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矜持対決新春編 5-1

 
 沈黙を破ったのはリュウジの声だった。
 「おい、赤ジャージ? 冗談言ってる場合じゃねえだろ?」
 「冗談――何がだ?」
 「赤ジャージから剣道とったら一体何が残るってんだよ!!!」
 「……そう言われても、なあ」
 明らかに困った顔で赤ジャージは答えた。

 「お主、もしや先程、やはり頭を打ったのか?」
 佐藤先生も心配そうな声で赤ジャージに問う。
 「さて。打ったような気もするが。あまり良く覚えていないのだ。朦朧としてな」
 これはもしかしてまずいんじゃないか――オレはノブオと顔を見合わせる。
 対面の壁際に陣取る暗黒一家たちは、さして表情も変えずにオレたちのやりとりを見守っているといったふう。
 
 「先生。オレたちのことをわかる?」
 たまらずオレも立って、リュウジの横に並んだ。
 「ああ、勿論。お前はハヤトだろう? リュウジと、ダイゴと、ノブオだ。それから佐藤と、あちらは佐藤の教え子達だ。間違っているか?」
 「うん、正解」
 「そしたら佐藤先生の妹は誰だ? 赤ジャージ」
 「それは――マキさんだ」
 そのリュウジの問いには照れたように答える。
 
 「ならばお主の得手は何だ?」
 「――――」
 おかしなことに、佐藤先生のその問いにだけ赤ジャージは答えられないんだ。

 それからみんなでいろいろと質問を投げかけてみたけど、どれにもよどみなく、おかしいこともなく赤ジャージは答えた。
 それなのに、いざ『剣道』と問われると黙ってしまう。何度試しても結果は一緒だった。
 「大丈夫か? 赤ジャージ。病院行ったほうがいいんじゃねえか?」
 「そんなに大袈裟なものではないと思うのだが……」
 なんて本人は言っているけれど、オレたちは内心はらはらで。
 「おいおい。そんな顔するな、ハヤト。少し疲れて、神経が高ぶっているだけだろう。明日になったら思い出しているさ」
 わはは、と声を出して笑う赤ジャージだったけど、本当は自分でも心配なのかも。あまり目が笑っていなかったから。
 「とにかく明日になっても思い出さなかったら病院だな、赤ジャージ」
 リュウジは無理矢理に赤ジャージに頷かせた。
 
 「こんにちは、先生。兄さん――」
 ちょうどその時に道場の扉が開いて、姿を見せたのはマキ姉さんだった。
 「ああ――マキさんっ」
 「ええ。いかがでしたか? 先生」
 「いや……それが不甲斐ない結果で」
 そう答えながら、赤ジャージはきまり悪そうに頭を掻いている。
 「って、マキ姉!!! そんなことよか赤ジャージなあ……」
 そしてリュウジは事のいきさつをマキ姉さんに話して聞かせたんだ。
 明日になってもこの調子だったら必ず病院へ連行してやってほしいと頼みながら。

 「うん。わかったわ、リュウちゃん。任せておいて。わたしがちゃんと先生の様子を見るから。ねえ兄さん? こうなったのは兄さんが原因の一端ですから、それくらいの義理と義務とがあるわよね?」
 「マキよ。おまえはそう言うがな。そもそもの原因はおまえが公衆の面前であのようななことを言ったことにあるのであって」
 マキ姉さんは、佐藤先生のその言へはノーコメントだった。
 ただ、何も悪いことを言ったつもりはないという意志だけがにじみ出ているような。
 さすがに芯の強い女性だなあ、とオレは思う。
 そうか。ここに惹かれたんだろうな。赤ジャージは。


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