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我が名にかけて 1-2

 「本当にありがとうございました」
 若いお母さんがリュウジに言った。その声を聞いて、思い出したようにまだちいさい男の子はお母さんのコートのすそを握りしめた。
 「いや……とんでもないです」
 照れたようにリュウジが言った。耳の後ろをぽりぽり掻いてる。

 「まあ、あれだ。気をつけて、ってことで」
 「ええ。わたしが不注意だったからいけなかったです」
 買い物袋を片手に、空いたほうで男の子と手を繋いでお母さんが言う。
 「お礼――ってほどではないけれど、これ……よろしかったら」
 お母さんが差し出したのは、買い物袋から取り出したプリンだった。男の子の目がそれを追いかけてる。
 「わはは。いや、もらえません、それは。だって今日のおやつだろ? なあ?」
 「うん!!!」
 男の子は素直にいい返事。
 「ってことだから、俺は気持ちだけで」
 「本当に重ね重ね気をつかってもらっちゃって……」
 お母さんはリュウジにぺこりとお辞儀した。

 「あの、せめてお名前だけでもうかがっていいですか?」
 「ん? 俺? いや、名乗るほどのもんじゃないんで!!! そしたら俺らはこれで。こいつが寒いと機嫌悪いんすよ」
 「え――オレ?」
 とか言いかけたら、リュウジに腿の後ろをつねられた。
 「それじゃ、ぼく。母ちゃんとなかよくな!!!」
 「うん。おにいちゃんもおともだちとなかよくね~」
 「オウ!!! まかせとけ」
 そしてリュウジと男の子が握手を交わしたのを潮に、オレたちはその場を辞したんだ。

 うん。これこそリュウジらしい逸話だな、なんてオレは思う。
 人の役に立ったところで名前なんてどうでもよくて。その場だけのつながりだって、ちゃんと礼儀と笑顔を忘れなくて。
 オレたちの総隊長はこういう気持ちのいい漢なんだ。
 ……だったら女の子にもててもおかしくないのにね。
 「ん? なんか言ったか? ハヤト」
 「え? いや、何も言ってないけど?」
 あらためてふたりで歩きながらのひとり思い――いけね、もしかしてオレ、何か呟いてた?
 
 「まあいいや。そんなことよりな、ハヤト。さっきの話の続きだけどよ」
 「え~……何話してたっけ?」
 「だからな、こないだ千晶ちゃんが」
 ああ、そうか。千晶ちゃんの話をしてたっけ。数分前を思い出しながらオレは頷いた。
 「なんて言ったっけ? ほら、千晶ちゃんの新しい女の子の友達。ええ……」
 「ああ、千尋ちゃん、だったね」
 「そうだそうだ!!! その千尋さんがな。単車の免許とろうとしてるらしくてよ」
 「へえ。そうなんだ」
 「でな。まず単車の速度に慣れるのに、リアに乗っけて走ってもらえねえか、って。千晶ちゃん、自分じゃ自信ねえからって俺に言ってきてな」
 「あはは。そんなこと頼まれたんだ、リュウジ」
 「――なんだけどよ。でも俺、さすがに女性を乗せて走るってのは……まあ、そのう……だから、な? ハヤト。力になってやってくれるよな?」
 「え、オレ? いいじゃん、頼まれたのリュウジなんだからさ。リュウジが乗せてあげれば」
 「いや……そのう」
 あはは。リュウジ、照れてるよ。
 うん。これもリュウジらしいよな。やっぱり女の子には弱いんだ。


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