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風にのって鈴の音が 7-1


 天気予報によれば、今夜遅くから海沿いのこのあたりだけ、局地的に風と雪が猛烈な勢いで発生する可能性が大なのだとか。
 リュウジと肩を並べての帰り道。
 昨夜のオレの失態は、リュウジにはどうにか許してもらえたみたいだ。昼休み、オレがダイゴと話しているあいだに、ことによるとノブオが何か口添えでもしてくれたのかもしれない。
 
 「そんなのって珍しいよな。このあたりで雪なんて」
 「うん――あ、もう降ってきてるね。ほら」
 リュウジの制服の肩に、はらりと舞い降りる雪の結晶を見つけて指さした。
 「オウ!!! ほんとだぜ」
 空を見上げてリュウジはどことなくうれしそうだ。
 「なあ、ハヤト。積もると思うか?」
 「ん~、どうかな」
 「たまには積もると楽しいと思わねえ? いつもの町が真っ白になるとこ、見てえな。俺」
 こんなときのリュウジは幼いんだよな。犬みたいな目、とでも言うか。
 
 「ハヤト。なんか知らねえけどよ。よかったらそのうち聞かせてくれよな、ハヤトの話も」
 別れ際にリュウジはこう言った。オレは従順にうなずいたんだ。
 うん。もうすこし経ったらリュウジにも会ってもらおう。時期を見てフウカを紹介しないとな。

 ――そんなことをその時考えていたオレって、なんておめでたい奴だったんだろうな……。

 家に帰って、ようやくポケットの銀細工を取り出した。
 今日はなんだかんだで、一度も学校ではフウカを外に出してあげられなかったんだ。
 見慣れた薄い靄が目の前に現れて、それが晴れるとフウカと会える。
 「フウカ。ずっと中で息苦しかった?」
 「ううん。大丈夫。そんなことよりハヤト。昨日、やっぱりわたしのせいで……ごめんね」
 「謝ることないってば。リュウジもわかってくれたしね」
 「……うん。でもほんとにごめん、ハヤト」
 ぴょこんとお辞儀する姿に想いをこめて笑みを返して、それからオレはフウカにビスケットを食べさせてあげる。そうしながらとりあえず着替えて。

 着替え終わって、机の上にのっけたフウカを振り返ると、机の前の窓にかかったカーテンをめくろうとしていた。フウカのちいさな手には余る業だからオレが手を添えてやる。
 「ん? 外、見たい?」
 「ちょっと天気が気になるの」
 「ああ。今日は暴風雪になるかもしれないって天気予報が出てるね」
 「――やっぱり」
 「え……やっぱり、って?」
 オレの問いかけに、フウカは答えなかった。ただ窓の外の低い空に目をやっている。
 
 「ハヤト。こんなお天気の日だけど、行ってもらってもいい?」
 「うん。オレはもともとそのつもり」
 「ありがとう、ハヤト。わたしハヤトと会えてよかった。ハヤトが親切にしてくれたこと、ずっと忘れないから」
 「あはは。何言ってるんだ、フウカ? 別れの挨拶じゃあるまいし」
 「……そうね。ごめんなさい、ハヤト」
 「だから、謝ることないってば。さっきから謝ってばっかりじゃん」
 フウカは首を傾げてほろりと笑った。なんだかあんまり楽しそうじゃなかったのが気になる。

 今日は東の方角に行ってほしいとフウカが言った。
 いつもよりも確信めいた表情をしていた。そしてこう続けたんだ。
 「あのね、この天気、わたしと仲間のせいかもしれないの」
 「え? 天気って、これから暴風雪になるかも、って?」
 「そう。わたしと仲間がはぐれたから、あるじが心配してこちらに働きかけているのかもしれない。もっともわたしひとりじゃもとの世界とコンタクトもとれないから確認する術もないけれど……」
 空のほうからきたというフウカ。
 オレなんかでは到底計り知れない力とでもいうものを持っているらしいと今更に気づかされた。
 凜とした面差しを見せて、フウカはオレを見返している。
 よし、オレだって男だから。いとおしいフウカのために今日も走るよ――緊張しながら思う。


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