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鬼工七不思議 4-2

 オレたちの5時間目の授業は体育だ。
 予鈴ぎりぎりまでプールサイドで過ごしたもんだから、運動着に着替えるのが遅くなってしまった。おかげで当然のように、始業に間に合わず。
 「お前たち。いい根性しているではないか? 俺が時間に厳しいのは知っているな? よし、わかっているならそれでいい。罰は外周一周だ」
 
 赤ジャージの裁きを聞いて、リュウジはかったるそうに楯突いた。
 「ちぇ。ほんのちょっと遅れただけじゃねえか。ってか、むしろ俺は間に合ったろ? 赤ジャージ。ほんとの意味で遅刻はハヤトだけだよな?」
 「え――って、リュウジ。冷たいこと言うなよ」
 なんてオレたちが言い合っている最中に千晶ちゃんがさらに遅れて登場した。
 「あ、遅れてすみませ~ん、先生。今日は陽差しがあるって思って、日焼け止め塗ってたから」
 「……いいからお前たち、3人揃って外周一周、行ってこい!!!」
 有無を言わさぬ勢いの赤ジャージを止めることは、オレたちの誰もが不可能だった。

 罰として課せられた外周一周を、リュウジとオレ、それから千晶ちゃんの3人はとてつもなくだらだらとこなしている。
 「リュウジ。あんまり遅れると、また赤ジャージに文句言われるんじゃないの?」
 「わはははは!!! 臆病だな、ハヤトは。平気じゃねえ? だって俺、カラダ弱いしな!!!」
 「そんなの初耳だけど……」
 「っていうか、大丈夫だよ、ハヤト。だって先生、外周一周って言っただけでしょ? 走ってこいとはあたしは聞いてないしね」
 きゃはは、なんて千晶ちゃんは笑った。
 「オウ、千晶ちゃんは賢いぜ!!!」
 共謀者の顔でもって、ふたりはにやりと笑いあう。あ~あ。オレは知らないよ。

 おだやかな陽気を彩る、花の香りが風に混じっているのを感じる。もうすぐ春だね。
 「ふたりとも、なんで遅れたのよ?」
 ふつうにのんびり並んで歩きながら千晶ちゃんがそう訊いた。
 「オウ。ちょっとな。俺ら、昨日から調べてることがあってな」
 「あら、珍しい。あんたたちが調べごとって……」
 千晶ちゃんはからかうような表情でリュウジとオレをかわりばんこに見た。
 「あはは。確かにね。オレたちには珍しいかも。しかもその発端が図書室にあった哲学書だった、なんて信じる?」
 「え――図書室ぅ? 哲学書ぉ?」
 それ以上の言葉を失ったかのように千晶ちゃんは、その場に立ち止まっていた。
 ……確かにな。

 懲罰の外周一周が半分済んだところ。ちょうど裏門のところでそのままオレたちは歩みを止めて、なんとなくこれまでのいきさつを千晶ちゃんに話して聞かせていた。
 「へえ。鬼工七不思議。そんなの聞いたことないな」
 「だろう? だけどな、最初のは俺とハヤトがそれだし――って先のことはわかんねえとしてもな。2つめのは園芸部にも別の伝わり方してるみてえだし、3つめは、な? ハヤト」
 「うん。水泳部には当たり前の話だったみたいだしね」
 「そうなんだ。へえ。なんかおもしろそうだな」
 言いながら、千晶ちゃんはリュウジが持っていた、鬼工七不思議をメモした紙切れをしげしげと眺めている。
 リュウジ、よっぽど気に入っているんだろう。体育の授業中でもメモ持って歩いてるなんて。

 「で、次はこれを調べるの?」
 千晶ちゃんの、うっすらマニキュアを塗った爪が4つめの不思議を指す。
 『4)恋愛:告白は雨の木曜日、早朝、音楽室が吉と言い伝わる 成功率高し』

 「そうだな。順序としてはそれだな」
 「雨の木曜日か……」
 何かを思い出そうとするように、千晶ちゃんは空に目を向けていた。


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