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トラブルメーカー女史 5

 元をただすなら昨日、鬼浜工業高校の校庭で、オレとリュウジが戻る前に亜由姉さんがあいつらと遭遇してしまったことが元凶だったらしい。
 
 亜由姉さんにせがまれて、リュウジとオレは単車を並べて港へと向かった。港の入り口の道路沿いに単車を停めると、亜由姉さんは嬉々として小走りに港の突端へと進んでいった。
 人気もなく、ろくに灯りもない、海に向かってせり出しているコンクリートの道の行き止まり。ちいさな釣り船がいくつか停泊している。
 
 「わ~、いいね。潮の香り」
 海風に髪をなびかせながら、亜由姉さんが満足そうに言った。
 「そうか? 俺らは嗅ぎ慣れてるからどうってことないけどな、ハヤト?」
 「まあね。でもオレも好きだな、海の匂いは。なんか落ち着く」
 なんて、暗い中で波の音を聞いていた。

 と──急に爆音が波の音を掻き消した。
 同時に暗がりに差し込んだ、強い灯りがオレたちの顔を照らし出す。
 「あれ、誰か来たね」
 亜由姉さんは気楽な口調で言ったのだが──リュウジとオレは咄嗟に身構えた。
 
 聞いたことのある、改造マフラーの奏でる爆音。見たことのある、デコレーションを施した車体のシルエット。
 「ほう、招かれざる客がおいでなすったな」
 「まったくだ」
 「誰なの? 知り合い?」
 音と灯りのほうを見ていると、思った通りの単車の姿がふたつ、オレたちの前にくっきりと輪郭を現した。

 「こんなところにいようとはな」
 エンジンをかけたまま単車をオレたちの前に停め、コウヘイが不敵な笑いを浮かべて言った。併走してきたハンゾウもそれに倣う。
 「ふん、俺らがどこにいたって関係ねえだろ」
 「そう吠えるな、リュウジよ。今日は貴様に用はねえ」

 応えながらつと目線をずらし、コウヘイは亜由姉さんを認めた。
 「ほう、きのうの姉さんじゃねえか」
 「あら、どうもこんばんは」
 亜由姉さんは──肝が据わっているというか、ごく普通に顔見知りにするかのような返事をする。

 「なあ、姉さん」
 「なあに?」
 「姉さん、昨日俺とリュウジの勝負を見てみたいって言っていたよな?」
 「ええ、言ったわよ。仕事で使う資料としてね」
 「お、おい、亜由姉ちゃん」
 大胆不敵な亜由姉さんの言葉をリュウジが遮ろうとする。コウヘイはリュウジと亜由姉さんを交互に見ていた。

 「コウヘイ、今日はリュウジには用はないんじゃないのか?」
 仕方なく、オレは3人の間に割って入った。
 「今日はハンゾウがオレに用事なんだろ?」
 見やるとハンゾウは、コウヘイの横で黙ったままオレを凝視している。
 
 数日前からハンゾウがオレを探していたこと──オレに単車勝負を仕掛けたくてうずうずしているらしいことをオレは知っていた。
 「だったらリュウジも亜由姉さんも関係ない。因縁つけるなよ」
 「貴様は黙れ。貴様の相手は俺ではない」
 「その通り。俺が相手だ、ハヤト」
 一歩前に出て、ハンゾウは顎を上向けてオレを挑発する。

 「とは言え、客がおいでならばおのずと話も違うよなあ、リュウジよ」
 「────」
 どうしたものか、との逡巡からか、リュウジは何も答えない。

 リュウジに取って代わるように、オレは言った。
 「とにかくオレは受けて立つぜ、ハンゾウ。それでいいだろ?」
 「望むところだ。総帥、お先に失礼」
 「おお、存分に闘って来い、ハンゾウ」
 コウヘイとハンゾウが頷きあった。そして、思いついたようにコウヘイは口を切る。

 「そうだな、この勝負、うちのハンゾウが勝ったら第2試合は俺の好きにさせてもらおうか?」
 「好きなように、とは?」
 オレはコウヘイに聞き返す。
 「俺が望むのは常に闘いだ。よって、俺はリュウジと一戦交えることにする」
 
 ああ、なんという展開だろう。オレは闘いの予感で数日を過ごしてきたが、少なくともリュウジのほうはそんなつもりではなかったはず──亜由姉さんは一体どんな星の許に生を受けたのか。
 
 「じゃあ、オレが勝ったらどうする?」
 「その時は、リュウジが好きなようにするさ。もっともそっちの姉さんの希望もあれば、多数決じゃねえのか、え、リュウジ?」
 「ふん、無意味に闘って勝ったって俺はうれしくねえな」
 「では、姉さんは?」
 「あたしは──ハヤトが負けるわけないって思うよ」
 「OK、オレは負けねえさ」
 
 そしてオレは、リュウジと亜由姉さんに親指を立てて見せながら、肩で風を切るようにして単車まで戻った。
 後ろからハンゾウが、単車を転がしてついてくる。

 闘いの気概に満ちたオレの背中を、リュウジの魂と亜由姉さんの激励が追ってきた。
 「ハヤト!!! ここは俺が守る。だからお前は勝負のことだけ考えて集中しろや!!!」
 「あんた、怪我すんじゃないわよ。男の子だもん、決めるところは決めてよね」

 それへオレは振り向かないまま、手だけ振って応えたのだ。
 オレに任せておいてくれ──と。

 海からの風が、リュウジの平手の代わりにオレの頬に気合いを入れてくれていた。

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コメント

初対面!!!

華丸でございます。
自己レスで恐縮です。

本日、初めてあの方にお逢いできました!!!
伝説の、あの人です!!!

【別宅】でそんなネタを書いてみました。
よろしければ、下記URLから飛んでみてくださいな('-^*)/

祝w あのおかたw

華丸さまぁ~ おめでとうございますw
なんか自分のことのようにうれしくなりカキコしてしまいました。。。
【別宅】さまへもブッこんで。。。いやいや、カッとんでみますのでそちらでもよろしくお願いいたしますw

ハヤトへw
ハンゾウにまけちゃいやぁぁぁ(><)xxxx

Tohko姉さん!!

オレ、がんばりますんで応援してください!!

嵐の予感・・・

ついに単車対決ですねッ!うちのハヤトは弱いけど
華丸さんとこのハヤトには勝ってほしわん♪

あ、別宅もおじゃまさせてもらいますぅ。
そちらのほうもリンクしちゃっていいですか?
実戦ネタは別宅で語らせてもらいます(笑)

対決!!

>>ピノコさま
そちらのハヤトは弱いですか?
ウチの子たちは、やっとだんだん育ってきました。最近とくにダイゴが。

>そちらのほうもリンクしちゃっていいですか?
恐縮です!!! 小ネタでつないでいるだけなので、なんか恥ずかしいですけど、よろしければお願いいたします。

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