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トラブルメーカー女史 2

 「おお、リュウジの相棒さんじゃないか」
 「あ、森園主将──練習か?」
 「いかにも」
 亜由姉さんの作業が終わるのを待っていると、ランニング中の野球部員たちに挨拶された。
 「精が出るね。暑いけどがんばってくれよな」
 「無論だ。では、あらためて行くぞ、諸君!!!」
 「おおう!!!」

 気合い充分の野球部を見送りながら、亜由姉さんは手を止めて、不思議そうに言う。
 「ふうん。あんたにスポーツマンの友達なんかいたんだ。意外」
 「意外──って、そうかな?」
 「そうよ。あんたの友達って言ったらリュウジみたいのしか思いつかないもん」
 「さようですか」
 
 亜由姉さんは、リュウジを妙に気に入っているらしい。ちょうど去年の今ごろ、偶然リュウジと一緒にいるときに街で遭遇したのが出会いだった。
 対するリュウジのほうは──やけに亜由姉さんを怖れている。
 まあ、リュウジは全般的に女性に弱いほうなんだけどね。

 「ねえ、ところでリュウジは今日何してるか知らない?」
 スケッチブックをめくって、3枚目にとりかかりながら亜由姉さんが訊いた。
 「リュウジ? さあ。今日は約束してないからな。家にいるかもね」
 「ハヤト、ちょっとリュウジを呼んできてくれない? あいつにも頼みたいことがあるのよね」
 「え?」
 こういうのが亜由姉さんらしいところ。一方的なのに、どうせオレにはさからう術なんかないのだ。きっとリュウジを怖れさすのはこの辺なんだろうな。
 
 「OK、了解。じゃあちょっと待ってて。呼んでくる」
 しかたなくリュウジを呼びに行こう、と単車のエンジンをかけようとしたが──
 「あ~~~、ダメ!!! 動かさないでよ」
 ──はいはい、オレは歩いて行って来ますよ。

 家まで行ってみると、リュウジは店で仕込みの手伝いをしていた。ちょうどお昼時の営業が終わったところみたいだ。
 「オス、リュウジ」
 「おお、ハヤトか。どうした? 上がってくか?」
 「いや。リュウジ、ちょっと出られるか?」
 「おう、ちょっと待ってくれな。これ包み終わるまで」
 リュウジは餃子のタネを皮にくるむ作業をしていた。さすがに手つきは鮮やかだ。

 そして、しばらくの後、オレはリュウジと肩を並べて道を戻りはじめた。
 「学校? どうしてだ?」
 「うん──リュウジに用があるって人が待ってるんだ」
 「誰だよ?」
 「ええと……知りたい?」
 「当然」
 ちょっと迷って、オレは答えた。
 「亜由姉さんだよ」
 「ええっ、本当かよ!!! 悪いなハヤト、俺は急病だぜ」
 あからさまにリュウジは逃げようとした。
 
 「リュウジ、待てよ。ここで逃げるのは得策じゃないと思う。あとがもっと怖いぜ?」
 「そうか──そうだよな」
 観念したという面持ちで、リュウジは歩むスピードを落としたものの同行してくれた。
 やれやれ、オレもあとが怖いぜ。事と次第によっては、リュウジからあとで何を言われることか。不安この上ない。

 学校に着いてみると、ひととおり単車のスケッチは終わったらしい亜由姉さんがオレたちを待っていた。
 「ただいま」
 「おかえり。わざわざ悪いね、リュウジ」
 「お──おう。久しぶり」
 すこしたじろぎながら、リュウジは右手を挙げて亜由姉さんに挨拶した。

 オレは途中で買ってきたジュースを亜由姉さんとリュウジに渡しながら訊く。
 「それで? リュウジに用って何なの?」
 「うん。あのね、リュウジ。服、脱いでくれない?」
 「何ぃぃぃ?」
 思いも寄らぬ依頼にうろたえるリュウジ──そして言葉もなく見守るオレ。

 「筋肉の付き方を研究したいのよ」
 とくに不自然な提案とも思っていないらしい口調の亜由姉さんが応えた。
 「なんかね、格闘シーンも描かないといけないらしくてさ。もちろん写真の資料は持っていないこともないんだけど、やっぱりリアルは違うでしょ?」
 「ああ、そういうことなんだ」
 「ハヤト、納得? そういうことだから、リュウジ。頼まれてよう」
 亜由姉さんはリュウジに向かって両手を合わせた。
 
 「お──俺は無闇に裸になんかなれねえよ」
 かわいそうに、リュウジはオレに助けを求める視線を投げて寄越す。
 「ま~た、そんなこと言っちゃって。どうせあんたがしょっちゅう、ボタンもとめずに着てる特攻服の中は裸みたいなもんでしょ? 何を今さら」
 「うう──」
 リュウジは言葉を詰まらせた。

 そして、やはり亜由姉さんには敵わないと観念したか、リュウジはおもむろにシャツを脱いだ。
 「これで……いいのか?」
 「うわ~、やっぱり違うね。写真とは。うん、いい感じ。ね、リュウジ、力こぶ出る?」
 「おう。こんなもんか?」
 「いいね、いいね。じゃあそのままポーズとってみて」
 「こんな感じか?」
 「うんうん。さすがいい腹筋だわ。肩もすごいや。思った通り。リュウジに頼んで正解だわ」
 「え──そうか?」
 褒め言葉を巧みに織り交ぜつつ、亜由姉さんはリュウジの体つきを次々とスケッチブックに書き付けはじめた。

 最初はかなり嫌がっていたリュウジだったが、亜由姉さんがよほどのせ上手らしく、だんだんその気になってきたらしい。文句も言わずにいろいろポーズをとっている。
 鍛え上げられたリュウジの筋肉は、オレから見ても確かに絵になると思った。

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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