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麗しき白薔薇の素顔 9-1



 「五月蝿いぞ、鬼工の女子。少しは黙ったらどうなのだ?」
 「あら、それは失礼しました。暗黒の大将」
 千晶ちゃんは艶やかな笑顔を、狙ったようにコウヘイに向ける。それは思った通り効果的だったようで、コウヘイは言いかけた何かを飲み込んだような表情を見せた。

 千晶ちゃんが話したのはこんなことだった。
 白鳥先生と一緒にここ――商店街の路地まで来たときに、コウヘイとハンゾウに因縁をつけられている鬼工の1年生がいたんだそうだ。
 何でも、すれ違いざまに手が触れたとか何とか言って揉めていたんだ、とか。
 それに目を止めた白鳥先生がコウヘイたちに向かって立ちはだかったらしい。
 曰く――私の可愛い生徒に何をしているのだ、というよりもその制服は暗黒水産のものだな? ということは君達は暗黒水産の生徒、ということは私の敵である――と。

 「おい、コウヘイ」
 「何だ? やる気か、リュウジよ」
 好戦的な笑みを唇の端に浮かべたコウヘイには、リュウジは応えなかった。
 「それから白鳥先生もだ。この鬼浜町商店街で事を構えようなんて思うんじゃねえ。ここは俺の生まれ育った『家』みたいなとこなんだぜ? だからここで好き勝手に喧嘩騒ぎを起こすのは、断じて俺が許さねえんだよ!!!」
 リュウジは声を荒げてそう放った。通りかかった野良猫が驚いて走り去る。
 「そのような甘い道理が通るとでも思っていやがるのか、貴様は」
 「通る、じゃねえぜ、コウヘイ。俺が『通す』って言ってんだ。ちゃんと言葉を理解してねえのはそっちじゃねえか!!!」
 「屁理屈など聞きたくもねえなあ」
 忌々しそうにコウヘイが低く言った。
 「私もだ。リュウジ君がなんと言おうと、私にも通すべき信念があるのだ」
 それに続けて白鳥先生はいつもと変わらない涼しげな表情に、不似合いな強い言葉を交ぜて腕を組む。

 「――お前ら、いい加減にしやがれ!!!」
 三つ巴で一触即発みたいな空気が流れた。
 白鳥先生はコウヘイをにらんでおり、コウヘイはリュウジを見据えており――
 そしてリュウジはオレを見る。
 「ハヤト。千晶ちゃんと1年を連れて下がっててくれ。このままじゃ埒があかねえ」
 「OK」
 オレはリュウジに頷き返して、かわいそうに騒ぎに巻き込まれた1年生君の肩を叩く。
 1年生君はオレを見て、それからリュウジに敬意を払うように深く一礼をした。
 「千晶ちゃん、ここはリュウジに任せよう」
 そしてオレは千晶ちゃんを振り返る。
 「さあ、行こう」
 「待って、ハヤト。熱くなってる野郎どもだけをここに残して行くのはよくない」
 千晶ちゃんはオレだけに聞こえる声量でまずそう言うと、次によく響く声を張った。
 「白鳥先生、行くよ?」
 「千晶君、悪いがそれは出来ない」
 「もう、白鳥先生、自分の立場わかってんの? こんなところで他校生ともめたりしたらまずいでしょ? いま何をするために鬼浜町にいるのよ?」
 「それは解っているさ、千晶君。だが、この者は私のポリシーに――」

 白鳥先生が言葉をすべて言い終わる前に、千晶ちゃんが動いた。
 オレと1年生君の真ん中を突っ切って、リュウジの横をすり抜けて。
 コウヘイの真っ正面にいた白鳥先生の腕に手を回したんだ。
 「先生。正義や信念より大事なことの最中じゃないの、あたしたち。せっかく今まで楽しくデートしてたのに。そんな無粋な人だと思わなかったな、リュウジじゃあるまいし」
 「な…………」
 「うん?」
 「女子――貴様」
 三つ巴の者どもは、それぞれにあっけにとられた顔をする。
 ただひとり、千晶ちゃんだけが勝ち誇った顔をしていた。
 なるほど、そういうことか――オレは千晶ちゃんに、心の中で賞賛の拍手を送った。




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【鬼浜魂疾走編 登場人物紹介】

☆ハヤト:このおはなしの語り手
鬼浜爆走愚連隊・特攻隊長
単車勝負が得意 実家はバイク店「魔速商会」
一般評=クールなモテキャラ リュウジ評=とぼけた奴 趣味は昼寝

☆リュウジ
鬼浜爆走愚連隊・初代総隊長
喧嘩も単車も最強 実家はラーメン店「昇龍軒」
人情派で人望篤い 女子にめっぽう弱い 実は寂しがり屋の一面も

☆ダイゴ
鬼浜爆走愚連隊・親衛隊長
喧嘩勝負が得意 実家は鬼浜寺
寡黙で頼りになる存在 柔道の使い手 精神世界にも精通

☆ノブオ
鬼浜爆走愚連隊・若手
喧嘩も単車も修行中
総隊長リュウジを誰よりも慕う 打たれ強さは比類なし

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★コウヘイ:暗黒一家・初代総帥
★ハンゾウ:暗黒一家・特攻隊長
★ゴンタ :暗黒一家・親衛隊長
★タカシ :暗黒一家・若手

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◇千晶ちゃん
ハヤトとリュウジの同級生
本当の性別は男子ながらも、見た目も心も乙女な鬼工のアイドル
コウヘイは千晶ちゃんを女子と信じ続けており、恋している模様

 《千晶ちゃん初登場》
  → 本編/叢中に咲く一点の紅い花 ←
  → 承前/アイドルの放課後 ←
 《ハヤトが千晶ちゃんをサポートをする件》
  → 本編/歌と和弦の日々 ←
  → 承前/不器用な特攻隊長 ←
 《コウヘイが千晶ちゃんを想う件》
  → 本編/贈り物を心より ←
  → 承前/特別な日ではなく ←

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コメント

(*^-^)ノ コンチャ♪

あらまぁ…!∑(・∀・ノ)ノ
コウヘイも黙る、千晶ちゃんのステキな笑顔w
それに、先生とデート宣言をするなんて…!
呆気に取られた、特にコウヘイの顔が目に浮かぶようです☆

しっかし、手が触れたくらいで因縁つけるなんて…
コウヘイ達も何というか^^;

>鬼ムチコさま

ども~(*^ー^)ノ

コウヘイ、どんな情けない顔してたんでしょうね~w
あんな極悪非道でも、なんかかわいかったりします^^
意外と純粋で思いこみが激しいあたりが。だはは。

>しっかし、手が触れたくらいで因縁つけるなんて…
ほんとですよね~!!!
まったく、血の気の多いヤツだ。
鬼浜町って物騒ですな(´∀`)
 ↑
無責任w



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