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6月20日 2-1

 

 1年のころのオレたちを思い出しながらそぞろ歩きのオレ。
 この角を曲がれば家につくんだけど――というところで、気まぐれに方向転換なんかしてみる。
 そのままオレは川の方角へ足を進める。ただなんとなく歩いていたかっただけ。

 ――あのころのオレは、今よりちょっと背が低かったんだろう。
 河川敷の土手にあるガードレールを跨ぐとき、もう少し苦労したような記憶がある。
 
 鬼浜工業に入ってからのリュウジが初めてコウヘイと相対したその後、鬼工の周囲に不穏な空気を感じるようになっていた。
 級友がおそらくコウヘイと事を構える羽目になったという話を聞かされたり。
 また、直接じゃなくても、似たようなうわさ話が耳に入ってきたり。
 暗黒水産の奴らは、目に見えてその存在をアピールするようになっていた。

 「なあ、ハヤト、ダイゴ」
 ある日の昼休み。珍しくからっと晴れた日で、オレたちは3人で屋上に来ていた。
 金網にもたれかかったままリュウジは難しい顔をしてた。
 「なに? リュウジ」
 「押忍」
 「最近、やたらと奴らの話を聞くだろ? あんまりよくねえ話を」
 「奴ら……」
 「暗黒水産の者どものことだな、それは」
 「ああ、そうだ。ダイゴ」
 それが――と目顔でオレが問うのにリュウジが応える。
 「それって、やっぱ俺のせいだと思うか?」
 「え――リュウジの? なんで?」
 「だってな、ハヤト。あの目つきの悪い紫色の奴、俺のこと知ってそうだったしな。で、周りが騒がしくなってきたのって、あのあとじゃねえ?」
 「まあ、タイミング的にはそうだと思うけど。でもリュウジに心当たりはないんだろ?」
 「確かにな。俺にはさっぱりねえけどよ」
 オレたちのやりとりを聞いていたダイゴが次にこう口を開いた。
 「よほどの因縁があるのかもしれんな、リュウジと暗黒水産の男の間には。目に見える何かではない、縁があるようにも思えるのだ、俺には」
 「そういうもんか? ダイゴ」
 いつも細めている眼をほとんど閉じたまま、ダイゴはリュウジに頷いた。
 お寺の息子のダイゴには、そのとき何かが見えていたんだろうかと不思議な気分になったのをほんのりと覚えている。

 ――あのころのオレは、というか『あのころ以前』のオレは、特定の誰かと長い時間を過ごすタイプじゃなかった。
 もちろん中学のときも親しい友達はいた。ちょっとだけつきあってた女の子がいた時期もあったりした。
 けれどもオレは、基本的にあんまり大勢で群れるような環境って慣れていなかったんだ。
 部活もやっていなかったし、放課後って言えばすぐに帰宅して、親父の仕事を眺めるのが日課だったし。

 だからオレは、最初にリュウジにこう言われたときに即座に応じる勇気がなかった。
 「実際、このままじゃまずいと思うぜ。奴らを好き放題に暴れさせたままでいるってのは心底許せねえ。ってよりも、何より俺の信念に反する。だから俺が立つぜ――俺は隊を結成する意志だ。ハヤト。お前も俺と一緒に来てくれるな?」
 オレは、リュウジが訳もなく暗黒水産に蹂躙されるのを断じて許せない日々を送っていることは理解していた。
 何かを起こす心があるのだろうともうすうす感づいていた。
 けれども何ひとつとっても中途半端なオレを、どうしてリュウジが名指すのかがわからなかった。




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【鬼浜魂疾走編 登場人物紹介】

☆ハヤト:このおはなしの語り手
鬼浜爆走愚連隊・特攻隊長
単車勝負が得意 実家はバイク店「魔速商会」
一般評=クールなモテキャラ リュウジ評=とぼけた奴 趣味は昼寝

☆リュウジ
鬼浜爆走愚連隊・初代総隊長
喧嘩も単車も最強 実家はラーメン店「昇龍軒」
人情派で人望篤い 女子にめっぽう弱い 実は寂しがり屋の一面も

☆ダイゴ
鬼浜爆走愚連隊・親衛隊長
喧嘩勝負が得意 実家は鬼浜寺
寡黙で頼りになる存在 柔道の使い手 精神世界にも精通

☆ノブオ
鬼浜爆走愚連隊・若手
喧嘩も単車も修行中
総隊長リュウジを誰よりも慕う 打たれ強さは比類なし

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★コウヘイ:暗黒一家・初代総帥
★ハンゾウ:暗黒一家・特攻隊長
★ゴンタ :暗黒一家・親衛隊長
★タカシ :暗黒一家・若手

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◆関連するおはなし
 リュウジとコウヘイが初めて対決したときの件
  → 本編/自転車狂詩曲 ←
  → 承前/新米教官の自尊心 ←

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コメント

( ^∀^)ノ コンチャ♪

なるほど。
リュウジが隊を結成したのは、こういう事があったからなんだ!Σ(゚ロ゚ )ハッ
さすが、リュウジ!と言った所でしょうか^^
わけもなく、暗黒水産に脅かされるのは嫌なんですね。(o・ω・))-ω-))うん

>鬼ムチコさま

ども~(*^ー^)ノ

きっとね。
「何か」があって、結成されたんだと思ってたんですよ。
鬼浜爆走愚連隊、って。

まったくの妄想なんですけどね(〃∇〃)
でも、なんかリュウジらしいかなあ、って思ったりw

奴らが喧嘩するにも、それなりの理由みたいのがあるんだろうな~、と。
そんなこと考えながら実機打って、これ書いて――の積み重ねですわ^^
ほんと、妄想って楽し~:*:・( ̄∀ ̄)・:*:

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