目次

過去の記事をまとめて表示できるようにしてみました。 【 】がついている項目をクリックすると、それぞれのタイトルの記事を一括でお読みいただけます。 【 】内の数字が若い順に古い記事となっております。 【 】内の冒頭数字が同じものはそれぞれ対になるおはなしです。

これまでのおはなし

全タイトルを表示

御来訪感謝

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

6月20日 1-2



 そのときの喧嘩勝負は互角の引き分けだった。というか、決着がつく前に土手の上から自転車に乗ったお巡りさんの制止の声が響いて、それを潮にコウヘイたちは引き上げていったんだった。
 折しも降り出した小雨の中で、リュウジは悔しそうに唇をかんでいた。
 「ちきしょう。あと一撃であいつを倒せたはずだぜ」
 これが、鬼浜工業のリュウジと暗黒水産のコウヘイとの初戦――ある意味では事のなれそめだった。

 このときからリュウジの脳には紫色の強いオーラを持つ男・コウヘイがインプットされたようだ。
 コウヘイの方は以前からリュウジに因縁を持っていたらしい。そのこと自体にリュウジが気づくのは、さらにもっと月日が経ってからのことだったけれど。
 
 ――あのころのオレは、今よりずっと漫然と日々を過ごしていたと思う。
 少なくとも、学校なんて適当に顔を出して、適当に授業を受けて、適当にやっていればどうにかなるだろう、なんて考えてたような。
 我ながら、気合いの「気」の字もなかったんだけど――いつしかリュウジに引っ張られるような格好で、ちょっとずつ変わっていったんだ。

 リュウジが河川敷でコウヘイと相見えた数日後のこと。
 たしかその日は朝から弱い雨が降り続いている、気の滅入る天気の日だった。
 そのころには、朝はリュウジが遠回りしてオレを迎えに来てくれて一緒に登校するのが日課になっていたから、オレはどうにか遅刻もサボりもしない生徒になっていた。まあ、ときどき「脱獄」することくらいはあったけれど。
 朝のホームルームで、1年のときにも担任だった赤ジャージが出席を取り終わったときに、ひとりの級友が教室に入ってきた。
 がらりと音を立てた教室後方の扉を見やると、入ってきた級友は開襟シャツとズボンをを泥だらけにしていたんだ。しかも、雨のせいだろう。随分濡れてもいた。
 「どうした? 途中で転びでもしたのか?」
 「いえ、先生。なんでもねえっす。通りすがりのトラックに水跳ねられただけっす」
 級友はその場をそう言って切り抜けたけれど、赤ジャージが出席簿を持って教室から出たあとにリュウジに問われてこう答えていた。
 「中西、どうかしたのか? やけに汚れてるじゃねえか」
 「これな。なんか知らんけど、他校の奴に突然言いがかりつけられてよぅ。んで、こっちも黙ってるのが癪に障ると思ったんで、ちっと手ぇ出してな。挙げ句に返り討ちって話」
 「他校って――まさかと思うけど、暗黒水産か?」
 「あれ、リュウジ、わかるんか? それ当たり。暗黒水産の紫色のアタマの奴だ」
 「……奴、だな、ハヤト」
 「うん。そうみたいだね」
 「え。リュウジたち、知り合いなん? あの人相悪い奴と」
 「いや、知り合いってわけじゃねえけど。な?」
 「うん。少なくともこっちは知らないもんな」
 オレはリュウジと顔を見合わせていた。

 「とにかく、ここんとこ鬼浜町ってけっこう物騒なんだよな。俺は心得なくもないんで大丈夫だけどよぅ、そうでもない奴が巻き込まれると厄介だしな」
 級友の中西は、言いながら泥だらけのシャツを脱いでジャージに着替えている。
 そんな彼を見ながらリュウジがひとりごとのように言う。
 「ちきしょう、奴――何を考えていやがるんだ」
 このときオレは初めて見た。リュウジの燃えさかる何かを秘めた表情を。
 おそらく次に奴と会ったときにはただでは済まないんだろうと簡単に予想がついた。
 そして、ただでは済まないだろうその場にオレも居合わせるんだろうとごく当たり前のように予感していた。



にほんブログ村 スロットブログへ

===============================

【鬼浜魂疾走編 登場人物紹介】

☆ハヤト:このおはなしの語り手
鬼浜爆走愚連隊・特攻隊長
単車勝負が得意 実家はバイク店「魔速商会」
一般評=クールなモテキャラ リュウジ評=とぼけた奴 趣味は昼寝

☆リュウジ
鬼浜爆走愚連隊・初代総隊長
喧嘩も単車も最強 実家はラーメン店「昇龍軒」
人情派で人望篤い 女子にめっぽう弱い 実は寂しがり屋の一面も

☆ダイゴ
鬼浜爆走愚連隊・親衛隊長
喧嘩勝負が得意 実家は鬼浜寺
寡黙で頼りになる存在 柔道の使い手 精神世界にも精通

☆ノブオ
鬼浜爆走愚連隊・若手
喧嘩も単車も修行中
総隊長リュウジを誰よりも慕う 打たれ強さは比類なし

===============================

★コウヘイ:暗黒一家・初代総帥
★ハンゾウ:暗黒一家・特攻隊長
★ゴンタ :暗黒一家・親衛隊長
★タカシ :暗黒一家・若手

===============================

◆関連するおはなし
 リュウジとコウヘイが初めて対決したときの件
  → 本編/自転車狂詩曲 ←
  → 承前/新米教官の自尊心 ←

===============================
 

<< 6月20日 2-1 | ホーム | 6月20日 1-1 >>


コメント

( ・ω・)ノコンチャー♪

こう、読んで思ってたんですが。
コウヘイも、当初からかなりの悪だったんですねぇ…
いきなり、鬼工生に言いがかりをつけるなんて。
って言うか、現在の方がちょっと大人しめ?
なんちゃって。f^^;)

>鬼ムチコさま

ども~(*^ー^)ノ

コウヘイは、最初っからリュウジにこだわってる模様ですなw
なんだかんだ、リュウジを誘い出したかったらしい。だはは。

今はもう、好きなときに喧嘩できますからね~。
そういう立場同士として。
そうなるまでが大変だったんじゃないかな、っていう想像^^

コウヘイも、カワイイとこあるはずなんですけどねえf(^ー^;
↑とてつもなく無責任

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

 BLOG TOP 


  1. 無料アクセス解析
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。