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矜持対決新春編 7-1

 オレたちの冬休みの最後を飾るもの――それはいつもと何ら変わらない光景みたいだ。
 見慣れた河川敷での見慣れた諍い。
 リュウジとコウヘイが強い視線を放ち合っている。
 「そもそも貴様のところの教師が出過ぎた真似をしすぎているのだ、リュウジよ」
 「どういう意味だ?」
 「誰あろう佐藤先生の肉親に懸想して、その上よりによって柔道で佐藤先生に勝利しようなどという魂胆が浅知恵だと言っている」
 
 「それは少し違うのではないか?」
 落ち着いた声でダイゴが言いながら、一歩前へ出る。
 こうした際に口を挟むほうではないダイゴがそうするのは珍しいこと。よほどの思いがあるのだろう。
 「そのような軽々しいものではないと思うが。現に先生はあれから真剣に柔道を修めるために日々努力しておるし、マキさんへの想いが軽々しいようにも見受けられん。また佐藤先生もそれについてはお主よりは理解しているように考える」
 「何――貴様、解ったような口を利きやがるなあ、鬼浜寺の」
 「大体が、それほどまでに人を想うということをわからんお主ではないだろう? 理屈ではなく、勝ち目ではなく、立場でもなく――といったことを」
 
 ダイゴがそう言うと、コウヘイは一瞬間をおいた。
 辺りをほの白く照らす水銀灯からは距離があるので、その顔色は窺えない。
 けれどもそののち、コウヘイは凄まじい怒号を放った。それの意味するところはおそらく身に覚えのあることをダイゴに指摘されたから――ってのはオレの考えすぎだろうか。
 「貴様――それはどういう意味だ? 貴様に俺の何がわかると言いやがるんだ、鬼浜寺の? 俺はなあ、そういう見透かされたようなことを言われるのが気に喰わねえんだ!!」
 激するコウヘイに対してダイゴは無言で威圧した。
 それがさらなるコウヘイの怒りを買ったような気がした。
 「貴様、その気なのだな? よし――ゴンタよ。行け」
 「フンガー!!!」
 そしてオレたちと対峙した側――暗黒一家は、総帥コウヘイの一声に導かれてゴンタを前へと進ませた。

 「リュウジ。どうする」
 オレの前に立つダイゴが指示を仰がんとリュウジを振り返る。するとリュウジもコウヘイに負けじと声を張った。
 「オウ!! こうなったら引き下がるのは漢の道じゃねえぜ。ダイゴ、このまま受けられるな?」
 「押忍。ではリュウジ、謹んで」
 右の拳を開いた左の手のひらで受け止めながら、ダイゴは深呼吸ひとつするとゴンタの目の前へ出る。
 しんしんと冷え込む河川敷に、青白い炎が灯る。
 背筋がより寒くなるほどの緊張感と互いの軍勢の熱い思いが相俟って空気をかき混ぜているかの如く。
 
 ダイゴとゴンタの、ルール不問の喧嘩勝負が始まった。
 これが赤ジャージと佐藤先生みたいな柔道勝負だったら基礎からしっかりやっているダイゴが遅れをとるわけなんかない。
 けれどもそんな道理の通用する勝負ではこれはなくて――のっけから激しい拳が互いの体を、また顔面を襲撃しあう。
 「覚悟――ドッセーイ!!!」
 「う……がっ」
 肉を打つ鈍い音。砂地を捉える靴の裏が滑る音。
 「フンガー!!!」
 「ぐはっ――」
 拳のうなる音。食いしばった歯の間から絞り出される音。

 隙を見せたほうが負け、より気合いの入ったほうが有利。
 けれどもゴンタも、もちろんダイゴもそれぞれの矜持を賭けてこの新年初顔合わせに出陣しているんだから、意識の上ではまるっきり互角だ。
 吹きすさぶ夜の風の中、それを明らかにするような攻防が繰り広げられていていた。


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