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我が名にかけて 6-2

 「鬼浜の若いの」
 コウヘイはもはや見慣れた獰猛な笑みをノブオに向ける。
 「今日は貴様にやられたりしねえからな、うちのタカシは」
 「――何ぃっ!!!」
 名指しで言われて息巻くノブオ。それを背後から押しとどめるのはリュウジだ。
 「ノブオ、ちょっと下がってろ」
 「あ、兄貴!!! でも……」
 「いいから!!!」
 
 ノブオを押しのけて自ら前に進んだリュウジは、コウヘイらに向けて大音声を放った。
 「コウヘイ!!! もとはと言えばお前んとこの若いのが原因を作ったんだろ? 見ていてそれをよしとしなかったノブオが立って、それで決着がついたんじゃねえか。一度決着したことを蒸し返すのはどうなんだ?」
 リュウジの厳しい声と視線を受けて、さすがにタカシは少々さきほどまでの強い目の色を潜めているように見えた。
 「それに、ノブオの話を聞いて俺が面白かったわけがねえ。お前んとこの若いのが何をしたか、知ってるんだろうな、コウヘイ!!!」
 コウヘイは何も言わなかった。
 リュウジは重ねて言いつのる。
 「ともかく、俺もその件に関しては腹が立ってるんだぜ。ノブオが昨日ちゃんと決着をつけて戻ってきたから俺本人が出なくて済んだんじゃねえか!!! 何だったら俺が自分で出てもいいんだぜ? 蒸し返す気だったら俺に向かって来いや、タカシ!!!」
 リュウジの張りのある声が河川敷にこだまする。言葉を切ったとたんに鉄橋に電車が通った。

 電車の音が遠ざかったとき、最初に口を開いたのはノブオだった。
 「兄貴。オレ、やりますよ」
 「――ノブオ?」
 「兄貴がおもしろくないことは、オレにだって同じくらいおもしろくないんっス!!! こいつごとき兄貴が手を汚すことありません。何度だってオレが鉄拳を見舞ってやればいいんっスよ!!!」
 「ほう。物わかりがいいようだな、鬼浜の若いの」
 「当たり前だ!!! オレは兄貴のためだったら何度だって闘うんだ!!!」
 勇ましく――そう、いつもよりもひとまわり大きく見えた。ノブオの小柄な体が。
 
 もはやリュウジも止めようとはしなかった。
 再戦する気になっている若いふたり。けしかける暗黒一家総帥。
 むしろ自分が出る気にすらなっていたように見えるリュウジだったけれども――
 「よっしゃ!! ノブオ、任せたぜ。お前の攻撃には俺の気持ちももちろん込められてるんだろ?」
 「当然っスよ、兄貴」
 ゆっくりと首を縦にノブオは振った。
 そして、リュウジはノブオの背中をばちん、と音をたてて叩いた。
 「よし。存分にいってこい、ノブオ」
 「了解っス!!!」

 かくしてオレたちは土手を降りて、鉄橋の下まで移動した。ここで過ごす町民たちから一番目につかないここは、河川敷が戦場になるときの定位置だ。
 西側にオレたち、東側に暗黒一家。これもいつの間にかのお決まりのポジションだった。
 
 言葉もないまま、ノブオとタカシの対峙が始まった。
 3対3の見守る軍勢の中心にいるふたりは、真剣なまなざしを向けあっている。
 「タカシ!! オレは何度だってやるからな!!」
 叫びざま、ノブオは最初の一撃をタカシに見舞った。
 横っ面を張られてタカシはバランスを崩しかけるが倒れるまでには至らない。
 「ケケケケケ!!! 効かないぜ~」
 打たれ強さを武器にして立ち位置を戻すタカシは、不気味なほどに鮮やかな身のこなし。
 
 そしてふたりは、互いの自尊心を賭けて闘いを進める。
 川の向こう岸で犬が吠えるのが聞こえた。


テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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