウジが向かい合った。
 「赤ジャージ。マキ姉はなんだって?」
 「ああ……つまり、その……何一つ言っていけないことを言った覚えも、嘘をついた覚えもないので、と」
 赤ジャージは言いにくそうに口にした。おそらく照れているんだと思う。
 それを見て、オレは後ろから声をかける。
 「もしかしたらマキ姉さん、こういう機会を狙ってたのかも」
 「どういうことだ? ハヤト」
 「だって先生と佐藤先生って、どっちも筋を通すことが男としての道理だと思って退かないから。女性はもうちょっと複雑にいろいろ考えてるんじゃないの? よくわかんないけど」
 そんなに大きい声は出さなかったけど、オレの言葉が道場に響いた。
 なんでかみんな、黙ってしまう。

 「へ、へえ──俺にはよくわかんねえけどな、ハヤト。でもハヤトが言うんならそういうもんかもしれねえよ……な? 赤ジャージ」
 「あ、ああ。そうかも知れん。だが、約束を違えるのはよしとせんわけで……」
 「うん。何も約束を破ってまでってことじゃないと思う。さすがにね。でもさ、いい機会だと思ったんじゃない? 普段は言えないだろうけど、主張したい自分の気持ちもあるんだって先生たちに伝えたかったのかな、って」
 「確かにな。赤ジャージが勝たねえとマキ姉の気持ちの行き場がねえもんな」
 リュウジが言うと、赤ジャージはうなだれて畳の一点を見つめた。

 「とにかく赤ジャージ、勝負は受けるんだろう?」
 「無論。ここで退くような真似をしてはマキさんに申し訳が立たぬ」
 「そうっスよ!!! そうじゃなくっちゃ、赤ジャージ先生!!」
 「ああ」
 「先生、勝負はいつだって?」
 「明日午後3時と指定されている」
 佐藤先生からの果たし状をしまっている柔道着の胸に手をやって、赤ジャージが答える。
 「そしたら試合前に、ちょっとでも練習しとかねえとな!!! ダイゴ、相手してやれな」
 「押忍。着替えてくるので待たれたし」
 「いつも済まんな、ダイゴ」
 「謝ることなんてねえだろ!!! そんだけみんな応援してんだぜ」
 リュウジがつとめて明るく言ったのに、ノブオとオレは頷いて同意した。
 ちょっとだけ赤ジャージの顔が笑みを作った。


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