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トラブルメーカー女史 6

 スタート地点は港の入り口──オレとリュウジが単車を停めていた場所だ。
 ここから始まる今夜のオレとハンゾウの単車勝負のルートは、国道4649号線を北上して、鬼川を過ぎたところで鬼浜町に入る。商店街を抜けて、鬼浜工業高校の裏手を回ってふたたび国道へ。南下してスタート地点まで戻り、最後の直線走行。そしてゴールラインは港の行き止まりということになった。

 時刻はそろそろ21時。国道の混雑もなくなったので、オレたちは頻繁にすり抜けをしたりせずに勝負できるだろう。
 もっとも、ときどきすり抜けをしないとならない状況のほうが、技術にモノを言わせた走りができるということもあるのだが。

 「それじゃ行こうか」
 2台のエンジン音が絡み合うように響く中、オレはハンゾウに声をかける。
 「ああ。俺はこの瞬間を待っていた」
 応えたハンゾウの目は、すでに遠く前方を見据えていた。
 どちらの声も冷静を装っていたが、最大の好敵手との闘いを控えて、本当の気持ちは熱く滾っているはずだ。少なくともオレはそう。

 スタートの合図はコウヘイだ。
 「用意はいいな」
 無言で頷くオレとハンゾウ。コウヘイの隣りにはリュウジ、さらにリュウジの後ろに亜由姉さん──リュウジが亜由姉さんを背後にかばうような素振りを先程から見せている。さすがに頼もしいのでオレも安心だ。
 
 コウヘイが愛用の木刀を振りかざす。
 「Ready──Go!!!」
 そして──勝負が始まった。

 スタートから先行したのはハンゾウだった。
 好機があればいつでも抜けるように、ぴったりとハンゾウのすぐ後ろにつけて、オレもアクセルをふかす。
 途中、信号の変わり目で振り切られそうになるも、巧いこと加速が決まってなんとかセーフだ。
 
 夏の海沿いの国道は、思ったよりも交通量があった。本当は勝負をするにはもう少し遅い時間のほうがよかったのかもしれない。
 軽自動車が数台連なっているのを見据え、オレは車線の内側へ回って追い越しをかけた。
 ここで車線外側のハンゾウと並んだ。
 
 その先は折良く信号が青に変わったばかりだったので、しばらく先まで車はまばら。オレはここぞとさらに加速する。
 当然ハンゾウも同じで、並んで疾走するオレたち2台は、間に火花を散らすかのごとく国道を行く。
 爆音の中での無言の闘い──そんな緊張感がオレは好きだ。背筋がぞくぞくするほどに。

 現在のところ、勝負は完全に互角。
 抜きつ抜かれつの熾烈な場所取りを繰り返しながら、オレとハンゾウは鬼川を渡る。
 鬼浜町に入るために左折したところでオレは勝負に出た。
 最大限にスピードを保ちつつ角を曲がることに成功したオレは、ついにハンゾウに対して車体1台分のリードを得た。

 夜の商店街は人気がなく、速度を稼ぐにはお誂え向きだ。
 路駐の車をうざったいなと思いながら、オレはひたすらマシンと一体化する。
 すぐ後ろに迫ってきているハンゾウの息づかいが聞こえるような錯覚に陥りながら、鬼工の裏手を駆け抜ける。

 そして、ふたたび国道へ。
 さっきオレが仕掛けたのと逆に、背後から迫ってくるハンゾウに先行を許す羽目になる。
 奴の背中がオレを見ている。
 抜かれたら抜かれたで、オレの闘志はより盛り上がる。
 今度は行かせやしない、とすかさず前に出て、ハンゾウのコースをふさぐように寄せていく。
 
 まばらな台数の車をうまくあしらいながらの、オレとハンゾウの熾烈なぶつかり合い。
 ぶつけ合うのは『最速』の意地と──『特攻隊長』のプライドだ。
 だから、どっちも引くわけがない。

 オレは、オレ自身のために走っているのではない。
 鬼浜爆走愚連隊の特攻隊長として──リュウジの脇を固めるひとりとして、時には危険をも省みずに走る。おのれ自身のすべてを賭して。
 
 そしてそれはおそらく、ハンゾウも同じだと思う。
 以前に、初めてハンゾウと勝負をしたのは『個人』としてのことだった。
 その時から幾歳月。互いにチームの特攻隊長を任されるようになってからのオレとハンゾウの勝負は、昔とは魂の入り方が違う──オレはそう感じている。
 
 いよいよ勝負は大詰めだ。
 さっきリュウジと亜由姉さんと共に食事をしたファミレスの前を通り過ぎた。
 オレは先行を許すまいと車体をハンゾウに寄せ、ハンゾウはタイミングをはかってすり抜けようとし──

 ついに勝負は最後の直線まで縺れ込んだ。
 最後の角を曲がって、同時にスパートを掛ける体勢に入ったオレとハンゾウは、もう互いに邪魔だてすることもせずに、決死のストレート勝負にすべてを賭ける。

 ゴールまであと200m。港の突端でオレとハンゾウを待つ3人の姿が見えた。
 あとはもう、まっすぐ前を見て駆け抜けるのみ。
 オレの背後に風神様が降りていらっしゃるのをオレは祈って──息もつかずにエンジンにすべてを託したのだった。

テーマ : パチスロ - ジャンル : ギャンブル

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コメント

ドキドキ><

ハヤトあとちょっとぉぉぉ~><
ハンゾウこけて(笑)

華丸さまw
お誕生日おめでとうございますぅw
あれ?まだでしたか?w

だはははは

>>Tohkoさま
>ハンゾウこけて(笑)
すごいウケました。笑いが止まらないです。マジでツボです!!!
次に打つときはそう念じて勝負のゆくえを見守ります!!! ……きっと笑うな。

え~、ちなみにわたしが翔さまと同い年になるのはあと1か月と半分の後でございます(^^)

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