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矜持対決新春編 4-2


 「技あり」
 ダイゴの判定はこれだった。
 どうにか開始早々瞬時に決着、という自体は免れたみたいで安心だ。
 けれど――受け身をとった後の赤ジャージは、畳に尻をついたまますぐには立ち上がらなかった。
 「どうした、赤ジャージ?」
 壁際で、オレの隣に座っていたリュウジが声を響かせる。
 リュウジの声でオレたちを振り向いた赤ジャージが応えた。
 「ああ――いや。一瞬、頭がぼんやりとしてな」
 
 「ええっ!! 先生、頭でも打った?」
 赤ジャージのあまり覇気のない声にオレは思わず慌てる。
 けれども赤ジャージはオレに手を振ってから立ち上がった。その後、頬を数回手のひらで叩いてからこう続けた。
 「いや。もう大丈夫だ。佐藤、勝負のさなかに失礼した」
 「大事ない」
 「ダイゴ、再開を頼む」
 「――押忍」
 
 ダイゴの号令でふたたび始まった、赤ジャージと佐藤先生の勝負はそれからも熱気のこもった――見ているオレも手に汗握る展開だった。
 時間ぎりぎりいっぱいの土壇場に至るまで、もしかしたら逆転できたりするのかも、なんていう期待を持たせてくれるほどに赤ジャージは意地を見せていた。
 
 押さえ技で有効をひとつ、投げ技で効果をひとつのポイントを取っていた赤ジャージだったけれども――残念ながら最後の最後で佐藤先生の掬い投げが鮮やかに決まって。
 「一本」
 ダイゴの判定する声が、勝負の終わりを告げたんだ。

 「惜しかったな、赤ジャージ。ひょっとすると何か起こしてくれるかと思ったぜ」
 「ほんとっスね、兄貴」
 「うん。でも越えなきゃいけない壁はあまりにも高いよね」
 ちいさく言葉を交わしあうオレたち。向かいの壁際に居並ぶ暗黒一家どもの勝ち誇った顔がいっそいまいましい。
 
 そうしながら、畳の真ん中で両雄が握手を交わすのを見ている。
 「今日のところは私の勝ちだ」
 佐藤先生の深い声が赤ジャージにかけられた。
 「ああ。そう易々と勝たせてもらえるとも思わんしな。けれども今まで訓練をしてきたし、存分に現在持てる力は出したつもりだ、俺も」
 「無論。以前よりはましになっていた。少なくとも私からポイントをとるところまでになっていたことがその証拠」
 そう言って、佐藤先生はダイゴをちらりと見た。視線が合って、ダイゴはお辞儀をする。

 「お主の心情は充分に伝わった。だが、約束は約束。我が妹の言をすぐにそのまま実現させてやるわけにはいかんな」
 「無論。こちらも情けにすがる意志はないさ」
 「とはいえ私は、こう見えても妹が憎いわけではないのだ。また、お主の闘いぶりにも多少は感じることもなくはない」
 「――――」
 赤ジャージは返答に困ったような顔をして、佐藤先生を見た。
 すると佐藤先生はすこし表情をゆるめた。
 「どうだ? 今度はお主の得手の剣道で闘ってみるか? 私もまるで心得がないわけではないのでな」

 これは佐藤先生からの恩情なんじゃないか? 剣道だったら、どう考えても赤ジャージが有利に違いない。
 赤ジャージはさぞ晴れ晴れした顔をするんだろうと思ったオレたちだったけど――
 「ケン……ドウ――? はて、それは何を示す言葉だったか……?」
 冗談を言う状況なんかじゃないところで放たれた赤ジャージの言葉に、一同はどう反応していいかわからないでいた。


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