目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

トラブルメーカー女史 3

 しばらくの間、モデルのリュウジは、亜由姉さんの指示に従って動きを変えたりしていた。
 「よかったあ、助かるよ、リュウジ。ハヤトじゃこんなにいい体してないもん。きっと」
 「そりゃ、なあ。鍛える方向が違うもんな。俺とハヤトじゃ」
 「まあね」
 最初こそ嫌々だったリュウジも、よほどのせられたらしく結構な上機嫌だった。

 「ほんと言うとさ、誰かと取っ組み合ってほしいんだけどな」
 「ええ?」
 「リアル格闘シーンをね、ポーズでいいから見たかったの。でも、やっぱりハヤトじゃな。ちょっと違うもんね。いいや、あとは何とかする。ありがとね、リュウジ」
 そう言って、亜由姉さんはスケッチブックを閉じた。それが仕事終了の合図だった。

 「そういえば、さっきハヤトがリュウジを呼びに行ってるときね」
 リュウジがシャツを着るのを待ちながら、亜由姉さんが思いだしたように話す。
 「いかにも悪そうな男の子2人連れが、そこのフェンスの外からあたしを呼んだの。『そのバイクの持ち主は?』って。友達呼びに行ってるって答えたらさ、うなずいてどっか行っちゃった。あの子たちはあんたたちの友達なのかな?」
 
 「ダイゴとノブオか? でも、あいつらだったら俺らを待ってるか」
 「だね。それに、ダイゴは家が忙しい時期だろうし」
 「そういやノブオは家族旅行だっけか?」
 「亜由姉さん、それ、どんな奴らだった?」
 「なんかね、紫色の髪の背の大きい子と、スキンヘッドの細い子だったな。あたしに声かけてきたのはスキンヘッドのほうね」
 それを聞いて、リュウジとオレは納得した。

 「それって──リュウジ」
 「ああ、あいつらだな」
 コウヘイとハンゾウに違いない。
 ハンゾウは、ここ数日オレを探しているようなのだ。夏休み前に一度単車勝負をしたのだが、決着がつかなかった。白黒つけたいようなことを言ってた、とどこで聞きつけてきたのかノブオに教えられた。

 「あの紫色の髪の子もいい体してそうだったよね。リュウジとの格闘シーン、是非描きたかったよ」
 「亜由姉ちゃん、そんな物騒なこと言うもんじゃねえ。俺とコウヘイが組み合ったらポーズなんかじゃ済まねえぜ」
 一段トーンを低めた声で、リュウジは言った。

 「あら、そうだったの? しまったな、あたし言っちゃったよ。あんたリュウジと喧嘩してみない、って。そしたらさ、うっすら笑ってたよ。紫色の子」
 「おいおい──亜由姉さん。あんまり洒落になってないんだけどな」
 「まったくだ」
 事情を知る由もない亜由姉さんは、誰より剛胆に思えた。さすがにひとまわりの歳の差ってもんなんだろうか。
 
 「さてと、行こうか。ハヤト」
 リュックにスケッチブックをしまい終わると、亜由姉さんが言った。
 「ん? お前らどっか行くのか?」
 「あ──ああ」
 言われて、オレは思い出した。亜由姉さんとの約束のことを。
 「うん。ハヤトとパチスロ行く約束なのよ」
 「何だと? パチスロ?」
 リュウジは眉間にしわを寄せてオレを見る。

 「リュウジも一緒に行く? モデル料として少しならおごるよ?」
 「あ、ちょっと、亜由姉……」
 「って、行くわけねえだろ!!! 俺たちまだ高校生だぞ? そんなとこに誘うなや!!!」
 「あらま──意外。リュウジって案外堅いんだね」
 「堅いとか柔らかいとか、そういうことじゃねえだろ!!!」
 ヤバい──リュウジが怒ってる。リュウジはオレがパチンコ屋に出入りしているなんて知らないのだ。

 「ハヤト、お前そんなとこ行かねえよな? え?」
 「……ああ」
 「って、ハヤト? あんた打ちたいって言ってたじゃないよ?」
 リュウジと亜由姉さんという2つの大いなる個性に挟まれて、オレは実際たじろいでいた。
 「え~と、亜由姉さん、それはまた今度」
 リュウジになるべく聞こえないように、オレは亜由姉さんに耳打ちした。多分聞こえたんだろうけど、リュウジは無言で腕組みしていた。

 どう考えたって、オレはリュウジには逆らえないんだ。
 まあ、亜由姉さんに逆らうのも同じくらい恐ろしいことかもしれないけれど──それでも、オレはどうしてもリュウジを優先すべきだと本能的に感じていた。
 辛い板挟みだなあ、オレ。

 結局、今日のところは単車で亜由姉さんを駅まで送ってから、ふたたびリュウジと合流した。
 「まったくお前ときたら、ほっとくと何しでかすかわかんねえのな。賭事なんかする暇あったら実際の勝負のこととか考えとけや。な?」
 「はい──ごもっともです」
 「ってことで、当分ハヤトは俺が監視するからそのつもりでな」
 「オス……」
 「なんだ、その声は!!! 気合い入れてけや、ハヤト!!!」
 「押忍っ!!!」
 あ~あ、皮肉なことにしばらくお預けだよ。『押忍! 番長』。

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

<< トラブルメーカー女史 4 | ホーム | トラブルメーカー女史 2 >>


コメント

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

(>y<) ぶっ!?

ハヤトが打ちたかったのは・・・番長だったのか!!!
ということでこんにちわぁ^^
あつぅ~いケンカがいつくるのかワクワクw

う~んリュウジの裸体も興味大w
もちろんハヤトのも(〃∇〃)エヘ♪

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

お姉さんたら……

>>Tohkoさま
よかったら連れてってやってください、ハヤトを番長のシマに。だはは。

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。