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風にのって鈴の音が 7-2

 革のジャケットの襟を立てて単車に跨った。雪をよける意味で、メットとゴーグル装着だ。
 フウカは胸のポケットへ。
 学校からの帰りにはちらちらと舞っていた雪だけど、さっきよりもいくぶん粒が大きくなってる。
 たしかに風がとても強くて、降る雪は地面に向かってストレートに落ちる軌跡を描くことなく、滞空時間が長そうだ。

 フウカの言ったとおり、オレは海岸線を東に向かって単車を走らせた。
 鉛色の空が暗い色の海面の上を覆っている。定まらない方向を向けて散る雪の断片。
 これといった原因なく、ただ不安をあおる大気がオレを包んでいるような気がする。

 つと感じるところがあって、オレは路肩に単車を停めた。
 すると胸ポケットからフウカが顔を出しかけて、あまりの強風のためかすぐに引っ込んだ。
 慌ててオレはしばらく先に見えるコンビニを目指して単車を出した。髪が風になぶられる。
 ようやくコンビニの建物の陰の、風を遮るところで落ち着いてフウカと会話できる体勢になった。
 「ハヤト。近いと思う。もうちょっと先まで行ってもらえる?」
 「うん。了解」
 ふたりして緊張した顔を見交わす。
 「このまま海岸線でいいのかな?」
 「そうね。でも向こうも移動しているみたい。また折を見て呼ぶから」
 「わかった。それじゃ行こうか」
 フウカがポケットに収まるのを確認してから、オレはあらためて単車に跨る。
 
 オレの好みにチューンしたマフラーからの音も、今日はごうごうと吹く風にさらわれている。
 さて、東へ――そう思い定めてコンビニの駐車場から出ようとしたところだった。
 
 後方から近づいてくる単車が3台あった。ちらりと振り返ると、どれも見たことのある装飾が施されている。
 コウヘイのマシン、それからゴンタとタカシのマシンのようだ。
 ちっ、とオレは舌打ちをする。
 こんなところで関わり合いたくない相手だから。だってオレは暇じゃない。
 車列の切れ目を狙って、オレは車道へと乗りだした。よもや奴らに追いつかれたりしないように。望まない勝負なんかにならないように――そう祈りながら。

 天気のせいか、車列のスピードは全体的にスローだった。運悪く信号にもたびたび足止めを喰らう。
 そうこうしているうちに、ついに3騎に追いつかれてしまったんだ。
 車列の先頭で信号待ちのオレの左右にゴンタとタカシがぴったりと寄せてくる。コウヘイはオレの背後にいるらしい。
 ふたたび舌打ちをするオレは、両側のふたりの視線を感じている。
 何も今じゃなくてもいいじゃんか――大声で言いたい衝動に駆られる。けれどもそんな場合でもないので、オレは信号が変わると即座に飛び出した。

 向かい風が車体を煽る。両側からの邪魔に翻弄されてオレはなかなかぶっちぎることができないでいる。
 「ちきしょう。遊びじゃないってのに」
 呟きも風に吹き消されてゆく。

 苛立ちのままにオレは単車をふかす。
 両側にこちらから当たりを仕掛けていって、なんとか車体を前に出そうと試みる。
 タカシはいいとして、こんな風の日には重量と安定のあるゴンタは有利とみえてなかなか怯まない。
 それでもオレは特攻隊長の名にかけて、勢いをつけて前へ出た。
 よし、このまま突っ切っていかないと。
 しばらく前にはまた車の列がある。それに囲まれる前に奴らの包囲から抜けだそうとするんだけれど――
 ようやくゴンタとタカシを振り切ったオレの眼前には、今度は後ろから回ってきたコウヘイの、黒の単車が立ちはだかっている。


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