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鬼工七不思議 7-1


 「赤ジャージの生徒時代にはこれって当たり前に誰でも知ってることだったんだろ?」
 「そうだな、リュウジ。とはいえ――」
 と言葉を切って、赤ジャージはリュウジの手からふたたびメモを取り上げた。
 「この6番目のものは、言い伝え自体は有名だったが、さすがに誰も実際には経験したことのある者はいなかったのだ、確か」

 赤ジャージの太い指が示した先にあったのはこの記述。
 『6)道:北校舎階段に地下あり 既に封鎖される 因縁ある場所へ続くとされる』
 北校舎は古い建物で、いまとなっては授業に使われている教室は入っていない。オレたち生徒はそれぞれ週に数回そこで授業を受ける程度。
 ときどき使う実習室や、『鬼工七不思議』を仕入れた図書室はこの北校舎にある。
 
 「赤ジャージ先生。地下ってほんとにあるんっスか?」
 「俺達の時代にはすでに封鎖されていたのでな、地下へ続くとされる階段は。教室は普通に使われていたが」
 「ほう。ってことは、真偽は赤ジャージらにもわかんねえんだな?」
 「そうだな。毎年、必ず真実を突き止めてやるという輩が出てくるのだが、最終的には成功した者はおらんよ。階段の行き止まりに扉だけは残っているが、そこには大きな南京錠で鎖が3重に掛けられていてな。工具などをもってきて破ろうとしたものなら、音を聞きつけた教師が飛んできて、最終的には罰当番が待っているのが関の山、といったところだ」
 
 赤ジャージの話を聞いて、オレたちは顔を見合わせている。
 誰も成功しなかったのか。
 不思議は謎のままなのか。
 ってことは、長いこと言い伝えにとどまっているだけで誰も真実を知らないのか。

 「あらら、あんたたち。興味津々の勇者の顔をしてるんじゃないの?」
 「ご、誤解だぜ、千晶ちゃん!!! 赤ジャージだって罰当番に終わったことを、なんで俺たちが成功するはずがある? なあ、ハヤト?」
 「う、うん。そうだね。謎は謎のままのほうがいいこともあるかもしれないし」
 オレたちのやりとりを聞いていた赤ジャージは、どことなく郷愁を秘めた笑いを見せた。リュウジの言うように、本当に罰当番を強いられたことがあったのかもしれない。
 
 「リュウジよ。妙な気を起こすなよ。北校舎はお前の好きではなさそうな話も昔は伝わっていたのだし」
 「――!!! って、な、何脅かしてんだよ、赤ジャージ……」
 ニヤリ、と赤ジャージは笑う。
 「まあ、まさかお前達が何かをできるものでもないしな。大きな物音ひとつで図書館へ筒抜けだから、罰当番は必至だと覚えておくといい。俺に言えるのはそこまでだ」
 そう言って、赤ジャージは湯呑みに残ったお茶を飲み干した。
 
 千晶ちゃんが壁にかかった時計をしきりに気にしだしたころ。そろそろオレたちもおいとまするか、という空気が控え室に流れた――ところでダイゴが口を開いた。
 「先生。為になるお話、有り難く思う」
 「そう言ってくれるのはきっとお前だけだな、ダイゴ」
 「いや、そのようなことは。して、ついでに教えていただきたいのだが」
 「何だ?」
 「俺達の入手した『鬼工七不思議』だが、最後の7つめが判読不明だった。先生は知っておられるのだろうか。最後の記述を」
 「おお、確かにそうだな……。最後のひとつ、か」
 赤ジャージは思い出そうと首をひねる。
 「この6番目に手こずることで、なかなか最後まで行き着かないのがこれの厄介なところだったように思うが……はて、何であったか。思い出せんな」
 奥歯に何か挟まったような表情で、赤ジャージは腕組みをしていた。
 オレたちが『また明日』と道場を辞すまで同じ顔で悩んでいたみたい。
 「そしたら赤ジャージ。思い出したら教えてくれな。ああ、そんな真剣に悩まなくてもいいぜ!!!」
 「おう。なんかこう、思い出せないのは気分良くないものでな」
 赤ジャージ、真面目に悩んでいるみたい。根が真面目なんだな、きっと。


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