目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

トラブルメーカー女史 4

 亜由姉さんがオレの単車とリュウジをスケッチした、その翌日のこと。
 夜も近くなった夕方、ふたたび亜由姉さんと会うことになった。

 今から1時間ほど前、亜由姉さんから電話がきた。
 たまたまウチの店にリュウジがオイル交換をしに単車で来ていたのを知って、亜由姉さんはこれ幸いとリュウジを引き留めた。今から行くから、そのまま待っていてね、と。

 そして、今日はつなぎ服で亜由姉さんは店に現れた。
 親父と母ちゃんに挨拶してから、店先に置いてあった、オレが昨日貸してあげたメットを装着し始めた。
 「今度はさ、もうちょっと長いことリアに乗せてほしいのよ。しばらく走ってみてよ。あ、リュウジも一緒に走ってくれるでしょ?」
 「オレはいいけど──どうする? リュウジ」
 「まあ、どうせこれからひとっ走りと思っていたとこだし」
 リュウジは首をかしげて亜由姉さんを見ていた。

 「なあ、亜由姉ちゃん」
 「何? リュウジ」
 「昨日から思ってたんだが、一体どんな仕事をしてるんだ?」
 「どんな、って、しがない絵描きだけど?」
 「それは知ってるけどよ」
 「まあまあ、細かいこと言わないの。男の子なんだから。さて、ハヤト。行こうか」
 「ああ──了解」
 そして、相も変わらず言いなりのオレたちは、国道4649号線を目指して走り出したのだ。

 海沿いの国道は、夏の時期ということもあって夜も浅いうちはずいぶんと混んでいる。
 オレたちは走り始めたものの、車の数が多すぎてすり抜けすらままならない。
 「ちょっと時間が早かったみだいだな」
 「そうだな、ハヤト。こんなんじゃちっともカッ飛べねえよな」
 「一旦戻って出直そうか? 亜由姉さん、どうする?」
 「あたしはどっちでもいいけど。あ、それじゃご飯でも食べながら時間つぶそうか。昨日のお礼、まだしてなかったし」
 前方に見えるファミレスの看板を指さして、亜由姉さんはこう言った。

 「おお、亜由姉ちゃん、それ名案だぜ!!!」
 「リュウジは賛成? OK、じゃあそれで行こう」
 そんな決定に従って、オレたちは車の脇をなんとかすり抜けて、港の近くにあるファミレスに単車をつけたのだ。

 「え~と、俺はオムライスと、たらこのスパゲティと、春巻と枝豆と、それからいちご牛乳」
 席に着くなりメニューと真剣ににらめっこをしていた、リュウジのオーダーがそれらだった。
 「何よあんた、そのめちゃくちゃな頼み方は?」
 「いいじゃねえかよ。好きなんだから。ハヤトは?」
 「オレは……ビーフシチューのセットで。パンにしてください。あとアイスコーヒー」
 「あたしは、そうだな、和風ハンバーグ膳。ウーロン茶つけてもらおうかな」
 「かしこまりました。しばらくお待ちください」
 そう言ってウエイトレスさんはにこやかに立ち去る。
 
 「リュウジ、あんなに頼んで残したら承知しないよ?」
 苦笑まじりに亜由姉さんが言った。
 「残すわけねえだろ!! 俺は食い物を粗末にする奴は認めねえぜ」
 「よし、それなら納得。あたしも箸をつけたら残さない主義」
 この件で、リュウジと亜由姉さんに妙な仲間意識が芽生えたようだ。
 
 そうこうしているうちに料理が運ばれてくる。
 「あれ、ちょっとご飯多いかも。リュウジ、お皿貸して」
 「ははは、食べきれないんだ。亜由姉さん」
 「うん。だから、箸をつける前に取り分ければいいじゃない。ね、リュウジ?」
 「その通り。亜由姉ちゃん、見直したぜ」
 満足そうに言って、リュウジは春巻の載った皿を亜由姉さんに手渡した。
 「って、リュウジこそそんなに食える?」
 「当然!! 俺の胃袋は天下無敵だぜ!!!」
 「……見上げたもんだな」

 にぎやかに、なるべくゆっくりと夕飯をご馳走になったオレたちが会計を済ませたころ──もちろん総額亜由姉さんのおごりだった──、国道の混雑はだいぶ緩和されてきていた。
 「うん。空いてきたな、道」
 「さて、そろそろ飛ばしてくか!!!」
 単車にキーを差しながら、リュウジはそう言ったのだけれど。

 「ね、あそこって港? ちょっと寄ってみてもいい?」
 ほんの思いつき、とでもいった口調で亜由姉さんが切り出した。
 「別に構わねえけど、こんな時間に行っても何も面白いことなんかねえぞ?」
 「いいのいいの。ちょっと海の近くに行ってみたいだけ」
 オレの単車のリアに乗り込みながら、亜由姉さんは重ねて言う。

 「それならあとで浜へ下りればいいんじゃない?」
 「え~、夏の夜の砂浜なんてカップルとかばっかりじゃない。いいの、あたし海の男のロマンの香りを嗅いでみたいのよ」
 
 リュウジとオレは、視線を合わせて肩をすくめた。
 やれやれ、気ままな亜由姉ちゃんにはどうしても敵わないぜ──しょうがないね、寄り道するか──一瞬目顔で語り合って、オレたちは港へ向けてハンドルを切った。

 その亜由姉さんのほんの思いつきってやつが元凶なのだ。それは今日に始まったことではない。
 どんなに彼女がトラブルメーカーであるか、をオレたちが理解したのは、わずか数分後のことだった。
 

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

<< トラブルメーカー女史 5 | ホーム | トラブルメーカー女史 3 >>


コメント

なんかわかるぅ~

>オムライスと、たらこのスパゲティと、枝豆と、それからいちご牛乳

リュウジ頼みそう(笑)いちご牛乳好きなんですよね!
おごりと聞いても、ちっとも遠慮しないで 頼みまくる
そんなリュウジが好き♪

単車の後ろって乗ったことないんですよねぇ。
一度乗ってみたいなー。
昔、弟が単車持ってたけど・・・弟と乗っても・・・ねぇ・・・
ハヤトォ、お願いしますッ! 

いちご牛乳

>>ピノコさま
リュウジといちご牛乳、やたらと似合う気がしませんかww
わたし先日、鬼浜でハマったとき、飲んでみましたよ。いちご牛乳。
飲み終わるまでに解除しました('-^*)/

>単車の後ろって乗ったことないんですよねぇ。
わたしもないです。つーか、ムリです。怖いから。
自転車の後ろもダメです。全身に力が入っちゃいます。
だって前が見えないんだもの……。

>ハヤトォ、お願いしますッ!
お~、勇気ありますね!! きっとめちゃ速いですよ?
そんなふうに言ってもらえて、きっと彼も喜ぶことでしょう :*:・( ̄∀ ̄)・:*:
 

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。