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風にのって鈴の音が 3-1



 4人で行った本屋では、オレはウィンドウショッピングに専念しただけだった。
 っていうのは本当は正しくなくて――早く家に帰りたい一心で気がそぞろだったんだ。
 ポケットに入っている、露天商から買った鈴に似た丸い細工のついたキーホルダー。それを一刻も早く手にとって眺めたいと思っていた。
 何を見るでもなく本屋の店内をうろうろしている最中も、ことあるごとにポケットの中身を右手で確認していた。
 どういうわけかオレがそうしていると、ダイゴがオレに視線を投げているように思えたんだけど、お互いとくに何も言い合うこともなく。

 ようやく家に帰って、店先でお客の相手をしている親父にだたいまを言ってから速攻で階段を上がって自分の部屋へ。
 制服を着替えるのすら後回しにすることに決めて、ともかく右のポケットの中身を取り出した。
 
 左の掌に乗ったキーホルダーは、銀色に輝いている。
 よく見れば、唐草模様のような精緻な細工が施されていた。
 下にある隙間が外見を鈴に似せているけれど、何も入っていないようなので音はしない――と思っていたんだけど。
 試みに右手の人差し指で転がしてみたら、ちいさな涼やかな音色が鼓膜を揺らした。
 絶対に気のせいなんかじゃない。そんな確信がオレを包んだ。
 もはや不思議だと思う気持ちもどこかへ行っていた。ああ、やっぱり――そんな感覚。
 
 そう。だからオレにはちっとも驚きなんかなかったんだ。
 オレの目に彼女が入ってきた瞬間を迎えたことへ。

 左手からすこし浮かせて、銀の細工の上についているナスカンを指でつまんで振ったとき。
 それはきらりと輝いたかと思うと、靄を放った。
 靄の晴れたときに、オレが見たのが彼女だった。
 彼女は細工の中から出てきて、オレの左の掌にちょこんと乗っかっている。
 細工と同じ色の長い髪の毛をしたちいさな体の彼女は、オレを見上げてくりっとした瞳を、やっぱりきらりと輝かせた。
 真っ白な、丈の長いシンプルなワンピースみないなのを着ている。

 「はじめまして」
 「あ、ども」
 ちょこんと頭を下げた彼女につられてオレも挨拶をした。それもごく自然に。
 とは言ったものの――きっとオレは間抜けな顔しているんだろうな。

 「やっぱり会えた」
 彼女はそう行ってちいさな顔にこの上ない笑いをたたえている。
 そう――露店で感じた『声』とそっくりだったから、オレはさらにやっぱりな、と思った。
 こんな不思議に直面して違和感のない、むしろ腑に落ちた気分でいるオレって、やっぱりとぼけているんだろう。
 
 「ええと、君は誰なの?」
 ともかくも初対面の相手なんだし。一応訊くことは訊いておかないといけないかな、と。
 「わたし? わたしはフウカっていうの」
 彼女はそう名乗った。うん、とオレは頷いてみせる。
 「それでもって、あなたはハヤトでしょう?」
 「え、なんで知ってるんだろ」
 「だって、さっきお友達にそう呼ばれていたから」
 ああ、そうか。リュウジたちと話していたのを聞いていたんだ、フウカは。オレのポケットにあった、銀の細工のその中で。

 「それで、フウカはどこからきたの?」
 「――あっちのほうってことになるのかな?」
 と、フウカは天井を指さした。
 天井を突き抜けておそらく空を指しているんだろうな。
 そんなありえない会話をありえない人、っていうか人と言えるかどうかもわからない存在とごくふつうに繰り広げているオレは――順応性高いよね。


テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

わ!わ!

何者?フウカって何者なのぉ~??
今後の展開にちょっとワクワク♪

・・・そしてダイゴが何を感じ取っているのか
ちょっぴりドキドキ。

>ピノコさま

さ~て、何者なんでしょ。だはは。
よくわかんないんですけど(汗)

ダイゴは、きっとあの中で誰よりも敏感なはずだしね。
なんか見えるんだろな~。こわいねww
ってか、ダイゴっていちばん優しそうだよね^^

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