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我が名にかけて 5-2


 土手から見下ろす夕方の河川敷はおだやかな雰囲気。
 オレたちが集会する夜とはぜんぜん違った顔をしていた。
 語らうカップルがいたり、小学生がサッカーボールを蹴ってたり。
 
 「犬の散歩してる人って、けっこういるもんっスね」
 「そうだね」
 確かにノブオの言うとおり。犬を連れた人たち同士が声を掛け合う姿も見られる。
 「それで、リュウジが助けたというのは幼い姉妹と小型犬だったか?」
 「うん。たしかそう聞いた」
 「小型犬……あれっスかね?」
 「ん~、どうかな。でもあの女の子は中学生だろ? だって学校のジャージ着てるし」
 「あ、そうか」
 「あっちなんか、それっぽいよね」
 「いや、ハヤト。むしろあちらは、小型犬と言うよりは子犬なのでは」
 「え……あ、なるほど」
 
 そんな具合でしばらく土手から見ていたけれども、残念ながら該当すると思われる組み合わせらしきは見つからなかった。
 「なかなか難しいっスね。今日はお散歩お休みっスかね」
 「どうだろう。今日は家族の別の人が当番だったりするのかもね」
 「小学校は終わるのが早いからな。すでに済んでいるということも考えられる――か」
 とにかく今日のところは、ひとまずリュウジに報告する以外のことはできそうにない、と結論したオレたちは、ぼちぼち町に戻ろうということになった。

 川に沿ってしばらく歩く。
 3人で河川敷に目をやりながら、結局は海岸線の国道近くまで来てしまっていた。
 戻りながらもそれなりに河川敷を眺めてそれらしき姿を探していたオレたちだったけれど、電車の通る鉄橋が見えるところまで来たときにノブオが立ち止まった。
 「あれ――?」
 「ん? なに? ノブオ」
 「ほら、あれ兄貴っスね」
 「本当だな」
 見れば、確かにリュウジ以外にこの町では見かけない赤いリーゼントが寝っ転がっていた。
 いくら陽気がいいとは言っても、まだ冬なのにこんなところで寝てるのもおかしな話だな。

 「おおい、リュウジ――?」
 土手の上から呼びかけてみると、赤いリーゼントはむくりと上体を起こしてこちらを見上げた。
 「うん? ああ、お前らか。どうした? 3人揃って」
 リュウジは学ランの袖で、ごしごしと目のあたりを擦ってる。まさか本当に寝起きなのかな?
 「いや、尋ね人っていうかさ。ちょっと探していた人がいて。な? ダイゴ」
 オレが話を振ってみたら、ダイゴはするどくかまをかけてくれたんだ。
 「押忍。小学生と幼稚園くらいの女の子ふたり連れと、それから小型犬の組み合わせなのだが、リュウジ、見かけたか?」
 
 「わはははは!!! なにをそんな漠然としたこと言ってんだよ、ダイゴは」
 なんて笑い飛ばしながら、リュウジは立ち上がって土手を上がってきた。オレとダイゴはすばやく視線を交わし合った。
 「なんだそれは? ダイゴの友達か?」
 「いや――そういうわけではないのだが」
 やっぱり違うのかもしれないな。おばあさんのお孫さんたちと愛犬を助けたのはリュウジではないのかも。リュウジがダイゴを肘でついて絡むのを見ながら思っていた。
 
 「ところで兄貴、例のブツはどうでした?」
 「ああ、これ――な。涙なしには読めねえぜ……それでも読むか? ノブオ」
 そうか。例の漫画は感動的だったんだ。さっき目許を拭ってたのは、リュウジ、泣いてたんだな……。


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