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我が名にかけて 7-2


 若手ふたりの再戦は、相打ちとなった結果どちらも即座には身を起こせずにいる。
 リュウジも、ダイゴもオレも息を呑んでノブオが立ち上がるのを祈りながら待っていたけれども、残念ながらそれは叶わなかった。
 とはいえ敵の若手――タカシも同じく立ち上がる気配はなかった。
 
 「リュウジ――」
 オレが言いかけると、リュウジはちいさく頷いてから一歩前へ進んで声を張った。
 「コウヘイ!!!」
 リュウジの声が辺りに響く。呼ばれたコウヘイは眉一つ動かさずにいる。かわりに倒れたままのノブオの体がぴくりと動いたのをオレは目の端で見た。
 「今日のふたりの勝負は引き分けだ。ポイントは半々ってとこか」
 リュウジの進み出た足下にはノブオが横たわっている。リュウジが助け起こそうとするのへ、すかさずダイゴが出て行ってノブオを担いで下がらせる。対面に陣取った暗黒側からもゴンタが同じく出てきてタカシの体をさらってゆく。

 「昨日はウチのノブオが勝ってたんだから、1.5対0.5で本来ならノブオが勝ちだ。だが、俺は半端な計算なんか得意じゃねえからな!!! お前もそうだろ?」
 「ふん。俺は貴様よりは計算が得意かもしれねえがな――だが、昨日は昨日、今日は今日だからなあ」
 哮るリュウジ。低く応えるコウヘイ。
 ふたりの間に流れる空気は、今日のおだやかな陽気とは相容れないほどの冷ややかさがあった。
 「ここは俺が決着をつけるぜ!!! 俺に手前のプライドを重ねてくれたノブオのためにな!!!」
 言うが早いかリュウジは闘争心剥き出しの体勢をコウヘイに見せつけた。
 リュウジの背中しか見えないオレとダイゴだけれども、オレたちにはわかる。リュウジがどんな顔をコウヘイに向けているかが。
 そう、コウヘイの好戦的に歪んだ表情からもそれが匂ってくるんだから。
 「出てきやがれ、コウヘイ!!!」
 「言われるまでもねえな。すっきり決着をつけてやる」
 
 宣言しあうや否や、互いにその気で向き合うリーダーふたり。
 もはや誰も止め立てする者はおらず、見守る面々はそれぞれの筆頭を信じるのみ。
 信じる力。そして信じられている度合い。どちらの軍勢もそれは拮抗しているはず――だからこそ鬼浜爆走愚連隊と暗黒一家は永遠の好敵手なのだから。
 
 「いくぜ!!!」
 「やれるもんならやってみやがれ」
 声と声が交錯する。
 最初の一撃は同時にもたらされた。リュウジの拳がコウヘイを捉え、コウヘイの、今日は素手の攻撃もリュウジに襲いかかる。
 どごん――という軽くはない打撃音が聞こえる。それを聞いて、座してダイゴの足にもたれかかったままのノブオがぴくりと身を竦めたのがわかる。
 
 「効かねえな……」
 「まだまだァ!!!」
 またも同じタイミングで発せられる言葉。どちらも強がりではなくて、言うなれば自尊心そのものから生まれいずる声。
 そしてふたたび、ふたりは拳をつくって振りかぶる。
 構えの速度もまた同時。ここででどちらかが一歩先んじれば有利と不利とを分けたのかもしれない。
 
 それは、互いに二つ目の攻撃を仕掛けようとしたときだった。
 「ダメよ――リュウジお兄ちゃん!!!」
 土手の上から振ってきた甲高いその声に、オレたち8人は思わず一斉に振り返る。
 犬が吠えるのが聞こえた。今度は川向こうからではなくて、すぐ近く――つい今、呼ぶ声がしたのと同じところから、大きくはない犬が吠えるのが。


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