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風にのって鈴の音が 2-1


 「え――? 何か言いましたか?」
 辺りを見回したけど、露店の客はオレひとりだった。ここにいるのはオレと、店主のふたりきり。だからオレは店主に訊いてみた。
 けれども店主は首を左右に振っただけ。
 「あ、そうですか」
 オレは首を傾げながらも、一瞬後にはふたたび目の前の雑貨のたぐいに見入っていた。

 相変わらず風はちっとも止む気配がない。
 はっきりとしたことは口では説明できないけれど、とにかくオレはこの店に引っ張られるような感覚があったんだ。
 さっきの誰かの声に呼ばれたような錯覚。それと同じようなものを、この露店を目にとめたときにも感じたと思う。たぶん。
 気になる雑貨を手にとってみたりしてる。
 シルバーのネックレスやら、手編みっぽいミトンやら、木彫りのふくろうやら。

 そんなオレがそれに触れたときだった。
 それはオレの指先を焦がす勢いで発熱した――ような気がした。
 同時に、やっぱり何かの声がオレの耳元にささやいた――ような気が、確かにした。

 振り向いてみたけれど誰もいない。
 店主も最前までと変わらない姿勢で作業していて、変わったことなんかなかったとういふう。
 とにかくオレはもう一度、それを手にとってみないわけにはいかなかったんだ。

 それは細工のある、銀の大きめの鈴のようなものがついたキーホルダーだった。
 持ってみると見た目よりもずっしりと手に重量感が伝わってくる。
 下側に隙間があって鈴に似ているけれども、中は空洞みたいで音はしない。
 鳴らないとわかってはいたんだけれど、何かに突き動かされるようにオレは手の中のそれを二度、三度と振ってみた。
 すると、音の代わり何かがオレに呼びかける。
 オレの耳に、ではなく、オレの意識を突いてくるんだってことがわかった。
 いわく――
 『やっと会えた』
 
 「え――?」
 オレはキーホルダーを持った手を握ったり開いたり、よく見たりちいさく振ったりしている。
 やっぱり気のせいなんだろうか。オレ、疲れてるのかな……?
 「お客さん」
 店主に声をかけられて、オレはびくっと肩を奮わせた。
 ああ、そうか。耳に聞こえる声って、こういうもんだよな。やっぱり異質だ……。
 「それ、気に入りました?」
 「え、あ、はい」
 オレはそう、はじかれたように答えていた。
 「ええと、これ、ください」
 迷うことはなかった。事前に値段を問うことも思いつかなかった。
 ただ、今日オレはこれを手に入れないといけない――そんな思いだけに支配されていたから。

 そのキーホルダーがいくらしたんだったか、どうしてだか思い出せなかった。
 一刻も早くこれをポケットにしまい込んで、オレだけのものにしたいって感じてたから。焦っていたのかもしれない。
 リュウジたちが待っているファストフード店のレジで財布の中を見たら、どうやら3000円ほど減っていた。
 注文したハンバーガーと飲み物がトレイに載るまでの間、オレは何度もポケットに手を入れる。
 キーホルダーのさわり心地を確かめるとなんだか落ち着いた。
 にこやかな店員のお姉さんからトレイを目の前に差し出されると、指先を名残惜しくポケットから引っ張り出した。
 さっきまでキーホルダーに触れていた指先がほんのりあったかいような気がする。



テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

華丸・新ワールドッ!

なんか今までにない世界!
うーん、ハヤトになにが起こるのか・・・ワクワク♪

やっぱこういう雰囲気はハヤトが似合うかな。

だってリュウジだと・・・何も感じなそうだもん(笑)

>ピノコさま

ども~(*^ー^)ノ

ちょこっと新趣向でっすww
さて、どうなんでしょう? 

>だってリュウジだと・・・何も感じなそうだもん(笑)
おお~!!! いいとこ突いてくるなあ。
たしかにそうかもしんない(^ ^;)
でもそこが総隊長のいいとこですな。たぶん。

先日の妄想スロにより、華丸かなりリュウジの肩をもってます。
だはは。

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