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てのひらに熱情を 4-2



 すっかり酔っぱらった親父が寝床へ引き上げたのを潮に、オレはテツを散歩に誘った。
 「こっちのほう、やっぱ暖かいなー」
 肩を並べて夜道歩き出すと、テツが伸びをしながらそう言った。街路灯にテツの金髪が輝いてる。
 「美山瀬はまだ寒いんだ、夜」
 「うん。こっちよりは冷えるね。山だから」
 テツの地元は山のほう。ダム湖のある観光地だ。オレはそこで、はじめて自分と同じような立場の仲間――美山瀬烈風隊の特攻隊長・テツと出会った。それが秋のこと。
 そういえばふたりだけで一緒にいるのって、初めてのことだった。
 「ハヤト、髪伸びたね」
 「そう。オレもさっき思った。そろそろ切ろうかな、って」
 「いいんじゃないのー? そのままでも。おれもしばらく切ってないし。トップは自分で切っちゃうけどね」
 「え。そうなんだ。それ、自分でやってるんだ。器用だな、テツ」
 「だって、面倒だし。床屋とか。ブリーチも自分でやってるしね」
 逆毛を立てたトップに手をやって、テツはえへへ、と笑ってた。

 オレはコンビニにでも行こうと思って家を出たんだけど、一番近いコンビニは話しているうちに通り過ぎてきてしまった。
 それから数軒同じようにスルーして、気づいてみたらいつもの河川敷まで来ていた。
 「うわ、川だ」
 「こんなとこまで来ちゃったな……惰性っておそろしいね」
 「あれ、なんだ。ここへ来るつもりじゃなかったんだ、ハヤト」
 「うん。ちょっとコンビニでも、って思っただけなんだけどね」
 「うはは。そうとは知らずについて来てたなー」
 まあいいか、と笑いあって、土手を降りてみることにした。
 「ここって集会所だろ? ハヤトたちの」
 「うん、そう。わかるんだ?」
 「まあねー。こう、雰囲気で」
 
 土手の斜面は、それなりに草が生えはじめていた。青臭い匂いがして、座ってみたらしっとりと露に湿っている。
 「そういえば、ハヤト」
 「なに?」
 「言いたくなかったらべつに聞かないけどさ。もしかして、リュウジと何かあった?」
 「あ――わかる?」
 「わかる、ってゆーか。仮病なんだろ?」
 そうだった。オレが仮病だって、テツは知ってるんだった。
 
 ポケットからガムを出して、オレに勧めてくれながらテツは言った。
 「リュウジってハヤトにべったりじゃん? いつも」
 「あはは。珍しいこと言うな」
 「そうかなー? でも、おれにはそう見えるけどな。リュウジって、なにかとハヤト、ハヤト……じゃない?」
 「そればっかりでもないと思うけど……」
 でも、言われてみれば完全に否定できる感じじゃないかもしれなかった。
 「まあ、きっと呼びやすいんだよ。オレの名前が」
 「うはは。そっかー。そういう理由なんだ」
 あえてそれ以上テツは突っ込んでくる気はなさそうだった。
 テツにそういうふうに見られていたんだ、ってオレはしばし考えた。
 そう見えるってことは、リュウジはそれなりにオレを信頼してくれてるのかな。
 
 「テツ」
 「んー? なに?」
 「オレさ、ちょっと話していい?」
 「どうぞどうぞ。好きなだけ」
 渡りに舟、ってこういう気分のことを言うんだろうな。
 昨日からの複雑な気分を誰かに話してわかってもらおう、なんて、今の今まで思っていなかったんだけど。
 ノブオは置いといて、どんな話でも受けとめてくれるはずの頼れるダイゴにも話したい気分じゃなかったのは、きっとオレ自身がわかっているから。自分がみっともないだけだ、って。
 「格好のいい話じゃないんだけどさ」
 「いいんじゃない? おれにかっこつけてもしょうがないだろ」
 ああ――そうか。テツには格好つける必要ないんだ。
 今日テツがここにいるのはきっと神様が仕組んでくださったんだな。



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【鬼浜魂疾走編 登場人物紹介】

☆ハヤト:このおはなしの語り手
鬼浜爆走愚連隊・特攻隊長
単車勝負が得意 実家はバイク店
一般評=クールなモテキャラ リュウジ評=とぼけた奴 趣味は昼寝

☆リュウジ
鬼浜爆走愚連隊・初代総隊長
喧嘩も単車も最強 実家はラーメン店「昇龍軒」
人情派で人望篤い 女子にめっぽう弱い 実は寂しがり屋の一面も

☆ダイゴ
鬼浜爆走愚連隊・親衛隊長
喧嘩勝負が得意 実家は鬼浜寺
寡黙で頼りになる存在 柔道の使い手 精神世界にも精通

☆ノブオ
鬼浜爆走愚連隊・若手
喧嘩も単車も修行中
総隊長リュウジを誰よりも慕う 打たれ強さは比類なし

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★コウヘイ:暗黒一家・初代総帥
★ハンゾウ:暗黒一家・特攻隊長
★ゴンタ :暗黒一家・親衛隊長
★タカシ :暗黒一家・若手

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◇テツ
美山瀬烈風隊・特攻隊長
海辺の鬼浜町から40kmの距離を地元とする隊の一員
隊での立場が似ているため、ハヤトとは気の合う仲間
 登場するおはなし
 → 湖畔に吹く烈風 ←
 → 烈風、南へ ←
 → 贈り物を心より ←

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