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てのひらに熱情を 5-2



 さすがにちょっと冷えたから、と言って、テツは土手を上がっていった。
 戻ってきたときにはあったかい缶コーヒーを持ってた。1本をオレに投げてよこしながら言った。
 「それで? ハヤトはどうしたいと思ってる?」
 「どう――って」
 口ごもるオレを、テツは待ってくれている。掌の中であったかい缶を転がしながら。
 
 オレも同じようにしながら考えているところ。
 確かにオレだって、手出ししたくなる瞬間っていうのはある。暗黒一家の無法っぷりには、リュウジじゃなくても怒り心頭の心持ちになるわけだし。
 いつでも事態が単車勝負に切り替わったときにだけオレの存在意義があるのが現状。
 ただ――オレだけがそれでいいんだろうか、って実はずっと思っていたらしい。今それを知ったところのオレは、やっぱりとぼけた奴に他ならないのかも。
 やっと絞り出した苦し紛れの答えがこれだった。缶のふたを開けながら言葉にする。
 「前向きに、リュウジの脇を固めたいと思うな、オレ」
 「うん。いいんじゃない、それで」
 言いつつテツが、自分もふたを開けた缶をオレに差し出した。乾杯――ってことか。

 テツの買ってきてくれた缶コーヒーは、唇から胃までの経路を滲みるようにあっためてゆく。うん、心臓の近くを通ってった、今。
 「だからー。そんな深刻そうな顔するなってば、ハヤト。おれ、そうゆうの得意じゃないからさ。ってゆーか、おれ、聞き役そのものに慣れてないって話」
 「あはは。そうか。テツってよくしゃべるもんな。悪かった」
 「まあ、たまにはいいよ。たまーには、ね」
 きれいにブリーチされているテツの長髪が、川からの風に揺れていた。

 パズルのピースがすとん、と、まるで音を立ててはまる瞬間みたいなやつを味わったオレは、ふと思ったことを訊いてみる。
 「ところでテツって、喧嘩強かったりする?」
 「ええっ。おれ――ああ、まあね。多少の心得は……まあ」
 つんつんに逆毛を立てた頭のてっぺんをを掻きながら、テツが答えた。
 「うん。それなりにはね。ヤらないほうじゃない。どっちかって言ったら」
 「そうか。そのほうが自然だよね。隊長のそばにいる者としては。タケルも心強いって思ってるんだろうな」
 「いや……まあ。そのう」
 やるなあ、っていう賞賛だけを用意していたオレだけど、テツの感じがさっきまでと微妙に違って伝わってきた。
 「あれ? なんかまずかった? だったらごめん」
 「いや、そういうんじゃないんだけどね」
 ええと――って感じで、テツは次の言葉を選んでいるような気配。
 
 ひと呼吸の間をおいて、テツがこう続けた。
 「ってゆーか、ハヤト。昼間さ、不自然に思わなかった?」
 「ん? 何を?」
 「今日って平日だろ? おれがなんであんな時間にハヤトんちにいたんだろ、って」
 「ああ、今日って平日だったんだっけ。忘れてたよ。オレ、学校サボってたから」
 「わはははは。そっか。同罪だったんだっけ」
 「同罪……ってことは、テツも? 仮病?」
 「あー、それはちょっと違うかも。おれは早退だから」
 「あはは。どっちにしても大差ないってことか」
 「んー、そうかもしんない」
 
 わざわざそれを持ち出すってことは、きっとテツも何かあるんだろう。
 『それで?』と視線だけで訊いてみる。テツが言いたくなければ見なかったことにすればいいだけだから。
 頷いたテツは、オレの視線への答えを用意したらしい。
 「それにもさ。ちょっとばっかり理由があって」
 「うん」
 こんどはテツの言葉をオレが待つ番。
 「今日さ。学校で――」
 テツが何か言いかけたとき。
 河川敷の土手に陣取ったオレたちの真上、川沿いの道路の海側のほうから、ふたつの爆音が絡み合って近づいてきたのに気づく。
 視線をテツから逸らして上に向けると、次第に大きくなってくる単車のシルエット。
 「あれ? ノブオか――?」




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【鬼浜魂疾走編 登場人物紹介】

☆ハヤト:このおはなしの語り手
鬼浜爆走愚連隊・特攻隊長
単車勝負が得意 実家はバイク店
一般評=クールなモテキャラ リュウジ評=とぼけた奴 趣味は昼寝

☆リュウジ
鬼浜爆走愚連隊・初代総隊長
喧嘩も単車も最強 実家はラーメン店「昇龍軒」
人情派で人望篤い 女子にめっぽう弱い 実は寂しがり屋の一面も

☆ダイゴ
鬼浜爆走愚連隊・親衛隊長
喧嘩勝負が得意 実家は鬼浜寺
寡黙で頼りになる存在 柔道の使い手 精神世界にも精通

☆ノブオ
鬼浜爆走愚連隊・若手
喧嘩も単車も修行中
総隊長リュウジを誰よりも慕う 打たれ強さは比類なし

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★コウヘイ:暗黒一家・初代総帥
★ハンゾウ:暗黒一家・特攻隊長
★ゴンタ :暗黒一家・親衛隊長
★タカシ :暗黒一家・若手

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◇テツ
美山瀬烈風隊・特攻隊長
海辺の鬼浜町から40kmの距離を地元とする隊の一員
隊での立場が似ているため、ハヤトとは気の合う仲間
 登場するおはなし
 → 湖畔に吹く烈風 ←
 → 烈風、南へ ←
 → 贈り物を心より ←

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コメント

どもども!こんちはっ!(^0^)ノ

およよ?
テツも、もしかしてもしかすると…?
一体学校で、何があったんでしょうねぇ…
気になります、ハイ…。(´Д`;)

ノブオがついに登場ーー!
ふ、ふたつの爆音…と言うことは、もう一人は一体?!
鬼爆の者?それとも――

>鬼ムチコさま

ども~(*^ー^)ノ

テツもね~。
まあ、同類ですからね。ハヤトと(´∀`)
たぶん前世は兄弟ですから。
なんちて^^

そういえば……今回、ノブオここで初登場でしたねw
出てきた人数少ない。だはは。

さあ――もうひとつの爆音の主。
お楽しみくださ~い♪

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