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祝福すべき平和な午後 1-2

 「ゆっくりでいいんです、先生」
 「マキさん――」
 「わたし、本当はそう思っているんです。あの騒ぎの最初になってしまった初詣でのことはね、きちんと言っていなかったわたしの意思表示っていうだけなんですから。自分に対してと、それから――兄への」
 「佐藤へ……」
 「ええ。兄に対してきちんと伝わっているかどうかも不安だったんです。よもやいい加減な気持ちだと思われているとは考えませんけれど、やっぱり面と向かって言うほどの勇気なくって」
 「って、テレビのほうがよっぽど勇気がいるんじゃねえか? マキ姉」
 「あ、うん。あとで考えてみたらそうだったわ、リュウちゃん」
 これまたはにかんだような笑いをマキ姉さんは見せた。
 「でもね、あの時はチャンスだって思ったみたい。どうしてかわからないけれど」
 「どっちみち勇気あるんだ、マキ姉さんって」
 「どうかしらね。ただ、あの時は先生が一緒にいてくれたから言えたのかも」
 それを聞いていよいよ真っ赤になっている赤ジャージは、見ているこっちが照れるような顔をしてた。
 何か返そうと言葉を探しているようだけど、ぱくぱく口を開いたり閉じたりしてる。
 ……おそらく場慣れしてないんだろうな。それがより純粋なようにも見えるんだ。
 
 「あ~あ、のろけられちまったよなあ、ハヤト」
 その雰囲気にオレと同じように照れたに違いないリュウジが口を開いた。
 「あはは。うんうん。ごちそうさまでした」
 「そういうのはふたりでいるときに言えばいいのにな」
 「え――あ、いや、すまん。リュウジ、ハヤト。ええ……と」
 「何も謝らなくたっていいよ。なあ、リュウジ?」
 「いや。せっかくだから謝られておこうぜ!!! 教師に謝られるなんて滅多に経験できることじゃねえからな。俺らみたいのが」
 「ああ、なるほど。そういう意見もあるな。いつも謝らされてばっかりだからな、とくにリュウジは」
 「余計なこと言うなってのに、ハヤトは!!!」
 
 ああ、なんか平和だな。こうやって笑っていられるのが。
 赤ジャージの記憶がもとにもどって。マキ姉さんと一緒にいるのがうれしそうで。
 真冬だっていうのにちょこっとだけ小春日和のぽかぽかした今日と同じようにオレをなごませてくれるひとときだった。
 
 「そしたら俺らはそろそろ行くか、ハヤト」
 「うん。そうだね。今日は――ああ、そうか、集会あるからね」
 病院の前での立ち話をしばし楽しんで、リュウジが切り出した。
 「お前たち、あんまり俺を心配させるような真似ばかりするんじゃないぞ。やれ喧嘩だやれ暴走行為だと、実際俺の気持ちが休まる暇がないわけで」
 「わはは!!! どうしたんだ赤ジャージ。そんな急に教師の顔になっちまって。そっちのほうが心配だぜ!!! また頭打ったか?」
 「何だと? リュウジ、俺はだな、お前たちの行く末を心配しているんだぞ」
 「もっと手近に心配したほうがいいことあるんじゃねえの? なあ、マキ姉」
 そんな言葉を交わしながら教師と教え子は、それでも楽しんでいるように見えた。
 赤ジャージは拳骨をかざしてリュウジを追い、リュウジは逃げるふりなんかしてて。

 「でも、きっと先生だってハヤトくんたちくらいの頃には同じようだったのかもしれないわよね」
 くすくす笑いながらマキ姉さんが言ってる。
 「え、そうなのかな?」
 「うん。そんな気がするわ。だって、その頃の兄と知り合いだったってことは、自然とそういうことになるんじゃないかな、って」
 「あはは。佐藤先生もそんなふうだったんですか」
 「そうね。ハヤトくん、こんど内緒で写真見せてあげようか?」
 「あ、ちょっと興味あるなあ」
 「そしたらね、今度――」
 なんてマキ姉さんが軽い調子で言ったときだった。


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